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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第五章エダ編前半
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「蒼い髪の友達」

「蒼い髪の友達」



アリシアのいない世界を哀しむエダ。

ふと、エダは聞いてみたくなった。

どうして地球を侵略しているのか。

そして予想いていたより簡単に彼女……ロザミアは現れた。

***



 いつのまにか、ここに足を運んでいた。


 エダは、セントラル・パーク内に作られた墓地に来ていた。


 元々墓地ではなく、芝生の生えた一角が、墓地として使われていた。


 ここには、これまで死んだ住民の墓が並んでいる。もう50以上にもなる。中には遺体が回収できず、十字架だけの墓もある。


 そして、出来たばかりの墓がある。


 アリシアの墓だ。


 エダは、公園で摘んだ花を、置いた。

 アリシアの墓の前は花でいっぱいだ。


 あれから葬式に参加できなかった住民たちも、若くして亡くなった自分たちのリーダーを偲んで花を置いていき、山のようになった。


 それだけ彼女は愛されていた。



「みんな……アリシアさんがいなくなって、寂しがっているよ?」


 失ってから分かる、その存在の大きさと愛情。皆、どれだけアリシアの存在に励まされ、助けられてきたか……。


 そしてエダにとって、どれだけアリシアとの時間が楽しかったか。


 この崩壊した世界で、新しい土地で……エダが明るく楽しく過ごせたのは、アリシアの存在が大きかった。そして、アリシアだけが、エダの最大の理解者だった。エダが祐次に対して家族以上の感情を抱いている事を知っていて、相談できたのもアリシアだけだった。



「やっぱり……つらいよ。きついよ。アリシアさん」


 エダはそっと語りかける。

 だが、死者は……墓は答えてくれない。

 こうしてアリシアの墓を見ているだけで、涙が込み上げてくる。



「泣いちゃ駄目、エダ。……泣いてばかりいたら、アリシアさんに叱られるから」


 もう、充分……沢山泣いたんだから、駄目……!



 ……世界が崩壊しなければ……アリシアさんは……死ななかった……のかな?



 アリシアはトビィたちと違う。病死だ。世界が正常であれば、ちゃんと病院に入って、専門家がいて、アリシアは大変な闘病生活を送るが、命は助かっていたかもしれない。


 が、世界は崩壊したのだ。世界が彼女の命を奪った。

 そして……今、ALの大襲来が迫っている。


 また大勢の人間が死ぬかもしれない。


 どうして……そんなことになるのだろう。


 その時だ。

 不意にエダは思い出した。



「聞いて……みよう……かな?」


 他の人間には出来ないけれど、自分は聞けるかもしれない。


 エダは、皮紐で括ってペンダントのようにした、鮮やかな光彩を放つ丸い水晶を取り出した。


 一見すると、勝手に光っている不思議な水晶だ。だがこれは<オルパル>というもので、ある人に何か信号を出す機能がある……らしい。まだ使ったことはない。


 エダは掌の中にある<オルパル>を見つめた。



「念じれば……伝わる……んだよね?」



 試しに……。


 一度、ゆっくり話をしてみたかったから。



「一時間後、ここで待っています。もし近くにいたら、来て貰えますか?」


 そう念じてみた。


 特に、何か変化はない……と思った。


 エダが病院に戻ろうとした時だ。手の中の<オルパル>が突然光った。



「え!?」


『一時間後、行くわ』


 女の声が聞こえた。


 だが周りには誰もいない。そして<オルパル>の光が、収まっていく。


 間違いない。今、連絡が取れた。



「一時間後!」


 エダは腕時計で時間を確認する。

 祐次とJOLJUが病院で昼ご飯を待っている。それを思い出すと、エダは荷物を持って駆け出した。祐次とJOLJUが今頃腹を空かせて待っているだろう。



 そして……。



 祐次とJOLJUと三人で昼ご飯を食べ終わると、今朝焼いた来客用のクッキーを一袋と、よく冷えたコーラを二本持ち、祐次に断って外出した。



 丁度一時間後……セントラルパークに戻ってきた。



 この墓地のあるエリアは、農場になっておらず、ここは芝生と森が残っている。住民たちが集まったり安らぐために残していた場所だ。いつか……死者が増えたときのための土地でもある。




「…………」



 そこに、彼女はいた。



 蒼い髪。そして蒼い瞳を持ち、やや丈の短いマントを羽織り、地球のものではないシンプルなチェニックを着た、若い女性だ。



 不思議な事に、彼女は半透明で透けていた。



「ロザミアさん」


 エダが声をかけると、彼女……ロザミアは気付き、微笑んだ。

 半透明だったロザミアの姿が、はっきりと実体化した。



「宇宙にいたら体験できない事って、何だと思う?」


 唐突に、ロザミアは言った。


「何ですか?」

「雨」


 そういうとロザミアは楽しそうに空を見上げた。

 昨日まで雨が降っていたが、今日は上がり、見事に晴れている。


「宇宙船にいると景色は面白くないの。星雲のガスの海や氷のダストの雲海、輝く小惑星の渦とか、恒星フレアの光の舞いとか、ブラックホールの超時空のゆがみとか、色々な天候があるけど、雨や雪ほど気持ちが清々しくはならない。やっぱり惑星の中は面白いわ」


「あたしは宇宙を見たことがないから、そういう宇宙に行ってみたいです」


「いつか連れて行ってあげるわ」

「宇宙に?」

「大きな宇宙船を持っているから」

「すごいですね。宇宙船、見てみたいです」


「機動戦艦<ヴィスカバル>。ええっと……地球の単位だと……約1.6kmね。大体宇宙の機動戦艦って約800m前後だから、大きいほうよ。あの船なら銀河の色んなところにいけるわ」


 彼女にとって、宇宙は未知なる場所でも危険な場所でもない。


 ロザミアはエダの横にやってきた。


「私に何か用?」

「友達が死にました」

「そう」


「ちょっと、ロザミアさんと話がしたくて。別に大した用じゃなくて……ただ、お話がしたかったんです。忙しいのに、ご迷惑でしたか?」


「いいえ。<友達>って、そういうなんでもない話をするものなんでしょ? その相手に貴方が私を選んだのであれば、私は問題ないわ」


 ロザミアはちょっと楽しそうに笑う。

 その笑顔を見て、エダは最初出会ったときに感じた自分のフィーリングが間違っていない事を確信した。


「蒼い髪の友達」でした。



エダ・ロザミィ編です。


実はロザミィことロザミアは、かなり重要キャラです。

というのも、ざっくり云ってしまえばある意味人類にとってはラスボスです。侵略者側のリーダーですから。

しかし少なくともエダには友好的なようです。そしてJOLJUも敵とはいっていません。

ロザミアの立ち位置はラスボスというより別軸の準主人公格というほうが近いかもしれません。

むろんロザミアだけは世界の謎も侵略の謎も全て知っています。

侵略をしているのに地球人の友達が作りたかったという不思議なロザミィ!

彼女が持つ秘密とは!?



こうしてロザミアが出てくることでエダは<宇宙編>に参入していきます。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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