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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第五章エダ編後半
237/394

「それでも絶望しない!」

「それでも絶望しない!」


残り時間一分!


国連ビルに到着したエダと祐次。

まだヘリは見えない。

屋上目指す二人だが、体力がついに限界にきた。

だが、そんな二人を嘲笑うかのようにALの大群が待ち構えていた!

***



 マンハッタン 午後2時52分


 激戦……と、一言で片付けられるようなものではなかった。



 祐次とエダの二人は、ほとんど休む間もなく銃撃を続け、そして走っている。



 二人とも、持っているのはJOLJUカスタムのフルオート銃だ。装弾数は500発と膨大で、普通のマガジンの12倍以上はある。これがなければ、二人はとっくに死んでいただろう。



 この周囲に集まっているALの数は、ざっと数えても数千を超える。


 しかも戦闘をすることによって、他のエリアからも集まってきている。



 エダは前方10時から2時。祐次が残りの全方位。時にフルオートの弾幕を掻い潜り飛び掛ってきたタイプ1は、祐次がヴァトスで始末する。エダは突破されても祐次が撃退すると信じ、動揺せず冷静に任せる。


 二人の連帯は完璧だった。



 そう……過去形。



 二人の問題ではない。銃弾の問題だ。



 まず祐次のステアーAUGの一つ目のマガジンの弾が尽き、次にエダのHKMP5Kの弾が尽きた。祐次はもう一つ……最後の500連マガジンに交換し、エダは銃を捨ててグロックG18Cを使った。


 500発あるといっても、フルオート銃は毎分600発から800発だ。撃ちまくれば1分と持たない。祐次はフルオートでも的確に指で制御して撃っているが、エダでは使い慣れないマシンピストルを制御するのは無理だ。それでも今は弾をバラまくしか対処方法がない。今は撃てばどれかには当たる。



 水飛沫の雨が上がって5分。爆発によって起きた津波も収まった。ただ地面や建物はたっぷり濡れていて、その分ALも本来の凶暴期の戦闘力はなかった。



 そして二人はついに国連本部ビル前到着した。



 この時、午後2時56分だ。


 薄い39階建てのビルで、ビルの前は多くの車両が来たりニュース報道ができるように、広い。ちなみにここは厳密には米国合衆国ではなく、どの国にも属さない国連の直轄地だ。



「先日の作戦の時、このビルの屋上は監視所にした。そのため非常用電源を回復させたと聞いた。エレベーターは使えるはずだ」


「良かった……! さすがに……39階も階段を上がるのは……キツいもん」


 エダは苦笑した。



 二人共息が荒い。

 祐次は負傷があり、エダの体力はもう限界だ。


 体力でいえば、少女であるエダは祐次ほどあるはずがなく、精々1/5くらいのものだ。昼から走り回り、Bandit(バンデッド)たちの相手をして、それから重傷を負い、この脱出行だ。車の移動があったとはいえ、合計6kmくらいは走っている。11才の女の子にはキツい距離だ。もうエダの体力はほとんど残っておらず、気力だけで動いている。


 それは祐次も分かっている。祐次だってもうほとんど体力はない。

 だが休むわけにはいかない。



「ヘリは見えるか? 音は?」

「ない……ぽい……?」

「遅刻はしてもJOLJUは約束は守る」

「うん」


 もうここを登れば運命は二つに一つ。

 無事脱出できるか死ぬかだ。


 他所に避難することも出来ない。生き残るか死ぬか、二つしかない。


 登れば、下は膨大なALで埋まり、どうやっても自力で脱出することは出来ない。


 この溢れかえるALのマンハッタンの中だ。あっという間に数千の数になるだろう。もう銃弾も少なく次の避難先はない。篭城できる場所でもない。



「走れるか?」

「う……うん」


 エダは駆け出そうとした。だが足がもつれ、その場に躓く。



「大丈夫……うん……」


 やはり、もう限界だ。

 その時だ。



「2分休め!」


 祐次はそう言うと、なんとエダを抱き上げた。

 驚いたのはエダのほうだ。


「ちゃんとしがみつけ」

「ゆ、祐次!?」

「お前は血液が足りない。首にしがみついていろ! 俺はまだ動ける」


 そういうと祐次はエダを抱きかかえたまま走り出した。右手にはステアーAUGを持っている。これまで合計20kg近い武器と医療バッグを背負って動き回っていた祐次だ。エダくらい抱き上げても走れる。


 エダは抗議しようとしたが、止めた。今は口論する体力や時間のほうがもったいない。


 祐次は正面玄関に向かった。先日の作戦で使ったから鍵は開けられているはずだ。



 だが……。



「ちっ……!」


 祐次は舌打ちした。


 正面玄関や、窓ガラスは、ほとんど破壊されていた。先日の爆発の衝撃波で。


 そして……一階のホールには、数百という数のALが入り込んでいた。


 さすがの祐次も、顔色が変わった。


 祐次はちらりとエダの顔を見た。


 エダも言葉を失っている。


 潜水して、酸素が切れて、なんとか海面まで近づいたと思ったら、再び足をつかまれ海中に引きずり込まれたような気分だ。


 だが……祐次はエダの顔を見て、思った。



 ……こんな魅了的で聡明な女の子は、きっと他にはいない……。


 ……エダがいなければ、俺はここまで戦うことなんて出来なかった……。


 ……俺だけの<天使>じゃない。こいつは<人類の希望>なんだ……!


 ……こいつを死なせるわけにはいかない……!



「諦めるな!」

「……祐次……」


「俺は誓った! 何があっても、お前だけは俺が守る!」



 そういうと、祐次はエダを降ろし、エダの手からグロックG18Cを取り、代わりに自分のヒップホルスターに入った、ノーマルマガジンのグロックG18Cをセミオートにセットして渡した。



「俺が突破口を開く! お前はエレベーターに向かえ! ALは全部俺が駆逐する!!」

「…………」

「俺を信じろ! 俺は死なない!! きっと脱出できる!」

「うん!」


 エダの表情に、気力が甦った。



 そうだ。希望はある。ここを突破すれば助かる!



 あの悲惨で絶望しかなかった、悲劇のロンドベルとは違う。


 今は、祐次と一緒だ。自分だって強くなった!



「行くぞ!」


 二人は駆け出した。


 中にいたALたちが気付き、奇声をあげると、すぐに向かってきた。


 祐次が右手にステアーAUG、左手にグロックG18Cを握って飛び込んだ。


 もう一々狙ってなどいない。四方に向けて問答無用でALを薙ぎ払っていく。倒されて空白が生まれると、そこをエダが突き進んでいく。


 もう祐次は周囲を薙ぎ倒す事だけに専念だ。先に進む事はエダに託した。


 瞬く間にホールにいたALの半分以上を蹴散らした。


 しかし、まずここで発射速度の早いグロックG18Cの弾が尽きた。


 祐次はグロックをレッグホルスターに戻し、ステアーAUGで的確に撃ち抜いて行く。


 だが、ALは外からも迫ってくる。だけではなく、上のフロアーからも降りてくる。恐らく水飛沫や津波から逃れるため、膨大な数のALが入り込んでいたのだろう。計算外だが、文句をいっていられる状況ではない。



「祐次! エレベーター、乗り換えがある! この奥のエレベーターで20階までは行ける!」



 高層ビルだ。エレベーターは下層階用と高層階用がある。一気に高層階にいくエレベーターもあるはずだが、この近くにはない。



 ルートを考えたり選んでいる時間はない。



「向かえ!!」



 そう叫ぶと、祐次は外から侵入してきたALを狙撃する。



 その時だ。ついに恐れていた事が起きた。


 発射音がおかしい!? と、思った次の瞬間、ついにステアーAUGは装填不良を起こした。



「くそ! こんな時にジャムか!!」


 無理もない。短時間に800発以上撃ち続けている。バレルは触れないほど加熱し、銃本体は煤や鉛カスで汚れきってしまっている。どんなに手入れをしていても、これだけ無理をすれば装填不良は起きる。


 こうなった時のため、武器バッグの中には他の銃やステアーの予備バレルも入れていたが、それも今ここにはない。


 直せなくはないが、そんな時間はない。それに一度ジャムを起こしたから、徹底的にクリーニングしてバレルを交換しない限り、すぐにまたジャムる。乱戦時にジャムれば死ぬ。


 祐次はステアーAUGのマガジンを抜くと、銃本体は捨てた。そしてDEを抜いた。


 フルオートの銃はなくなった。これが最後の銃だ。マガジンには200発ほどに残っているが、これを使い切れば、もう銃がない。もう弾幕は張れない。右手に握ったDEで一体一体確実に倒しつつ、左手でヴァトスを取った。


 エダはエントランスホール奥のエレベーター前まで移動した。


 エダも周りにいたALを倒すと、エレベーターのボタンを押した。エレベーターのランプは点いた。


 扉はすぐに開いた。



「祐次! 早く!!」


 エダは叫ぶ。

 祐次もすぐに走った。


 だが、走り出した祐次の背中に向かって、8体のALが跳躍した。



「祐次!」


 咄嗟にエダがグロックで3体を狙撃した。その狙撃で祐次も迫る脅威に気付いた。


 振り向くと同時に、ヴァトスの剣を出現させて振り回す。丁度飛び掛ってきたAL3体が両断されて消滅した。


 だが2体は祐次の懐に飛び込み、襲い掛かった。



「くそ!!」


 祐次はDEを乱射する。


 弾はALを吹っ飛ばしたが、2体のALの両爪が左右から祐次の両腕を刺した。


 祐次はそのALを蹴り倒し、44マグナムを叩き込んで離れる。



「っ!?」



 両腕に激痛が走った。両腕の刺された傷跡から血が滴り落ちる。銃は44マグナムだ。反動が傷に響き、銃がブレる。


 それでも30発ほど乱射して周りを蹴散らすと、祐次もエレベーターに飛び込んだ。すでにエダは先に乗っている。


 エレベーターは昇り始めた。




 一旦、銃声が止んだ。



「それでも絶望しない!」でした。



まさにクライマックス!!

もう残り時間はほぼゼロのロスタイム! しかしALは大群。そして体力の限界と祐次の負傷。

これまで祐次の相棒として無双してきたステアーAUGも使いすぎのジャムで戦闘不能。もう他の銃の弾も底をつく……生存か死か、それはもう祐次にも分からない!


ということでクライマックスです!


果たしてJOLJUは間に合うのか!?


二人の運命は!?


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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