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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第五章拓編後半
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「準備」2

「準備」2


新しく銃を選ぶ拓。

仲間たちもそれぞれリボルバーを取っていく。

残りを政府に売る事に。

その量に驚く伊崎。

その伊崎からある依頼が。

***



 他、ライフルや二流の拳銃は警察署の証拠品保管庫やヤクザの家から集めた。そっちは警察のPCを起動させてヤクザの情報を手に入れて家を捜索した。


 銃も弾も高く売れる<通貨>で、いつ必要になるか分からない必需品だから、二人は片っ端から集めていたのだ。もっとも、元々二人はガンマニアで趣味もあるが。


 2人は第六班所属だが、祐次は医療班でもあり、割と班とは関係なく勝手に動いていたから出来たことだ。



「お前ら、賢いなぁ」


 ネタバレを聞き感心する拓たち。それでパイソンとかDE44とか、高額で高品質なものを手に入れたわけだ。そしてここにある拳銃も一級品はそういうガンマニアの兵士たちのコレクションだったんだろう。グロックにSIG、HK、SF、ワルサー、S&Wといったメーカーから、コルトのビンテージのM1911系、カスタムメーカーのM1911系もある。リボルバーはS&W、コルトが多く、スタームルガーやタウルスもある。3割ほどはアジアの二流、三流のコピー品だ。


「リボルバーと1911系はヤクザにも人気だよ。銃のほうは怪しいがマガジンと弾は豊富にあるぜ。二流品はヤーさんの家で見つけた。そっちは貯金で残しといたんだよ」

「フルオートの自動小銃は大使館ですか?」


 篤志は足元にあったHKG36Cを掴み上げた。このHKG36Cにはスコープとライトが装着してあって、マガジンもM16系と共有できるよう実戦向きに改造キットを組み込んでいる。これなら一番豊富なM16系のスタングマガジンが使える。


「これ、僕貰っていいですか? ドイツで同じものを使ったことがあって、M4系より僕には扱いやすいんです」


「拳銃も選べよ? あ、リボルバーな。オートはマガジンの予備がそんなにねぇーんだわ。だからここに置いているわけ。グロックの9ミリは祐次が持っていったからな。ガバメント系は沢山あるからいいけど」

「じゃあ、これを貰いますね」


 篤志は棚にあった程度のいいS&WM13・4インチを手に取った。


「皆も好きに持っていっていいぜ」


 といったが、優美や啓吾はもう持っている。啓吾はあまり銃が好きではないし、優美は配給品のコルト・ローマンの他にJOLJUが持ってきたグロックG17を持っているし、レンもSIGP356を持っている。他にもJOLJUが置いていった拳銃もある。


 班で必要なのは拓くらいのものだ。


 今使っているベレッタは返却しなければいけないかもしれない。が、<アビゲイル号>には米軍基地で手に入れた別のベレッタがあるし、予備マガジンが最低でも5つくらいはないとメインの拳銃としては使いづらい。ガバメントは何丁もあって予備マガジンもあるが、7発しか入らないから心もとない。その点リボルバーならば予備マガジンはいらない。日本にいる間は38口径があったほうがいい。


 どうせ持つのならば357マグナムがいい。そうすれば全員弾を共有できるし、政府が支給する38口径も使える。性能もいいし使い勝手もいい。


 愛用にするのならば米国製の程度のいいものがいい。二流品は精度が悪く、数を撃つからバレルやシリンダーが破裂する危険がある。


 バレルは4インチがいいだろう。6インチは長いし、2インチは短い。

 とはいえ、拓はそこまで銃に詳しいわけではない。



「オススメはある?」

「4インチならM66かトルーパーだな。ステンレスだと手入れ道具も変わる。俺たちと合わせるンならスチールがいいだろう」

「じゃあコレでいいかな」


 拓は棚にあるコルト・トルーパーmarkⅢ4インチを手に取った。

 まだブルーイングが綺麗で、バレルもシリンダーも汚れや錆はなく綺麗だ。グリップはパックマイヤーのラバーグリップに交換されているから、元の持ち主も美品として眺めていたのではなく、射撃場で使っていたのだろう。拳銃は多少慣らしで使っていないと作動が硬い。

拓はトリガーを引いてみた。コルト独特の癖はあるが、思ったよりも滑らかだ。丁寧に使われてきたのだろう。使い心地は良さそうだ。



「これにする」

「OKOK。ホルスターは後ろにあるから、ヒップでもショルダーでも好きに選べよ。このご時勢、ホルスターだって見つけるのは大変なんだぜ?」

「まるでショップだな」


 拓はビアンキのレザーのパドル・ヒップホルスターとスピードローダーが2つ入るカートケースを取り、篤志はカートホルダ―のついたガルコのレザーのショルダーホルスターを選んだ。最後に時宗が「姐御はこれでいいだろう。レンちゃんと杏奈ちゃんはコレだな」と、M19の2.5インチとヒップホルスター、コルト・コブラとコルト・シックスを取って、棚にある38口径の弾が入ったボックスを掴んで外に出た。


「ほい、レンちゃん。護身用に持っときな。小さいから隠し持てるぜ?」

「うん。分かった」


 といってコルト・シックスを手渡し、倉庫のドアを閉めた。コルト・コブラは杏奈用だ。このラインナップをみて分かるとおり時宗はコルト派だ。


 生存者たちも護身用に銃を隠し持っていていい。人さえ撃たなければ取り上げられる事はないが、原則職員以外は見えないように隠し持つ事が指導されている。一般の日本人には世界がこうなっても銃に対するアレルギーを持つ人間が相当いる。なので時宗は、二人用に適当にナイロンのヒップホルスターも取ってきた。


 そして、倉庫の鍵を拓に手渡した。



「これから何があるか分からねぇーから、少しは残しておいたほうがいいけど、一丁しかないオートマチックやライフルは政府に売っていいぜ」

「いいのか?」

「俺も祐次も、もう必要ねぇーもん。半分趣味で集めていたようなもんだし」


「アンタ……意外に気前のいい、いい男だったのね」


 優美は感心した。


「今更気付いたのかよ? 遅ぇーっての」


 これだけの銃を売れば50万ポイントにはなるだろう。一財産だ。米軍基地で手に入れた銃と弾も渡せば150万にはなる。これで拓たちの貯金は100万ポイントを超える。これだけあれば、旅の準備も整うし、日本に残る篤志やレンたちも、働かずとも2年から3年くらいは問題なく、割と贅沢に生活することができる。


 時間があるうちに整理しまおう、という事で、一先ず家にあったライフルや使わない拳銃を集め、米軍基地から取ってきた銃や弾も1/4持ってきて政府に売った。


 久しぶりの大量の銃弾の補給ということで、執務中の伊崎も顔を出した。




「こんなに持っていたのか? 時宗!?」


 伊崎もさすがに驚いた。銃は全部合わせて67丁、弾は約3万3000発だ。


「沖縄に寄りましたからね。寄ったのはトリイ・ステーションだけで、半分も取ってきていないから、まだありますよ」


「そうか。沖縄には生存者はいなかったのか?」


「いや、どこかにいたかもしれません。一箇所警察署が荒らされていました。姿は見ませんでしたが」


 人数はいないと思う。最低限の武装をして拳銃を手に入れて、どこか離島に避難したのかもしれない。少人数で沖縄ならば、離島に避難しているほうが安全かもしれないし、島の中だけで自給自足できるようになっているから人数が少なければ下手に本土に行くより快適かもしれない。もっとも中国人が渡海してきた可能性もあるが、中国人ならば、周囲の店舗も根こそぎもっていったはずだ。そこまでは取られていなかった。


「分かった。いつか余裕が出来れば調査班を出してみよう」


 物資が運ばれて、ポイントに計算されている間、伊崎は拓たちを呼んだ。



「とりあえず暫定だが、拓がリーダーで時宗、優美、啓吾の四人で調達班第八班ということにしておいた。時宗は移籍だな」

「俺たち、米国に行くぜ? 政府職員は辞めるつもりだけど?」

「それはそれでいい。船の整備には時間がかかるから、その間だけでもな。ただ一つお前たちに頼みたい事がある」

「何ですか?」


「ユイナ姫の件さ」

「ユイナさん?」


「お前たちも<京都>で聞いたんだろう? 『ALが迫っている』って話だ。各方面調達班が動いて探ってはいるが、どこからかは分からない。姫曰く、自分が見て周ればもう少し分かる、という話なんだが……割く人員がいなくてな。幸いお前たちは今他に任務はないし、調達班で地方に出すには人数が足りないし」


 調達班は10人から15人で一班だ。どの班も普段は色々物資集めをしたり、生産業者の護衛をしたりしている。ほぼ軍の小隊と同規模だ。武装している人間は約600人で、そのうち伊崎直轄の班は22班。他は拠点防衛や警備任務についている。


 今、日本にいる生存者のうち16歳以上55歳以下の者の9割は、生産業か政府の職員として働いている。

 働けるものは遊ばず働かせてないと日本が維持できない。

 もっとも、ほとんどが生産業や行政担当で、銃を携帯し、戦闘が発生する調達班や偵察班などの戦闘班の数は多くなく、これら戦闘班に配備される人間は優秀な若者が多い。


 この若者の中で、祐次、時宗、拓の三人がトップ3で特に有名だった。だから政府上層部とも縁があった。


 戦闘班はいい点もある。生産班と違い実益がなくても日給が出るし、銃や弾は政府が渡してくれる。

 それに日本でオートマチック拳銃や長物の所持が許可されているのは戦闘班と警備班だけだ。


 伊崎は拓たちが配給品以外の銃をまだ多数もっていることを知っている。


 それを合法化させるには結局調達班に属させる事が一番で、これは伊崎なりの配慮だ。



「準備」2でした。



長々と描きましたが、基本銃用なのは拓ちんがコルト・トルーパーをセカンドガンにしました、ということと、ユイナと一緒に活動するということですね。

リボルバーはサバイバル世界では有用なのは以前エダ編で祐次が語っていた通り。オートマチックはマガジンがないと使えないし予備マガジンも似ているものがあってややこしかったり、粗悪品だとジャムったりと、実は重要なパーツ。一方リボルバーはバラ弾でもメーカーが違っても関係なく使えるので、あると重宝します。6発しか撃てないのが難点ですが。


さて、次回が拓編最終です。

ユイナと拓たちの任務とは?

今回は東京生活紹介編なので大きな山場はなし。

ただしこの後のエダ編後半が、なんと前半折り返しで最大の山場です!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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