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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第六章拓編後編
291/394

「奪還」3

「奪還」3



小火騒ぎ!?

そして


ついに拓と姜の再会!


だが、姜の驚くべき行動は!?

***



 その時だ。拓は僅かに顔を上げた。



「煙草」



「?」



「学内で煙草って買える?」



「校内に喫煙所が何箇所かあるし、モノレールの駅中のコンビニだったら売っていたと思う。その下もコンビニがあるし」


「そこまでどれくらいかかる?」


「10分くらいだね。隠れながらだと倍くらいかかるよ」


「お前煙草買ってこいとかいうんじゃねぇーだろーな。俺予備も持っているぜ」


「俺も持っている」



 拓は懐から半分ほど入った煙草とライターを啓吾のほうに差し出した。



「僕は吸わないけど?」

「吸うんじゃない。燃やすんだ」

「?」

「一騒ぎ起こそう」



 時宗と啓吾も拓の意図が分かった。



「バレない?」


「注意を逸らせたらそれでいい。俺と時宗が中に入る。本格的な軍人はそう多くない……と祈ろう」



 啓吾はこの中央大学生で逃げ回るだけなら連中より一日の長がある。この潜伏時間の間に大学の地理はしっかり聞いたから拓と時宗だけでも動ける。



「啓吾はすぐに脱出して外回りで優美たちと合流。実行後は無線を使うな、傍受されると拙い。姜とユイナ姫を見つけたら連絡する。もし戦闘になったらプランB。もし伊崎さんたちが合流してきたらそっちの作戦指揮は伊崎さんで、プランはC。レミさんが来ているなら何か考えてくれる。そっちは臨機応変で対処して。俺と時宗はとにかく救出が優先」



 いいながら拓も武装をチェックする。



 電話と違い無線は周波数があえば傍受されるし、近い周波数でも頻繁に使えば通信の形跡は知られる可能性はある。携帯できる無線の範囲は精々10kmくらいだから近くに潜んでいることがバレる。



 巧くいくかどうかは分からない。勝算は正直多くない。



「後、どこでもいいからこれを」



 そういうと拓は小さなバックを啓吾に手渡した。中身はむろん啓吾も知っている。



「まだ追加? 僕の母校なんだけどね」



 啓吾はそれを受け取り苦笑した。



 ユイナ奪還はまだ計算上成功の確率が高い。



 だが、姜がどう転ぶかは分からない。



 戦闘は避けられないかもしれない。



 拓たちも覚悟が必要だった。





***





 午後9時33分 中央大学



 それは突然鳴り響いた。

 警報音……場所は大学モノレール周辺からだ。



 突然のことで<朝鮮勇士同盟>たちは騒然となった。



「大学内は最低限の設備しか起動させていないのだろう? これは何だ?」



 姜は周りに確認を求めた。だがここの連中もこの大学を拠点にして数日しかない。



「ALが入り込んだのかもしれない。朴隊長、部下を引き連れて完全武装して見てきてくれ」



 朴は姜と同じ北朝鮮出身だ。姜と朴、北朝鮮軍系がユイナの護衛、金と雀の元韓国軍系が潜入作戦の指揮を執っている。



 姜のほうが新参だが、元の地位は姜のほうが上で、今事実上姜は<朝鮮勇士同盟>のNO2だ。



「日本人が攻めてきたのでは?」


「日本政府がこのエリアに入った報告はないし、こんな小さな騒ぎを起こしてどうする? 神経質になる必要はない」



 日本政府が本気になれば1500人の武装兵を集結させられる。日本政府にも軍の専門家はそんなにいないだろうし、特殊部隊出身といった肩書きを持つ人間がいるとも思えない。ALがいるのでヘリコプターの急襲も出来ない。日本政府が動くとすれば少なくともこちらの推定勢力の三倍は連れてくるはずだ。その大人数の移動に気づかないはずがない。



 姜の命令で、6人がモノレール駅のほうに向かって走った。残りの3人にも拠点である2号館の重点警備を命じた。




「…………」



 15分後。

 警報機が鳴った原因が判明した。


 小火に火災報知機が反応したようだ。



 煙草の不審火で、ポイ捨てした煙草の火がたまたま置いてあった雑誌類に燃え移り小火になり、その煙に非常用の火災報知機が反応したとの事だ。駅内のコンビニ内で、確認したところ1時間前、三人ほどが出入りしていたことも分かった。



「だらしがないな」



 風紀の乱れは精神の乱れだ、と姜は吐き捨てようとしてとどまった。


 ここにいる<朝鮮勇士同盟>は、大層に名乗っていても元々訓練を受けたわけではなく、愛国心は強く意志もあるが元は一般市民出身者が多い。それに長年辛苦を舐めてきた。そこに日本政府相手にこの事件だ。緊張するのも無理はない。



「…………」



 姜も懐から煙草を取り出し、火を点けた。

 そして半分ほど吸ったとき……大きな物音が起きた。


 姜は煙草を足元に捨てた。


 その時だ。姜は自分に近づく足音に気づいた。



 月光が、廊下を照らした。

 視界が広がった。


 そこには完全武装した拓と時宗がいた。




「…………」



 拓と時宗も姜を見つけた。



「姜」

「拓、時宗」

「来た」



 姜は外を見た。



 半月の月が顔を出している。

 他に音はなく、動きもない。



 拓と時宗は銃を下げ、微笑んだ。



「無事で良かった」

「来たのか」



 姜の声に驚きも感動はない。無機質な声だ。



 そして……彼女はショルダーホルスターからSIGP226を抜く。


 銃口は、拓に向けられた。




「悪いが死んでもらう」



 姜は静かに宣言した。


「奪還」3でした。



対決!?

姜の銃口が拓を狙う!?

一気に緊迫状態に!

やはり姜は敵になったのか!?

この緊迫した状況で次回です!

銃を向けられた拓の驚きの行動とは。


さて、盛り上がってきました!

これからも「AL」をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ようやくの再会となったけれども 向けられるのは銃口・・・・ おそrかう本気ではなくてあくまでも ポーズだと思いたい それとも他の意味があったりで銃を抜いたのか
2022/05/13 17:42 クレマチス
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