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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第七章外伝
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「銀河連合」1

「銀河連合」1



第七章スタート!!


冒頭は完全宇宙編の外伝!

銀河連合所属のエリスたちが地球に向かう。

だがそこには<神>が作った防御壁がある。

この地球は、今は完全に<神>が支配している!

***



 地球周辺宇宙 

 


 地球と月の間。



 地球から約20万kmあたりのところに、その宇宙戦艦は遊弋していた。


 銀河連合所属<パーツパル・ノアル(14型)>。全長約700m以上ある万能宇宙戦艦であり宇宙探査艦だ。大抵の宇宙空間や異次元に順応できる最新鋭の戦艦で、現在銀河連合に所属する戦艦の中では最強の戦闘力と科学力を持っている。


 形は小判型の円盤のような姿で、全高は全長の割には薄く160mほどだ。これが文明惑星の艦隊の母艦だと全長10kmを超える、ほとんど移動基地のような大型船も存在するが、それは戦艦ではない。


 銀河連合の標準戦艦が大体全長400mだから、大型戦艦に属する。



 最大収容人数は3000人。しかし今この船にいるのはパラリアン27人で、他の銀河連合所属の宇宙人は搭乗していない。動かすのはこの人数でも出来る。足りない手は補助ホログラムシステムと自立型補助コンピューターが補ってくれる。


 今この宇宙戦艦は、通常宇宙航行速度で地球に向かっていた。



 メインブリッジでは、15人の人間が操縦や観測業務に従事している。



 そして指揮官である艦長席には、銀河連合に所属するパラリアンのリーダー、エリス=ルーシェが座っていた。



 このメインブリッジにいるパラリアンの中では若いほうになる。しかし彼はこの戦艦の艦長になって20ラド(年)。年齢ではなく能力でリーダーになった。今年で宇宙に出て140ラド(年)になるが、見た目は30代前半で肉体年齢も同じくらいだ。宇宙を旅していると肉体の年齢は惑星上とは違う。



 この<パーツパル・ノアル>が誕生してからずっと彼が艦長の職務に就いている。明確な地位が確定しているわけではないが、今生き残っているパラリアンの銀河連合職員のリーダーであった。



 今向かっている地球は、青い惑星ではない。



 その大気圏の周りには、極彩色の淡い光が包み込んでいる。



 これが地球に漂流したク・プリ星人やゲ・エイルを封じ込め、部外者の侵入を阻む時空連続帯<ハビリス>だ。



「時空変動転移の計算が終わりました。<レリシア>エリス」


 <レリシア>とは、パラの言葉で<艦長、指揮官>という意味だ。


「誤差は?」

「ありません」


 航海士マルーニス=コゾンはコンピューターを操作しながら答え、苦笑した。


「さすがに8回目です。もう慣れましたよ」

「油断はするな。一歩間違えればこの時間軸と星系から弾き出される」



 最新戦艦<パーツパル>をもってしても、完璧に<ハビリス>を攻略できたわけではない。突破する方法はなんとか見つけたが、どうしても時空嵐には巻き込まれて別の時間軸を飛ばされる。



 宇宙……銀河もテラ星系(太陽系)も、常に高速で動いている。一度時空嵐に飲み込まれて時間を跳躍してしまうと、別の宇宙に飛ばされる場合がある。過去8度挑戦して、3度は別宇宙や異次元宇宙に飛ばされてしまった。他の宇宙船では飛ばされるだけでなくその衝撃で大破してしまうだろう。耐えられたのは、この<パーツパル>の性能と歴戦の船員たちの腕と判断力があったからだ。


 その対策として、エリスは最高の防御フィールドを展開した上で船自体も突入と同時に時空の歪を作り、超短距離ワームホール跳躍を行い突破する方法を見つけ出した。つまり簡単にいえば、<ハビリス>の時空反応で飛ばされる瞬間、同一地点時間軸を逆計算してプラスマイナスゼロのワープをして突破するのだ。正面突破ではなく応用技だ。だから<ハビリス>の存在が解明できたわけではない。


 この事自体簡単な事ではない。銀河連合の船でも完璧に出来る船は少ない。



「ではテラに向かおう。JOLJUの作戦に参加しなければならない」


 今回地球に向かうのは、地球人とク・プリの<デダブ>とJOLJU、三者共同の作戦のサポートを行うためだ。作戦に参加するのはこの<パーツパル>ではなく惑星上陸用の搭載船で行うが、<ハビリス>の突破はこの<パーツパル>しか出来ない。



「今回も<レリシア>エリスだけで行くのか?」


 別の操縦席の部下が振り返り言う。

 エリスは頷く。



「パラと神たちの意思が判明していない。JOLJUとも関わることになる。あまり諸君はJOLJUと接点を持たないほうがいい。まだ、今のところは。戸惑うぞ」


「どうしてJOLJUはテラで活動しているのですかね? パラレイト(人類)好きなのは分かりますが」


「分からん。ただ一つの事実は分かった。今のJOLJUは我々にとっての神ではなく、600年前の<個人としてのJOLJU>に戻っている。あの歴史に出てくる無責任で身勝手でユニークな<ただのJOLJU>だ。皆受け入れがたいだろう」


「我々にとっては<神>ですからね」


「その<神>を今のJOLJUは辞めたようだ。ただ完全にではないようだが」



 今のところ、JOLJUと接触したのはエリスだけだ。



「確かに混乱しそうです」

「そもそも<神>というものは辞めるとか、できるものなのですか?」


「LV3以上はもう特定の文明守護の責任はない。LV2になってしまえば神以上の別次元のナニかだ。JOLJUにとって<神>なんてものは子守くらいの価値しかないだろう」



 JOLJUは分類上だともはや<神>ではなく、<神>を上回る別次元の超生命体だ。種族も同族も独自の社会も文化もなく、この宇宙において完全に超越してしまった突然変異の個人……それがLV2超生命体という存在だ。



「想像もできませんな」


 そんな万能を超えた超生命体が、ほぼ全能力を封印して人類の、ただの友人として活動しているのだ。



「<蒼の伝説>をもう一度読み直しておかないといけないな」



 600年前、惑星パラを統一してフィルニスト帝国を建国した<神帝>アーガス=パプテシロスの伝記小説、それが<蒼の伝説>。小説だが帝国では国書とされ歴史資料として採用されていたものだ。その中に<神帝>の親友としてまだ神ではなかった頃のJOLJUが登場する。本人も「今の自分は600年ぶりの<ただのJOLJU>」と言っていた。今のJOLJUを理解するには歴史を知るしかない。


 元々能力はLV2の超生命体でも、<神>であることを、どちらかといえば嫌悪している奇妙な存在だ。本人の意思でLV2になったわけではなく好奇心の赴くまま進化しすぎて究極まで行き着いてしまっただけだ。

 元々<神>として生まれたわけではないから、そういった尊大さや威厳はなく、自分が特別な存在であることが好きではなく、基本的に自分の<神>の力は使わない。


 それは今、エリスたちには関係ない。



「では<ハビリス>の突破だ。全員配置についてくれ」


 すぐにメインブリッジの乗員たちが忙しく動き始めた。

 船はゆっくりと地球に向かう。


 近づくにつれ、<ハビリス>の反応が激しくなる。


 次元の歪がところどころに発生し、時空雷が宇宙空間を走る。その都度船体を衝撃波が襲い、フォース・バリアの光の波紋がいたるところで発生する。



 しかし最新鋭戦艦だ。この程度は何ともない。



「しかし、これが自然現象であれば、本来ならば銀河連合の最優先調査対象ですよ」


 エリスの横に控えている副長ユマリン=パテッセスが呟く。


 こういう時空連続帯……時空の歪系の現象は宇宙でもたまに自然発生する。その原因や影響力は様々で、そういうことを調査し、害が出るようであれば対応するのも銀河連合の職務の一つだ。専門の研究部門もあるし、そういう任務も何度か体験している。


 だがこの<ハビリス>は、既存の時空連続帯ではない。


 エリスたち宇宙探査と冒険を主な任務にしている者からみても、この<ハビリス>は異質で別物だ。



 そもそも完璧に解析できない。



 明らかに自分たちの科学力では解明できない法則と構造が働いていて、既存の時空理論では理解が出来ない。間違いなく銀河連合の研究家たちは興味を示す事は間違いないが、残念ながら今の銀河連合の科学では解明できそうにない。起こる時空反応も時間跳躍も出鱈目で計算では割り出せなかった。



 エリスはもう分かっている。

 これは自然現象ではない。

 <神>が意図をもって作ったものだ。


 しかも作ったのがどうやら<BJ>である事もほぼ分かっている。


 他のLV4の神たちにはここまでのものは作れない。宇宙にはLV5の神は割といるし、LV4も珍しくはない。銀河連合の最高機関のメンバーにもLV4の神はいる。しかしLV3の神となるとそうそういない。ある意味<神>と呼ばれる存在の全宇宙での最高位がLV3だ。



 それは推測ではなく、6ラド(年)ほど前、JOLJUが銀河連合にテラ星系の騒動について報告したときにそのような事を言っていて、「責任はオイラにしといて」と無責任に言い捨てて銀河連合の介入を拒絶する手続きをしていた。だから銀河連合は調査をしにも来ないし、この超科学現象を解明しようともしないのだ。作ったのがLV5やLV4の神ならばともかくLV3の<BJ>とLV2のJOLJUの仕業となれば放置するしかないし、同じ事が別の宇宙で起きることはない。



「突入します」



 副長ユマリン=パテッセスの宣言。それで全員が身構えた。




 <ハビリス>と接触した瞬間、<パーツパル>は別次元の宇宙へと飛んだ。




「銀河連合」1でした。



第七章突入!

ついに完全後半部!!


冒頭2話のプロローグ部分は宇宙編の外伝!

ということで主人公は誰も登場しません。JOLJUは名前と話題として出てきますが。


いくつか伏線的があるプロローグになります。

地球ではのほほんとしているJOLJUですが、宇宙世界では別次元の超絶した存在で、誰も勝てませんし文句すらいえません。そのくらい偉かったりします。


とはいえ本人に神である自覚はないですが。


というか、正しくはもはや神ですらなく、神以上になってしまったナニかです。


ちなみに銀河連合といっても、銀河群(銀河系が10以上集まったもの)が複数を管理領域にしています。とんでもない大きさで、そこに住む宇宙人にとっては宇宙世界そのものですが、全宇宙の大きさを考えれば数%を管理しているだけです。


宇宙は広い! 広すぎてよく分からないw


この全宇宙を自由になんでもできるのがLV2超生命体です。


そういうと……いかに本来100%の能力のJOLJUが別次元かわかりますし、そりゃあそんな存在を叱れる存在や組織があるはずがありません。JOLJUが地球の神だとすれば、銀河連合は町内の幼稚園児の仲良し友達グループ……くらいの差があります。


こんなすごい奴が、どうして地球で何かやっているのか。

それが実は「AL」という作品の本当のテーマです。


実は「AL」は、拓でもエダでも祐次でも、地球人でもなく、壮大なJOLJUの物語なんです。


ちなみにエリスが「JOLJUとの共同作戦」と言っているのは、エダ編のバーモンドからの避難計画※第六章エダ編のことなので、時間軸は拓編ではなくエダ編のことになりますので、大別すると今回はエダ編です。


ということで次回も宇宙編。


第七章のエダ編は、これからは完全に宇宙SF編に突入です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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