表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第六章エダ編
273/395

「難題な依頼」

「難題な依頼」



重なっている悪条件。

そんな中、JOLJUがあることに気づき、エダが提案……

そしてついに祐次がある無謀な作戦を立てる!

鍵はJOLJU!?

***



 だが、その点もリーはもう調べていた。



「バーモンドにも一隻ゲ・エイルの戦闘機がある。元々俺はそれを調査しにバーモンドに行ってセントタウンを知った。だが戦闘機は完全に破壊されていてフォーファードは搭載していなかった」

「ゲ・エイルの生き残りは?」

「三人いた。俺が殺した。半年前だ」


「動力も完全に死んでる? エンジンとか次元コアとか木っ端微塵?」


「エンジンコアは完全破壊しているしブラックホール・エンジンも消失している。船体は残っているが中はALだらけだ」



 リーはク・プリの<デダブ>だ。直せるのならば直しているだろう。



「貴方が直して住人を乗せるのは駄目ですよ、JOLJU」とエリスが釘を刺す。


「戦闘機って<バエン・テハト>でしょ? 乗せるのは拙いし仮に直したって130人も乗らないし、戦闘機の非常用転送機は惑星大気圏離脱用だし、エンジンコアが壊れているならエネルギーも流出しているからまず無理だJO。第一直して飛んだとしても<ハビリス>が反応して破壊されるかALに撃ち落とされるJO」


「そうなんだ」


「NYまでは800kmある」とリー。


「NYの時はJOLJUがエネルギーを工面したが基本は太陽光発電だ。冬のこの時期じゃあ無理だろう」と祐次。



 その時だった。



「あの……あたし、詳しくないけどいいですか?」

「エダ?」

「飛行機しかないんじゃないですか? 飛行機があればNYまで二時間くらいだよね?」

「田舎だから数は少ないが、飛行物は見つかるとALに撃墜される」



 対空用ALタイプ5。


 アレに狙われたらどんな頑丈な飛行機でも落とされる。速度は対象の速度に対応するし、ALは科学文明に強くバリアなど張っても突入される。



「でもJOLJUのヘリコプターは飛べたよ?」

「アレ、思いっきりオイラが改良したもん。半分くらいは宇宙船レベルに。小型ヘリコプターで小さいし、ほとんどのALはNY市街に集めて囮も飛ばしたから」


 詳しい改造方法は聞いていないが、多分聞けばエリスが眉を顰めるくらいの反則はしていると思う。反則だからド・ドルトオたちには黙っていたのだろう。



 それに小型の二人乗りだから見つかりづらかったという話もある。飛行機のサイズだとさすがに見つかる。



「でもエリスさんの船も攻撃されないんだよね? ALってどのくらい目がいいの? 雲の上でも見える?」


「…………」



 JOLJUが腕を組んだ。何か思いついたようだ。



「エリス」


 JOLJUはエリスを見た。


「実はエダ、ロザミィから<オルパル>貰ってるの」


 それを聞いたエリスの表情が変わった。


「魔晶極石の<オルパル>ですか!? 地球人は<オルパル>に順応できたのですか!?」

「エダは出来たみたい。ロザミィがあげたの。オイラが反則したわけじゃないJO」

「成程。連枝種族というのは伊達ではないのか」


 この会話はこの二人しか意味が分からない。

 ただ、<オルパル>を持つことはルール違反ではないことは分かった。


「<オルパル>を使えば4分間はALに襲われません。その間にALには見つからない高さまで移動できれば飛行機が使える?」

「そういえば高度実験はしていないな」と祐次。


 これまで何度かその手の実験はしているが、どれも飛び立ってすぐALタイプ5が反応して撃墜された。

 しかし見えないほどの高さまで上がればどうなのだろう。基本タイプ5は上空にいるのではなく地上のタイプ1が飛行物を見つけて変化するものだ。その理屈でいえば見つからなければ襲われない。



 危険なのは発進と着陸の時。この二回に<オルパル>を使えばALには襲われない。<オルパル>が使用者だけを特定するのではなくどうやら半径50mくらいの効果範囲内に作用するもののようだということは前回の大侵攻のとき確認した。



 その時だ。



 祐次もある作戦の可能性に気がついた。



「ALは破裂した後、上空で結合して雨や湿気の形で地上に戻ってくる……んだったな、JOLJU」

「だJO」

「エンジン音やエネルギーや化学現象に反応する」

「だJO」

「雲の上は<ハビリス>があるよな」

「うん。地球の飛行機レベルのエンジンに反応して時空爆発させることはないけど、エンジンを機能不全にさせることはあるJO」


 確か横浜事件では上空3000mあたりで<ハビリス>の反応が起きた。


 だからJOLJUのヘリコプターはあまり高い上空は飛ばなかった。ヘリコプターの飛行原理は単純だから反応しないのだろう。



「ただ飛ぶだけのものは襲わないな。鳥は襲われてない」

「ま、そだね」


「クロベ。すまない、話が見えないんだが」とリー。


「世の中酔狂な暇人がいて……日本で色々を飛ばしてALが反応するかどうか実験した奴がいた。ドローンやラジコンには反応したが気球には反応しなかったんだ」


「へぇー。初耳だJO。音もエンジンもないからかー。まぁ気球の飛行力は気体の利用で自然科学だしね」


 前回のJOLJUのヘリコプターも完全防音の細工をしていた。ALはエンジン音に反応するようだ。



「つまり、エンジン音を誤魔化せれば、飛行機も短時間なら飛べるか?」

「…………」


「そんな科学も動力も地球にはないだろう? 反重力を使えば可能だがALも<ハビリス>も反重力には反応する。我々もそれで大分撃墜された」とリー。


「地球の技術なら、問題はALだけだ。それならば、なんとかなるかもしれない」



 そういうと祐次はJOLJUを見た。



「かなり自殺行為だが」

「JO?」

「お前が鍵だ」

「オイラ?」


 JOLJUは首を傾げた。


 祐次は語った。

 その話を聞いた全員が黙った。



 無茶にもほどがある。



 だが、JOLJUの知識の転用といくつかの改良、そして元エースパイロットだったというJOLJUの操縦の腕があって、初めて可能かもしれない作戦だ。


 これはJOLJUの元々の能力で<神>の力ではないから反則ではない。そして地球のものを使うのであれば改良もどうやらギリギリ反則ではない。



「俺は航空学の専門じゃないし、ALに対してそこまで絶対の自信はないが、理屈でいえば可能かもしれない」


 相談を受けたエリスとリーは二人共考え込んだ。


 この二人の知力と知識は祐次より高く経験豊富で、どっちも宇宙船の船長だから航空力学は専門だ。科学理論だけでいえば不可能ではない。



 そして一番の鍵であるJOLJUは……。



「あー! そういえば大昔そういう操縦したJO。大戦のときだけど」

「大戦……600年前のですか? JOLJU」とエリス。


「二次大戦のときだっけ? 600年前なんてついこの間だJO」


「できるのか? 地球人のベテランパイロットでも最高レベルの難易度だぞ?」

「この季節しか出来ない荒業だけど……視界がなんとかなれば。レーダーは使えんし」



 操縦技術は<神>の能力ではなくJOLJU自前の能力らしい。だからルール違反にはならない。



「仕方がない。反則ギリギリですが……私の上陸船が先導するという手があります。JOLJUは私についてくればいい」

「いいのか?」

 といったのはリーだ。宇宙のルールを知っているのはエリスとリーだけだ。


 この場合エリスは法を守らせる法執行官に近い立場だ。


 エリスは面白くなさそうに少し眼を背けたが、頷く。

 ため息をついた。



「私が勝手に飛行して、勝手に現地人が飛行機で追従する……という話だ。手を貸したわけではない、と言い訳は出来るし、私の目的はJOLJUの暴走の監視ということにしておけば一応理由になる。それに一つ確かめたい実験も確認できるから口実に使えるかもしれない」


 パラの宇宙船はALに襲われない。それに宇宙船であればどんな悪天候でも飛行可能だ。その後ろにつけばエアポケットになり乱気流は少しマシになるし多少AL避けにもなるし、先導として飛行目標にもなる。

 これで視界の問題も大分クリアーされる。



「いやぁ~エリスは頭が柔らかくていい奴だJO! この作戦のミソは、反則なようでギリギリセーフな点だJO」 

「お前がいうな」とツッコむ祐次。

「未知の宇宙を探検する冒険家です。臨機応変は基本だ」


「しかし」


 リーは、祐次、エリス、JOLJUの3人の顔を見つめる。


「単純に計算したが、成功率は50%前後だ。それに手に入れなければならない装置はゲ・エイルの船にある」

「そっちは取りに行くしかない。ALを全部倒せばいいだけだ」

「40m級の船だ。中にALが300以上いるぞ?」

「その程度ならなんとかなる」


 普通の人間には300以上は驚異的な数だが、あの大侵攻を潜り抜けた祐次にとって300や500のALは大して脅威ではない。狭い船内での乱戦も何度もやって慣れた。



「実行するとしたらヘリコプターの装置とかも外しちゃうから、もうヘリコプターは使えなくなるけどいいかだJO?」


 JOLJUのカスタム・ヘリコプターは健在だ。非常時の移動手段として今もロッジの裏に置いてあり、整備もしてあり燃料もしっかり入っている。


「本番のテストを兼ねてヘリコプターでセントタウンに行くしかないな。それで襲われなければ本番の成功率も上がるし、ヘリコプターなら墜落しても飛行機よりは生存率がある」


 ヘリコプターは飛行機ほど速くないし、墜落したとしても減速しながら落ちるし、落ちても下は積もった雪があってクッションになるから飛行機墜落よりは生存率は高い。第一この雪深い真冬の北部で、車で500km北のバーモンドに行くのは無茶だ。リーだって現地人ではなく完璧に土地勘があるわけではないし、祐次たちですら途中遭難する危険が大きく、辿り着けたとしても車では一週間以上かかり、疲労も大きくその後の作戦に支障を来たす。ヘリコプターでいけば2時間ちょっとで着く。


 ヘリコプターで向かうのがはるかに効率的で安全だし、何より迷わない。



「難題な依頼」でした。



珍しくJOLJUが自分から提案する回!

そしてJOLJUがメインとなって動き出す作戦!

神の力は使わなくてもJOLJUはもともとエースパイロットで運転は超一流。そしてここにはエリス、リーといつた歴戦の宇宙船の艦長もいます。この面子が作戦を「無理」と言わない事が成功の可能性です。ここは発案した祐次に成功の自信があるわけではなく、この三人の判断任せでした。


しかしどうやらその問題はクリアーされそう?


あとは実際に用意できるかどうか。


こうしてまた無茶なことを始める祐次たち。

しかし今回は面子が宇宙人VIP大集合!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ