表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第六章・JOLJU編
244/394

「宇宙戦争2」

「宇宙戦争2」



激化する戦争。

そして自暴自棄に暴れるゲ・エイル。

さらにゲ・エイルとク・プリの上陸部隊が船内に侵入!

その目的はロザミアの誘拐!

この危機に、JOLJUはある決断を迫られる。


そして運命が動き出す。

***




 宇宙戦争は、JOLJUの仲裁などまるで効果がなく、より苛烈になった。


 ゲ・エイルはこの場にいる異星人全てを敵とし、全滅させようとしているし、ク・プリはこの難局からなんとか抜け出そうとしている。最初ロザミアは仲裁していたが、どうやらロザミアたちが地球に執着していると分かり、両異星人たちの態度も硬化し、戦争は三つ巴になった。


 ロザミアにとって、初めての戦争だ。


 だが彼女は、初陣とは思えない手際で戦争を潜り抜けていく。

 船の科学力の性能だけではない。

 JOLJUが与えた特別なエノラのおかげだ。


 JOLJUはロザミアだけを救うために、特別なエノラを彼女に投与して、彼女の先祖の能力が覚醒するようにした。


 惑星パラが誇る、史上最高の三英雄のうち二人のDNA……英雄の才能だ。戦争にかけては全宇宙でも比類ない才能を持っていた。宇宙人たち相手でも遅れは取らない。


 戦闘力では完全に<ヴィスカバル>に勝てない。


 だがロザミアたちはゲ・エイル人の戦闘意欲を甘くみていた。


 通常戦闘では禁止されている時空反物資光子爆弾を乱射し始め、状況が変わった。


 ク・プリの船はほとんど壊滅し、<ヴィスカバル>も前面バリアーが消失した。



「JOLJU!」

「このくらいなら大丈夫。もう予備フィールド張った! 前面はすぐにバリアーが回復するJO!」

「他に問題は!?」

「<ヴィスカバル>はともかく……時空嵐が起きるJO!」

「アナタが押さえ込んで!」

「ルール違反だけど……今回は仕方ないJO。というか、ここで時空嵐が起きると<ハビリス>が暴走してえらいことになるJO! もー、ゲ・エイルは後先考えないJO。元々あいつらはそういう連中だけど」


 そういってJOLJUが立ち上がった時だ。


 JOLJUの横に二つの人影が出現した。



『それは私がなんとかしよう、JOLJU』


「<FUJ>? お前ら、いたの?」


 シルエットは人の形をしているが、半透明で蒼白く光っている。プログラムではない。これがパラを守護するLV4の神、<FUJ>だ。


 むろんJOLJUのよく知っている相手で、仲間だ。



「お前らじゃあ<ハビリス>はどうにもならんJO?」


『<UFJ>と二人で対処し暴走を押さえ込みます。<BJ>が出てきてくれれば早いのですが?』


「オイラや<BJ>が出て行くと、もっとややこしくなるから任せるJO」


 LV2とLV3は基本文明世界に口出しできない。

 JOLJUのほうはランク偉い分最終的には自己責任で暴走して責任とります、でいいが、<BJ>はLV3で1ランク低い分制約があって容易には動けず、しかもJOLJUと違い文明介入権は持っているので銀河連合も動くかもしれない。だがLV4は自由に文明への干渉が可能だ。だからこの二人の神は動ける。


 JOLJUは二人に任せた。



 その直後……<ヴィスカバル>の船体がこれまでで一番大きく揺れた。



 プログラムの警備員が声を上げた。



「船内に浸入。強襲揚陸用強行転送でゲ・エイル16人がダドス・デッキに出現。破壊活動を始めながらブリッジを目指しています」


「こっちが前方バリアーに出力を割いた隙に乗り込んできたのね!」



 そういうとロザミアは艦長席を蹴り立ち上がった。腰には近接戦闘用の<ラファ>がある。

 プログラムたちに戦闘能力はなくJOLJUは戦闘ができないから、戦うとなればロザミアしかいない。



「ロザミィ! 無理そうならすぐ戻るんだJO! 無茶はダメだJO!?」

「操縦は任せるわ!」

「合点だJO」



 ロザミアはまだ14歳だが、今は戦闘モードで英雄の才能が覚醒している。白兵戦でも負けない。JOLJUもそこは心配していない。


 船は広い。ロザミアは船内転送ですぐに現場に飛んだ。

 その直後だ。


 再び警備プログラムが警告を発した。



「22人のゲ・エイルと人造兵器<グビドン>30、26人の戦闘強化ク・プリが侵入。ロザミア様が目当てです」


「ロザミィを拉致する気かだJO!?」



 この難局を乗り切るには、三つ巴ではなくどちらかの勢力と組むしかない。

 連中がパラリアンの情報を知っていれば、ロザミアを殺せば神が怒ることは知っているだろう。相手は神で、さらにJOLJUと<BJ>を敵に回せば種族と文明全て一瞬で消されてしまう。となければ目的は殺害ではなく拉致だ。


 しかしそんなに甘くはない。


 戦闘が激しくなれば、ロザミアの安全は保障されない。


 今周囲は時空嵐が発生していて、熟練の操縦者でなければこの宇宙域を乗り切れない。この対応はプログラムでは危なくJOLJUは操縦席から離れられない。


 JOLJUがどうするか迷った時だ。再び青白い半透明の<神>が出現した。




『提案』



 その声はさっきと違い、女の声だった。こっちは<UFJ>だ。




『<AL>の投入を提案します』



「…………」


 JOLJUは黙った。



 <AL>……<BJ>が開発した文明破壊用最終生物兵器で、白兵戦闘になればどんな敵でも殲滅できる。

 ただしこれはもうパラの科学ではなく<神>の秘密兵器で、パラにとっての最後の手だ。これを使えば今戦っているゲ・エイルもク・プリも全滅させることができる。



 だが、<AL>に降伏はない。



 相手が全滅するまで<AL>は止まらない。それに<AL>は開発したばかりで、リミッターの設定はしていない。出せば勝負が決するが、相手は全滅する。



 創ったのは<BJ>だが、使用許可を出すかどうかの権限は一番偉いJOLJUに委ねられている。その代わり責任もJOLJUだ。



 <AL>は、<BJ>ですら手に余るJOLJUだけが許される案件だ。<BJ>ですら使用の責任が問われる。JOLJUだけが責任を問われない。


 放てば、JOLJUですら後戻りできなくなる。



 さすがのJOLJUも、考え込んだ。


 完全なオーバーテクノロジーだ。


 そして完璧な殺戮兵器だ。リミッターをまだ設定していないから一度戦い出せば無限に増殖してあっという間に膨大な数に膨れ上がる。しかしその存在をゲ・エイルもク・プリもまだ知らないから、使わないと牽制にはならない。



 だが……元々<AL>は、ロザミアのために開発されたものだ。



 たった一人しかいないロザミアの戦力は、<ヴィスカバル>だけだ。宇宙戦闘では脅威だが、白兵戦や制圧戦用にはならないし、高性能機動戦艦一隻では抑止力にならない。これでは異星人文明と渡り合えない。だからパラが生き残るための最後の護身用として<AL>は開発されたのだ。使わなければ脅威と認識されず、ロザミアにとっての武器にならない。だから開発された。



 文明人ではない。神が創った。



『使わなければ、開発した意味がない。JOLJU。元々戦争用の兵器です』



「…………」



『いくらロザミア様に<英雄の覚醒>があるとしても、30以上という数を相手に乱戦は危険が大きく、敵の数はさらに増える可能性が大きいです。使用するならば今が一番の好機です』



「ロザミィのためか」



 そこがJOLJUの弱みだ。ロザミアを守りたい気持ちは親として他の神より強い。


 JOLJUは数秒迷ったが、ついに決した。



「<AL>の始動を許可するJO。でも防衛のみだJO」



『お言葉ですが、使うのであれば敵戦艦にも転送して戦闘を終了させるべきです。そのほうが結果的に戦闘と問題の解決は早まります』


「ゲ・エイルの船には4000人、ク・プリもまだ400人は生き残ってるんだJO!? 皆殺しにされるJO!」


『差し出がましい事をいいますが、結論をいえば、どの道もうこの事件は殲滅以外の解決はありません。何もゲ・エイルの全人類、ク・プリの全人類を滅ぼすわけではありません。どうせこのテラ星系からは出られず、避難する場所もありません。我々の侵略を達成させるためには邪魔で、生きている限り連中はロザミア様の命を狙います。捕虜として管理することも出来ません。殲滅が絶対条件です。ロザミア様に大量虐殺を行わせるより、我々<神>がその責任を背負うほうが、ロザミア様のためになると判断します』



 これにはJOLJUも黙った。


 その通りだ。


 ロザミアの手を汚させず、この事件を乗り切るには、<神>が手を汚すしかない。


 ロザミアやこの二人の神では責任を問われるが、JOLJUと<BJ>は法や倫理を超越しているから誰からも咎められない。中途半端に投入するより問題解決も早い。



 JOLJUは決断した。



「許可するJO。でも、降伏したらすぐ止めるンだJO!? 約束だJO!」



『命令を受諾します』



 こうして、ついに<AL>が全宇宙船に放たれた。



 バリアもへったくれもない。神の力で<ALの塊>を転送させる。それだけでALは始動し、あっという間に増殖し、全てを制圧してしまう。



 これが……JOLJUにとって大きな過ちの一歩になるとは、この時のJOLJUは気付かなかった。

 まだ、この時までは二人の神を仲間だと信じていた。二人の神が、テラリアン人類の侵略にもALを使うとは思ってもいなかったのだ。



 そう、二人の神はJOLJUに黙っていた。



 二人の神はALで地球を侵略する事を。自分たちが人類を征服する未来図を。



 この時のJOLJUは、自分の許諾もなしに、まさかそこまで二人の神が計画していると知らず、仲間で、自分の命令には従うと思っていた。



 だが違うのだ。



 JOLJUと立場が違う。



 JOLJUはロザミアには個人的な愛情はあるが、それでも活動の場は全宇宙で、保護対象は全宇宙全ての生命体だ。



 だが、この二人の神は違う。



 パラリアンが全てなのだ。

 他の異星人の存亡は二人の責務にはない。

 そしてJOLJUと違って、その点の認識に公平さはなくてもよく、エゴも許されるし、JOLJUのように人間らしい人格も甘さも、この二人の神は元々持っていなかった。




 そう……地球の悲劇は、この時に始まったのだ。



「宇宙戦争2」でした。



今回、ついに<AL>の誕生判明!

実は許可を出したのはJOLJUだったんです!

しかも都合上その責任もJOLJUになっています。元々は侵略目的ではなく、ただロザミアを助けるためだけのものでした。

そして!

今回、ついにこれまで本編に姿を見せなかった、残り二人の<神>も登場!

<UFJ><WBJ>です。人型ではありません。一応男女のようですが。

プラス<BJ>、そしてJOLJU、この四人が今地球に来ている異星人の神たちです。


<AL>がついに投入されました!


その恐るべき破壊力が判明します!

これがどうして人類に波及するのか……それにはまだいくつか事件があります。

いくつも謎が判明しつつ新たな謎も生まれる宇宙戦争編です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ