「JOLJU語る」
「JOLJU語る」
夜。
ロザミアと会ったこと、オルパルのことをエダはJOLJUに相談する。
するとJOLJUは色々と語り始めた。
実は色々凄い話が。
***
「ぬぅ……<オルパル>……改造してるJO」
「見ただけで分かるの?」
「そりゃあ……これ、パラにしかないのだもん。ロザミィも結構自分勝手だJO」
夜。午後7時43分。
エダはJOLJUと晩御飯を食べているとき、今日の出来事をJOLJUに話した。
ちなみに晩御飯はベーコンエッグと手作りコロッケ、豚肉と野菜の煮込み、漬物だ。
ここに祐次はいない。祐次は避難計画の打ち合わせのためベンジャミンのところに顔を出している。7時30分には帰る、と言っていたが、遅れていることを考えると二人で色々打ち合わせをしているのだろう。
祐次がいないうちに……という事で、エダは今日の午後ロザミアと会った事を話し、<オルパル>をJOLJUに見せた。
JOLJUは、ロザミアと会った事はそんなに気にしなかったし、<オルパル>自体は前回見ていて知っているが、<AL封じ機能>が付けられている事に、珍しく渋い顔をした。
ロザミアが出来るという事は、JOLJUにも出来たという事だ。
これだけ親身になり色々反則的なサポートをするJOLJUですら、<AL封じ機能>は与えなかった。本当はそれだけ禁断のアイテムなのだ。
「地球人の科学じゃあ絶対解析できないからいいけど、ク・プリとゲ・エイルは興味を示すはずだJO。そうするとちょっと厄介なの」
「ロザミアさんも秘密に、って言っていた」
「秘密だJO。祐次はいいけど他の地球人にも教えないほうがいいかも。地球人は異星人慣れしてないから、エダの事、ヘンな目でみるかも」
珍しくJOLJUが不満げだ。
「そういえば……ロザミアさんも、JOLJUは叱るって言っていたけど、そうなの?」
「うん、叱るJO。多分そこにいたら止めてたJO。これ、ク・プリやゲ・エイルでも解析不能な超科学なんだけど」
そう言うが、JOLJUは別にエダから取り上げようとはせず、それをエダに返した。
「ま、いいや。オイラもエダに何かあったら嫌だし。オイラが渡すと超大問題になるけど、ロザミィが自分の判断でやったことなら…………まあ……まぁ、いいや」
「いいの?」
「皆には秘密だJO?」
簡単に納得するJOLJU。自他共に認める宇宙一軽くてルールに拘らない超生命体である。
JOLJUが相手だと、これが重大な事なのか、それほど問題でもないのか、よく分からなくなる。
エダは、もう一度手の中にある<オルパル>を見つめた。
「これ、やっぱり、凄いものなの?」
「ALって、実はすんごい存在なんだJO。アレ、分析するのも使役するのも本来パラレベルでも無理。ぶっちゃけアレが解明できる科学力を持つ宇宙文明はほとんどない。<神>でもLV4や5じゃ無理なの。殺そうと思えばLV5の神くらいなら殺せるし。アレ、<BJ>が本気で作った、この宇宙ではかなりチートな存在だし」
「そんなにすごいの!?」
「シンプル・イズ・スペシャルだJO」
JOLJUはため息をついた。
「オイラやロザミィには大したモノじゃないけど、他の人にとってはかなり拙いモノなんだけど……貰っちゃったんだし、折角だし、エダも安全になるし、皆に秘密にするのならいいんじゃないかだJO」
やっぱり軽いヤツだ。過ぎた事は気にしない。
「祐次には?」
「オイラがいつか折りみて言うJO。エダからは言わないほうがいい。エダがいうとロザミィのこと、説明しないといけなくなるから。祐次もロザミィの名前と存在は知っているけど、会った事はないんだJO」
JOLJUはどんぶり飯を掻き込みながら、ちょっと頭を傾げた。
「仕方ない。使えるようにするJO。エダ、ナイフか針持ってる?」
「うん。ナイフは持っているよ?」
銃とナイフと懐中電灯は、どこに行くときも必ず持つこと。それがこの世界のルールだ。エダも折りたたみナイフをいつもポケットに入れている。
「DNA登録が必要なんだJO。ほんのちょこっと血をつけるだけで自動登録して使えるようになるJO。ちょっとでいいJO?」
「わかった」
エダはナイフを取り出して、軽く小指の先を突いて血を滲ませた。
それを<オルパル>に塗ると、一度<オルパル>は眩しく光った。
エダは自分の傷をティッシュで拭いた。血はそれで止まる程度の傷だ。
「ロザミィ、すぐ返事あったんだよね? 近くにいるのか。何してンだろ?」
「JOLJUもロザミアさんが何をしているか知らないの?」
「半分は知ってるJO。ええっとね……秘密だけど……どっちも人探しなの。一つは祐次やエダも関係している<ラマル・トエルム>だJO。こっちは手伝っているというより、<ラマル・トエルム>が何なのか、ロザミィ自身も調べているってカンジ。これはオイラがロザミィに頼んだからだけど」
やはり、ロザミアとJOLJUは根の部分では繋がっているようだ。
「まだ他に誰か探しているの?」
「<星の子>だJO」
「<星の子>?」
これは初めて聞く言葉か?
いや、確か初めてロザミアと会ったとき、彼女はエダを見て、そう口にしていなかったか。
「こっちはエダにも祐次にも関係なくて、ロザミィだけの仕事だから詳しくは言えないケド……エダもこっちの世界に一歩踏み入れたから、いつか知ることになるかもしれないJO。でも出来れば、エダだけじゃなくて、祐次もこっちにきたときじゃないと……今聞いたってどうにもならないし」
「それが……ALや異星人の<神>が地球を侵略する理由なの?」
「まあ、理由の一つとしては。他にも色々あるけど」
「色々あるんだね」
ただ地球が欲しくて侵略しているのではない……それは、今日ロザミアと話をして分かった。ロザミアは説明してくれなかったが、ロザミアたちにかなり複雑な事情がある事は分かった。そしてロザミアたちが本気なら、とっくに地球は滅ぼされている事も知った。
多分事実だ。科学力の差は圧倒的で、地球人がもっとも弱い。
確かに77億人が12万人まで減ったのだ。200億のALが本気を出せば、残り12万の人間など、簡単に絶滅させる事ができる。祐次ほどずば抜けた人間がいても、AL
大群の前には完全に勝つ事はできず負傷する。
ふと……ロザミアの言葉も思い出した。
『責任は自分とJOLJUにある』と。
「JOLJU」
「JO?」
「こんなこと、JOLJUに聞くのは、駄目なことは分かっているんだけど……今回だけ、聞かせて。JOLJUが本気になれば……地球は救えるの?」
「…………」
JOLJUは黙った。
エダは息を呑む。
JOLJUは<神>だ。本人は何もできないと言っているが、ロザミアの話からすると、それは事実とは違うようだ。もしかしたら祐次やエダが考えている以上の存在ではないだろうか?
「JOLJU語る」でした。
JOLJU、今更ですがすごい奴です。
こいつだけは世界の秘密もALの秘密も知っています。
祐次はそれを知っている上で聞かずに付き合っていますが、エダがそれを口にするのは今回が初めてです。
そもそもほとんどの人間が信じていませんが、現在地球に存在している中で一番高度な神ですし。
さて、JOLJUは何を語るのか。
これからも「AL」をよろしくお願いします。




