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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第六章エダ編
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「なんとなく予感」

「なんとなく予感」


ゲームを楽しむJOLJU。

今度は釣りやスキーも。

平和で幸せな日常が続く。


だが……それが終わるかもしれない。

そんな予感があった。

***




 エダは楽しそうにJOLJUを見て笑った。


「今度はあたしとやろうね」

「うむ! エダも頭がいいから、楽しい勝負になるJO」


 JOLJUは勝ちたいというより楽しみたい派だ。その無邪気な顔を見てエダも微笑む。

 エダは洗濯物を畳み、自分の分と祐次の分に分けると、自分も祐次の横に座った。



「寒くないか?」

「暖炉がずっとついているから、すごく暖かいよ?」


「いや、今年の冬だよ。お前、こんな雪の中の生活、今回が初めてだろう? 俺は札幌出身で雪には慣れているが」

「うん、すごい雪だね」


 エダは窓の外を眺め頷く。

 基本東京育ちで、その後はペンシルバニア。

 気候的には温暖な地方ばかりで冬はこんなに雪は降らない。エダにとっては初めての雪国の生活だ。



「寒いけど楽しいから大丈夫だよ」


 むしろエダにとっては旅行に来たようなカンジで毎日が新鮮で楽しい。


 もっとも雪国育ちの祐次は、こういう生活には慣れていて特に感動はない。



「どうせ3月末まではこの生活だ。雪で車もキャンピングカーもまともに走れない。ま、こんな田舎だ。ALもいないし、お前がしたいならスキーとかスケートとかスノーモービルの乗り方を教えるぞ?」

「祐次は北海道出身だから雪は得意だもんね。うん、スキーはしてみたいな」


 エダは基本東京育ちだからウィンタースポーツの経験はない。だから興味はある。



「コケて骨折だけはしないでくれよ」

「危険なの?」

「俺がガキの頃、体育の授業にスキーがあった。皆慣れていて滑れるンだが、毎年調子に乗った馬鹿が暴走やらかして盛大にコケて骨折していたよ」

「そんな無茶しないもん。怖いから」


「オイラと釣りにいく? 釣りもいいもんだJO?」

「ああ、道具は確か倉庫にあるからな。出来るぞ」


 JOLJUが使っている釣竿はJOLJU専用のサイズで普通の人間用ではない。だが釣りは祐次もたまにするので、普通の人間用の釣り道具もロッジの備品として用意されているのを見つけてある。



「うん! 釣りもしたい! でも餌触るのが怖いよ。ミミズでしょ?」

「マス釣りはルアーだから餌いらないJO~。餌釣りは置き竿だからオイラがやるし、ルアーは投げて巻くだけだから簡単だJO! マス釣りは冬でも全然釣れるし楽しいJO」


「じゃあ今度連れて行ってね、JOLJU」

「合点だJO!」


「楽しみだね」



 時間はたっぷりある。

 今のうちに、できるだけ幸せを満喫しよう。



 後、どれだけこの幸せな時間が続くかは分からない。人生何があるか分からない、それが今の世界だ。



 ただ、この幸せが出来るだけ長く続けばいい……そうエダは願う。





***





 9時を過ぎれば、就寝だ。



 とはいえ、すぐに寝るのはJOLJUだけだ。こいつは何もなければ10時間は寝る奴だ。



 祐次は自室に入ると、夜中は医学書を二時間ほど読む。医者として勉強するべき内容は多い。


 外科が専門だが、内科や産婦人科、整形外科、皮膚科、麻酔学、漢方、薬学、公衆衛生……学ぶべきことは山ほどある。



 世界のほぼ半分を見て回って知った。


 恐らく全世界で医者は10人もいない。そのほとんどは専科があり、オールジャンルの医者は皮肉にも医学生で全科目必修で習いたてだった祐次だけだ。結果的に祐次は今、世界一の医者になった。それでも勉強をやめれば知識は衰える。最新の医学機器の使い方を覚える一方、医学機器を使わない100年前の治療法や戦場での軍医の救急治療法もこの世界では勉強しておかなくてはならない。薬がいつまであるか分からないから薬草学や漢方も覚える。軽い体調不良なら漢方薬で十分だ。



 エダも時々祐次と一緒に医学の勉強をする。

 祐次はエダを将来自分の後継者にするつもりだ。


 エダは自分には祐次のような医学の才能はないことは分かっているが、それでも祐次の助手として足を引っ張らないようになりたい。それに祐次との勉強は楽しい。元々エダは勉強が好きだし、聡明だし、人を助ける仕事は好きだ。



 もう完全にエダは分かっている。自分は完全に祐次を愛している。



 だから、楽しい。



 それに言葉に出してはくれないが、祐次もきっと気持ちは同じだと確信している。



 ただ、この日は昼の薪割りの疲労もあり、早々に休むことにした。



 パジャマ代わりのピンクのウールのスウェットの上下に着替えたエダは、首から二つのペンダントを外した。



 一つは祐次がくれたガーネットのペンダント。



 もう一つはロザミアがくれた<オルパル>のペンダント。



 どっちも宝物だ。



「……?……」


 その時……なんとなく……<オルパル>がかすかに光った……気がした。


 なんとなく窓の外を見た。外は丁度雪が止み、星空が顔を出していた。



 綺麗な夜空……と、エダが微笑んだとき、偶然それを見つけた。



「…………」



 それはすごく小さく、白かった。

 しかし星ではなかった。


 ゆっくりとだが、動いていた。


 飛行機かと思ったが、この世界で飛行機が飛んでいるはずがない。第一形が円盤状だ。


 エダは目を見開いた。



「UFO?」



 つまり異星人の宇宙船だ。


 かなり上空で大きさやデザインはよく分からないが、少なくともNYで見たク・プリやゲ・エイルの船とは少し違うように思う。ク・プリ船は三角形だし、ゲ・エイルは四角形だった。


 今飛んでいるのは円盤のような円形だ。音は聞こえないから、そういう加工をしているのか、それともALが到達できないような大気圏に近い高度を飛んでいるのか。もし後者だとすれば、かなりの大きさだ。



「ロザミアさんの船、かな?」


 そういえばロザミアは船を持っていると言っていた。確か全長1.6kmはあると言っていた。米軍の空母の5倍はある巨大な船だ。そんなものが飛んでいれば地上からでも見える。



「…………」



 この地球には異星人もいる。


 だが、どうして色んな異星人がいるかは、エダたちは知らない。


 なんとなく……予感がした。


 何か見えない運命が、動き出したのかもしれない。


 エダと祐次は、異星人と接触した数少ない地球人だ。



 そう……エダたちの平穏で平和な生活は、意外な短さになる。



 激動の運命が、すぐ傍まで迫っていた。





「なんとなく予感」でした。



今回までがエダにとっての幸せな平和な日常、でした。


さて、最後に出てきた宇宙船は?

ALだらけの地球で今更UFOをみても驚かないですが、実は飛んでいる動く宇宙船はかなり限られています。というのも<ハビリス>があって飛べる宇宙船は限られています。


次回、新キャラ登場!


完全に予想外の新キャラです。唐突です。

ただ、本編中においてロザミアに次ぐ重要人物です!

ついに宇宙SF編に突入です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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