表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第五章エダ編後半
229/394

「嵐の前兆」

「嵐の前兆」



マンハッタン爆発!

エダの無事を祈り絶叫するデズリー!

そして

暗躍するロザミア。

***




「何を始めたんだ!?」



 避難先の無人島の浜辺で、デズリーとミレインはマンハッタンの爆発を見た。


 無人島からマンハッタンまで5kmほど。詳細は分からないが、8回の爆発と爆煙はここからでも見る事ができた。



 ALは爆弾を使わない。

 もうマンハッタンに人はいない。

 とすれば、やったのは一人しかいない。



「ドクターはまだ生きてるんだ!」

「エダも助かったかな?」

「ドクターが間に合ったンなら……すぐに手当てしたら……もしかしたら……!」

「でも重傷だよ?」


 腹を貫かれたのだ。普通なら助からない。


 だが、祐次がスーパー・ドクターであることが、か細いながらも希望だった。

 あのドクターならば、死んでさえいなければ、なんとか助けたかもしれない。そしてあの化物のように強い男ならば、重傷のエダを抱いて逃げる事くらいはできるかもしれない。


 祐次はあの地獄からの脱出を決めた。動き出すため爆発を起こした。


 エダも、生きているかもしれない。



「祈ろうよ、デズリー。私たちに出来ることは、それしかないんだから」

「くそ! ……俺にもっと力があったらよぉ!! くそ!!」


 デズリーは悔しそうに地団駄を踏む。


 そんなデズリーを、普段のミレインならからかうところだが、今日はそんな気分にならなかった。 

 今自分が生きているのはエダのおかげだ。あの娘の命が無事であることだけがミレインの願いだ。


 だが、どうにもならない。


 例え自警団全員を動員しても、祐次とエダを助けられる保障はないし、逆に自分たちが死ぬだけでなく、この避難所がバレたら共同体全員に危険が及ぶ。



 ベンジャミンも、そう判断した。



 手も足も出せないのだ。



「祈ろう、デズリー。あの二人は特別だから」

「…………」


「あの二人は……私たちの英雄なんだからサ」


「ああ。そうだ」



 デズリーはもう一度マンハッタンのほうを見つめた。



「また、会えるよな? エダ。絶対会えるよな!!」



 デズリーは絶叫した。



 周りの住民たちも、黙ってマンハッタンを見つめた。



 言葉にはしないが……その気持ちは全員、同じだった。



 だが、彼らにできる事は、祈ることだけしかない。





***





 エダと祐次が屋上に去ってからしばらく……。



 雑貨屋の奥の廊下の空気が歪んだかと思うと、風がふわりと起きた。



 そして……何もない空間から、女の姿が浮かび上がった。



 現れたのは、蒼い髪をした、異風な服装をした若い女だった。


 ロザミアだった。



「……無茶する娘……」


 ロザミアは、いた。


 実はエダがここに運び込まれた直後……転送でここに来ていた。


 <オルパル>で、エダの状態は監視していたのだ。生命の危機を知り、やってきた。


 むろん理由は一つ。エダを助けるためだ。ロザミアの科学力があれば、死なない限りどんな大怪我でも回復させられる。


 だから寄ってきたALを退けさせた。ALを操作することが出来るのは、神を除けば全宇宙でロザミアしかいない。



 が、祐次が飛び込んできたのを知り、すぐに身を引いた。



 <完全視覚遮蔽装置>と<非認識化>を作動させて、完璧に気配を消し、見守った。これを使えばゲ・エイル星人だろうが姿は見えない。気付くとしたらJOLJUだけだ。

 もし祐次が治せなければ、その時はエダを連れて行くつもりだった。死にさえしなければ、どれだけ重傷でもパラの科学があれば治すことができる。


 だが予想に反し、祐次はク・プリ星人の細胞再生装置を持っていて、それを使った。それを見て、エダの命が助かる事は分かった。


 後は様子を見ていた。


 JOLJUと通信をしているのも見た。



「あの男が……JOLJUの相棒の地球人……か」


 祐次と会ったのは初めてだ。


 成程……色々興味深い男だった。


 あんなに力強いオーラを持つ地球人を見たのも初めてだ。


 エダは強く美しいオーラを持っていた。だが祐次のオーラは別物だ。大きくて強く荒々しくて刺々しく熱い。そのくせに、どこか宇宙の深遠の闇のような、凍てつくような冷たさもある。




「さすがJOLJUが見つけた二人だけはあるわね」


 ただ……ロザミアは思った。


 エダとは仲良くなれる。仲良くなりたいと思った。


 だが、祐次と仲良くなれるかどうかは分からない。興味は持ったが、どうも気に食わないというか、反りが合わないというか、楽しい話が出来そうな気がしなかった。



「<神帝>もあんな感じだったのかしら? JOLJUはああいう男と気が合うのね。あいつ、英雄肌の男が好きだものね」


 まぁ……あいつは誰に対しても友好的で友達になる奴だが。

 それでも多少好みがあることをロザミアだけは知っている。

 JOLJUは、男は凡人より聡明な人間や英雄肌の人間が好きなのだ。というより英雄肌の人間でなければ、本当は相当賢いJOLJUと付き合えない。


 ただ、今回分かった。


 JOLJUは地球人全員を無責任、無差別に助けているわけではない。どうやらあの二人は特別で、他の地球人に対しては、親切だし色々やるが、ルールの範囲内だ。今のところ公然とルール違反をしているのは、あの二人のためだけに限られているようだ。

 もっともあの馬鹿の事だ。いつ箍が外れて大暴走するか分からない奴だ。家族としては頭が痛い。



「これに<ラマル・トエルム>……か。その前に、あの二人が無事ここから生きて逃れられるかどうか……そこが問題だと思うけど」


 ロザミアはそういうと、ゆっくりと歩き出した。


 外はALだらけだが、ALたちはロザミアの存在に全く反応せず、黙って道を開けていく。ロザミアも、徘徊するALたちを特に気にはしない。


 ロザミアは考え事をしながら歩いた。



「エダ。貴方の試練よ。生き延びてみせて。やっぱり、私は手を貨さない事にする。これを生き残る事ができれば……貴方は私たちの世界に入る資格があると認めさせられるわ」



 ロザミアは微笑む。


 地球人を、一線を越えてこの世界の秘密に接触させる。


 ルール違反なのだが、ロザミア自身、<オルパル>を渡したり、宇宙世界の話をしたり、こうしてエダを見守りに来ている時点で、すでにルールを冒して彼女も暴走を始めているのだが、その事に自分では気付いていなかった。もっともJOLJU同様、彼女がルールを破ったところで叱る存在はいないのだが。



「大体が無茶なのよ。JOLJUは」


 ロザミアはそう呟いたが、小首を傾げ、苦笑した。


 常識的には無茶だが、全宇宙でJOLJUにだけは<無茶>という言葉が存在しないことをロザミアだけは知っている。何せロザミアが今こうして生きているのも、JOLJUの<無茶>の結果だ。



「<ラマル・トエルム>の登場……か」



 ありえるのか……?



 この世界……地球の秘密の謎に辿り着くことが出来て、人類を救うことができる地球人。ク・プリやゲ・エイルたちですら理解できていない事を、科学未発達の地球人が、答えに辿りつけるのか。

それはロザミアですら、分からなかった。


 そこまで地球人には詳しくない。



 ロザミアは全て知っているが、それは彼女が<侵略者>であり、全ての元凶であり、黒幕だからだ。



 地球人の<ラマル・トエルム>は、辿り着くらしい。



 それでどうなるかはロザミアにも分からない。



 知っているのは、<BJ>とJOLJUしかいない。



 この二人の神の真意は、ロザミアにも全ては分かっていない。


「嵐の前兆」でした。



今回エダも祐次も出てきません。

メインはロザミアです。

そう、エダが倒れてALが入ってきたとき、ロザミアが来ていたんです。

まさに飛び出す直前祐次が来たので出て行かなかったわけです。

こう考えると、元々どうやってもエダは死ぬ運命にはなかったわけですね。というか祐次、JOLJU、ロザミア……超反則級の保護者が何人もついているエダ(笑


デズリーの願いは届くのか!

デズリーも半分くらいエダに惚れてますね。年下なのと祐次の存在がいるので控えていますが。……本当はエダは魔性の少女なのかもしれない……。


さて、ロザミアの暗躍も確認!

ですがロザミアはAL側の存在で助けてはくれません。

これからは正にエダと祐次二人だけの戦い!


これからも「AL」を宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ