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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第四章エダ編
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「異星人訪問」

「異星人訪問」


祐次とJOLJUは科学者に会いにサウスブロンクスに。

そこにいたのは、一見地球人だが、実はク・プリ星人。

祐次の用件は英雄探しとアリシアの件。

しかしク・プリの興味は別にあった。

***



 10月26日 午前10時14分 サウスブロンクス


 祐次とJOLJUは、地図の場所に到着した。


「確かに変人ぽいな」


 そこは小さな公園に面した一軒家だった。


 一見すると他の家と変わらないが、衛星パラボナアンテナと太陽発電機が設置してあり、昼だというのに灯りが点いていた。そして手作りだが、やや大きな倉庫もある。


 それだけならまだいい。周囲には他にもPCらしいものを沢山積んだ車や、よく分からない家電や機械類のジャンク、鉄板やケーブルなど、何に使っているか分からないものが山積みになっている。


 これで、疑惑は確信となった。


 この崩壊した世界で、こんなに豊富に電気を必要とし、かつ電気を生産できるのは、異星人だけだ。


 念のため、JOLJUが外にある発電機を勝手に調べてみた。



「改造されているJO。太陽発電機だけど、増幅装置と小型蓄電装置がついているから……一日中家電つけっぱなしで遊んでも、まず、電気には困らないと思うJO」


 ちなみにそのらいの改造はJOLJUも祐次のためにやっている。宇宙船で電気を作るのはごく初歩の科学技術で、専門家でなくても出来る。

 

 ただし地球人には難しい。


「他には?」


 他に特別な仕掛けはあるか? という意味だ。


「あのアンテナは宇宙通信用だJO。受信は色々できるけど送信はそこまでじゃないかな?」

「そうか」


 祐次はステアーAUGとヴァトスを身につけ、歩き出した。


 二人は玄関に向かった。そしてインターフォンを鳴らした。


 15秒ほどして、一人の痩せた背の高い色白の中年男が姿を現した。


 男は室内なのに、ウールの帽子を被り、さらに深くフードを被っている。



「何か用かな?」

「ロイ=ブレッドか? ベンジャミンから聞いていると思う。日本人のドクター、黒部 祐次だ。そしてこっちは相棒のチンチクリン」


 ロイは足元にいるJOLJUを見て苦笑する。



「ようこそJOLJU。お会いできて光栄だ」


 自己紹介するまでもなくJOLJUのことを知っている。祐次はわざと名前を「チンチクリン」と呼んだのに。

 これで間違いない。



「ク・プリアンだな?」

「君とは初めて会うが、どこかで会った事があったかな? それともJOLJUから聞いたのかな?」

「米国でク・プリアンに会うのは初めてだが、ドイツで一人、日本で三人、ク・プリアンと会っている。心配するな。ベンジャミンたちには、貴方たちがク・プリアンだとは言っていない」


 それを聞くと、ロイは自分の首元に手を当てた。そこには金属の首輪があり、触れると一瞬首輪が眩しく光った。


 光が収まったとき……そこにいたのは、地球人とは違う青白い肌をした別の顔が現れた。



「ド・ドルトオだ。ようこそ、テラリアンの青年」

「…………」

「驚かないな? 地球人は異星人を見ると驚いて正気でいられる人間はいないのだが、君は驚かない。ということは、君の言葉が正しいということだ。君はク・プリアンを知っている。だからこの姿を見ても驚かない」


 ロイ……いや、ド・ドルトオは微笑む。

 丁寧だが、ちょっと説明臭い喋り方なのは、ク・プリアン全員の癖のようだ。



「俺たちも科学者に用があって来たんじゃない。ク・プリアンに用があって来たんだ。驚かないさ」

「いいよ。色々話があるようだ。私たちも色々聞きたいからね。中に入りたまえ」


 ド・ドルトオはドアを開け、二人を中に招き入れた。




***




 中は、いかにも『変人科学者オタクの巣』だった。


 乱雑に積み上げられている様々な専門書。何年分か分からない新聞の束の山。そして何台も起動している大型モニターとデスクトップPC。そして大型液晶テレビモニターには何年か前の映画が垂れ流されていた。そして果実ジュースの缶が、そこいらに散らばっている。正に<オタク科学者の巣窟>だ。


 意外に地球人と変わらない生活感がある。


 祐次は飲み干されたオレンジジュースの缶を何気に手に取った。その傍らには齧りかけのチーズがあった。


 ク・プリアンは果実ジュースを好む。

 そして連中は、アルコールは好まず、代わりに発酵食品を嗜好品として楽しむ。彼らは発酵食品で酔っぱらうのだ。特に乳製発酵食品が好物だ。連中にとってチーズやヨーグルトは極上の酒なのだ。他の人間から見れば<変わった好み>と思うだけだが、これが地球人とク・プリアンの種族の差だと気付く人間はいない。


 祐次とJOLJUを出迎えたク・プリアンは、5人だった。



「元々は8人いた。2人はALに殺され、1人は旅に出たまま帰ってこない。もう地球での生活も……<シー・スーカ>だ」


 ド・ドルトオが屈託ない笑みを浮かべ言った。


「<シー・スーカ>?」

「地球の単位で4スーカだJO。約8年ちょっとだJO」

「ということは初期組か」


 1スーカーが720日で、2年ほどらしい。


 ちなみに会話は日本語だ。彼らは地球の主要な言語であればどの国の言葉でも喋れる。それだけ知能が高い……のではなく、地球に順応するため、地球の言語や情報をデーター化して<エノラ>で自動的に習得したのだ。元々<エノラ>はこういうためのものだ。



「成程。我々の言語までは分からないわけですね。では貴方たち地球人の単位と言語に合わせましょう。大丈夫だ。地球の基本情報はよく把握している」


「第一接触対象だからな」


「そのことも知っているわけですね。成程、興味深い。さて、こんな話ができるなんて、我々にとっても興味深い時間だが、用件があるのだろう? まず、重要な話から終わらせようか? クロベ君」


「そうだな」


「まずは質問に答えてくれるかな? 君が我々の知識を持っていることは、JOLJUと一緒であることから分かる。しかし、ただそれだけでJOLJUは宇宙世界の話はしないはずだ。君は地球人のレベルを超え、宇宙世界側に来たわけだが、どうしてかな? 用件を聞く前に、まず君の事を聞きたい。私たちが君を信頼するかどうかは、そこから先の話だ」


「無茶苦茶な<神>の指示だ」



 そういうと祐次は近くに椅子に座った。


 そして語った。


 日本臨時政府に3人のク・プリアンが保護されている事。サ・ジリニと横浜の事。レ・ギレタルの事。<BJ>の事。<ラマル・トエルム>の事を。



 話を聞いたド・ドルトオたちはしばらく沈黙し、顔を見合わせた。




「異星人訪問」でした。



実はエダ編では、初めてのク・プリ星人の登場です。

共通プロローグでサ・ジリニ。拓編、過去祐次編でレ・ギレタル。そしてここでド・ドルトオたち、ということです。名前の最初が一文字なのがこの種族の名前の特徴ですね。

一応ク・プリにも男性・女性はあります。レ・ギレタルは女性ですし。

ただ、実は地球人ほど体格差がなく、女性も胸はそこまで大きくありませんし、身体が柔らかいとかいいにおいとかそういうものはなく、どっちも中性的に変化している種です。


さて、祐次の用件は英雄探しとアリシアですが、ここではク・プリたちの意図と事情も判明します。なぜ地球にいるのか、ですね。

ちょっとSF色が強くなってきました。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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