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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第五章エダ編後半
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「脅威と決壊」

「脅威と決壊」



ついに最終日!

最後の避難が始まる!

だが同時にALもバリケードを越え街に侵入!

その数は数万!

さらにこれから増えていく!

もう戦っても勝てる数ではなかった!

***





12月2日 NYマンハッタン。午前8時07分


 ついにNY共同体全員が避難する日となった。


 だが……問題が次々に起こった。



 まず12月1日……この日出発予定だった避難用の小型フェリーの一隻が、浮遊ALに襲われて航行不能になり沈没した。運よく帰りだったため被害は大きくなかったが、乗り込んでいた6人のうち3人が死に、3人は泳いでなんとかマンハッタンまで戻ってきた。


 彼らの死を嘆く暇はない。


 次に、無人島で一番本土に近い避難所に、数は多くはないが、ALが現れた。


 ここは島が小さいため規模も小さく、200人ほどが避難していて、非常時用の船も置き、護衛も付けていたので事なきを得たが、不安に駆られた住民たちが、予定の別の避難島ではなく、動揺のあまりマンハッタンに戻ってきてしまったのだ。この島は元々マンハッタンに近かった。

その報を聞いたベンジャミンは、その200人を再収用するため最後に残していた自警団の精鋭を差し向けるしかなく、夜間危険を侵しつつも彼らをコロンビア大学まで護送した。


 最終日の避難人数が、当初200人から、各島から戻ってきた連絡要員と警備兵を入れて、約400人ちょっとに膨れ上がった。


 だが、もうその人数を一度に運べる船の用意はなく、苦肉の策として基本12人乗りの漁船に限界一杯の20人乗せて、ピストンで運ぶ事になった。各自荷物もあるからこれが精一杯だ。



 この事態に、他の避難島の住民も動揺した。

 もともと不安が高まっていたときだ。


 これを収めるのに、ベンジャミンとガブス他<リーダーズ>は不眠不休で動き回った。


 日付が変わり、12月2日……自治体は多忙を通り越し、混乱寸前の様相となった。



 NY共同体も、ついに総力戦となった。



 ベンジャミンは避難島側のリーダーとしてガブスを派遣し、現場の統率を任せる事にして、残っていた自警団兵士20人の隊長と防衛の指揮は祐次が執る事になった。


 しかも、ついに北とワシントンブリッジのバリケードが、午前5時すぎに決壊しALが続々とマンハッタン島に侵入を開始……祐次たちは第一陣をある程度蹴散らしたが、その戦闘に触発されて、ブロンクスのALも動き出し、殺到をし始めた。



 ついにAL凶暴期の襲撃期に突入した。三方から数十万といった数だ。

 もはや防御しきれる状態ではない。


 むろんこの事態を想定してハドソン川近くの波止場周辺の道路やコロンビア大学周辺には、追加のバリケードや柵や水爆弾や放水装置など設置し、時間稼ぎのための対策も用意してあるが、凶暴期に入ったALには水もそこまで牽制にならず、何より数が違う。



「緊急医療バッグと銃と弾を山積にしておいてくれ! ちょっと散らしてくる!」


 祐次は100連マガジンを装着したM4カービンを二丁担ぎ、一人CB1000Rに乗って、何度も飛び出していった。殲滅するのではなく、囮となって、ブロンクスやマンハッタン南部に誘導して時間を稼ぐのだ。誘導してハーレムに近づけなければ避難計画は進められる。この誘導作戦に関して祐次はピカイチで同行は邪魔だ。一人で飛び出し、1時間ほど掻きまわして帰ってくる。全滅はもうできない。精々かき回して関心を散らすのが精一杯だ。



 愛用のステアーAUGやHK MP5Kは使わない。最後の脱出用の装備として残している。弾はともかく、500発も撃てばバレルの交換が必要になるし、銃も痛む。肝心な時に故障したら困る。だからJOLJUカスタムは使わず、自警団の自動小銃をとっかえひっかえして使っている。



 祐次がかき回している間に、マークとグレンが避難民200人を整理し、まず彼らの避難を進め、残る自警団はその護衛に当たる。



 もはや、完全に戦争状態だ。



「防衛線を突破してきたALだけ迎撃しろ! 無駄弾は使うな! 連中にこっちの居場所を知られるな!!」



 最早最後の手段……逃げの一手、あるだけだ。


 こんな状況だから、さすがに祐次もエダは連れていない。


 エダとデズリーは、怪我人の救護係兼祐次の連絡対応、そしてベンジャミンの補佐兼秘書ということで、ベンジャミンの傍で待機していた。これはこれで重要な仕事で、十代前半の二人がこの仕事に就いているのは、それだけ二人が優秀かつ賢さが認められているからでもあるが、子供とはいえ遊ばせる余裕はない現状でもある。優秀ならばなおさらだ。



 二人はリバーパークの臨時波止場に作られた自治体基地のテントのひとつにいる。ここは祐次とエダ用に特別に用意された個室兼臨時病院だ。



 12月に入った途端、急に冷えた。


 エダは島に避難することも考え、いつものジャケットはリュックに入れて、ウールの冬用ジャケットとセーターを着て、生活品と拳銃と食料の入った大型バックと、衣服と銃火器と医薬品の入ったリュックを背負っている。むろんジャケットの下には、アリシアの銃を帯び、レッグホルスターにはUSPコンパクトが入っていてフル装備だ。



「ベンジャミンさん、これ食べてください。おにぎりです。食べ慣れないかもしれないけど。デズリーの分もあるよ?」


 エダはバッグの中からいつもの手作りおにぎりを三つ取り出した。米国人にはサンドイッチのほうがいいのだが、もう購買部が動いていないからパンは手に入らない。自宅のオーブンでパンを焼く事も出来るが、一度に沢山は出来ないし、パン作りはそこまで得意ではない。お米であれば自宅の炊飯器で炊けるし、数も作れて、手を汚さず仕事をしながら食べられる。



「ああ、前食った。日本のライスバーガーだろ?」

「ハワイにもあるらしいです。米国人にも好評らしいですよ」

「旨かった。頂くよ」


 ベンジャミンは喜んで受け取り、早速食べ始めた。


 デズリーは初めてだったが、ベンジャミンが旨そうに食べているのを見て、恐る恐る食べてみた。



「ワォ! クール! スパムがいいね! 旨ぇ旨ぇ!」


 具は米国人でも美味しく食べられるように、スパム、サーモンマヨネーズ、刻みベーコンと炒り卵で、それを海苔で巻いている。祐次やJOLJU、エダ用には刻んだ漬物や梅干が入っている。味の組み合わせは絶妙だ。濃い塩味の成形豚肉の缶詰スパムを挟むおにぎりはハワイ名物で米国食だ。



「沢山作ってあるから。今日は忙しいから、沢山食べないと倒れちゃいます。二人が倒れたら他の皆が困りますから」

「口煩い女は苦手なんだが、エダ嬢ちゃんに言われると、素直になるよ」


 ベンジャミンは忙しい。1分で食べ終わると、さっさと部屋を出て行った。


 エダとデズリーはこの部屋で待機だ。二人は仲良くおにぎりを食べる。



「デズリーはそろそろ避難しなくていいの?」

「俺もエダと同じ最終便にしてもらった。ええっと……午後3時……だっけか?」

「ミレインも?」

「ああ。あいつは今頃荷造り中よ。女ってのは、どうして荷物が多いのかね? あいつ、三つもバッグ用意してるンだぜ?」

「着替えに食料にサバイバル道具だから、結構必要だね」


 荷物が多いのはミレインだけではない。最低一週間の避難ということで、どの住民も大型リュックを二つ持ったり、大きなキャリーバッグを持ったりしている。避難所では水と食料と寝床は用意されているが、最低限の食料と生活品だけで娯楽品や嗜好品までは配給されない。この荷物があるから乗船には時間がかかるし、船も人間だけを乗せられるわけではない。



「下着が10枚とか化粧品とか美容保水液とかコミックとか音楽プレーヤーとかいる? たったの一週間だぜ。しかも旅行じゃなくて非常時の避難なのにサ。俺なんて下着二枚しか用意してねぇーよ」


「女の子には必要じゃないかな? お風呂もシャワーもないんだし」

「エダも荷物たっぷり?」


「あたしも色々持っていくよ? 寒くなるから冬服とかMP3プレーヤーとか」


 エダと祐次の避難用バッグも、別にこの部屋に置いてある。


 二人も、状況次第では避難することになるから、用意はしてあるのだ。



 もっとも、どっちになるか分からないから、重要なものや貴重品はリュックのほうに入れて背負っている。最悪リュックだけあればいい。



「そんな真面目なもんじゃねぇーだと思うンだな、あいつのは」


 軽口を叩きながらデズリーもおにぎりを平らげた。


 その時、街のほうから激しい銃声が聞こえ、二人は顔を上げた。


 今度の銃声は近い。


 恐らく祐次ではなく、周囲を警戒している自警団たちがALを迎撃したのだろう。



 それから17分後……。



「負傷者だ!!」と誰かの叫び声が聞こえた。



「手伝って! デズリー!」

「おうさ!」



 二人は部屋にある緊急バッグを掴むと飛び出していく。重傷であれば祐次に連絡するし、そうでなければエダが処置する。とりあえず応急手当でいい。後は祐次か島にいるリチャードがちゃんと処置をする。



「ところでエダ。最近あのちっこいポケモン・エイリアンの姿が見ないけど、どこ行ったんだ?」

「JOLJU? うん……JOLJUは何かJOLJUにしかできない仕事をしているの」


「何だそりゃ」



 分からん……とデズリーは首を捻った。



 JOLJUの活動は、僅かにベンジャミンにだけ報せているだけで他の住人たちには秘密だ。第一、エダもJOLJUが転送機を直していることは知っているが、具体的なことは知らない。詳しく知っているのは祐次だけだ。



 そのJOLJUも、今朝早く朝ご飯を食べ、出て行ったきりだ。



 JOLJUが何をやっているか……少しエダも気にはなっていたが、今は自分のやるべきことがあった。


「脅威と決壊」でした。



ついに大クライマックス編突入です~!

バリケード決壊によりAL侵入! 避難は最後の便!

そんな中ギリギリまで駆け回る祐次。そしてどこかで作業するJOLJU!

エダの運命は!?


ここが前半の最大の山場始まりです!

これからはずっとクライマックス!


コレで終わりではありません。

これからも「AL」をよろしくお願いします。

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