「三人の女・エダ」
「三人の女・エダ」
謎の異星人に取り囲まれたエダとJOLJU。
JOLJUが語る、JOLJUの秘密。
実は宇宙でもトップクラスの存在と知り驚くエダ。
仕方がなく出て行く二人は、千党体制の異星人に囲まれた……!
***
NY ゲ・エイル船
ゲ・エイル船のメインデッキにある指揮官椅子の上で、JOLJUは難しい顔をして座り込んでいた。
その傍ではエダがいる。
「まだ……ゲ・エイルさんはいるの? JOLJU」
「いるみたい」
JOLJUは自分のスマホを見ながら頭を掻く。
3分ほど前、JOLJUはスマホを使って外にいるゲ・エイル星人に語りかけた。
といっても「自分はJOLJUだJO! お邪魔しているJO」と言っただけだ。
その返事はない。
返事はないが、レーダーには5つの反応がすぐ近くにある。
「オイラ……こんなに影響力なかったのかしらん?」
「そうなの?」
「それとも本当にオイラかどうか気になってるのかしらん?」
「ゲ・エイルさんはJOLJUの事知っているの?」
「知っているJO。まぁ宇宙にいけばオイラ有名人だし。今だってゲ・エイル星人が襲ってこないの、相手がオイラだからだもん。ゲ・エイル星人って喧嘩早い種族で、本当は他種族が自分の船に入り込んだらメッチャ怒って戦闘になるんだけど……相手がオイラだしねぇ」
「JOLJUは<神様>だから?」
「んー……そうなんだけど。ま、正しくはオイラ<神様>とはちょっと違うんだけどね。あー……祐次には説明したけどエダには言ったことなかったっけ?」
「JOLJUが<神様>をしていたって事は知っているけど」
「エダだし、いいかなぁ……他の人にはあんまり言ってないんだけど。まぁ祐次には言ったけど」
どうやらJOLJUは自分の説明をする気分になったらしい。
「オイラLV2の超生命体なんだけどね。分類的には<神様>になるんだけど、地球の定義でいえば神様じゃあないんだJO」
「そうなんだ」
「だってオイラ、神様っていうけど宗教とかないもん。人に対して何か教えようとか自分の考え伝えようとか思わないし、崇められたり敬まれるのイヤだし、JOLJU教とかないし。なんかすごい事するわけじゃないし」
「不思議……だね」
確かに神様らしい事は一切していない。
「そだなぁ……地球でいえば……例えばゼウスさんとか、オーディンさんとか神様だよね? これって宇宙規格ではLV5なんだJO。ざくっというと、人を守護したり導いたり宗教上指導者とかして色々干渉する神様はざっくりLV5。この神様が一番身近で一番どこにでもいて、精々奇跡を起こしたり幻獣とか海とか山とか作れるくらいなの」
それこそ神様の姿では……? とエダは思った。
「じゃあその神様を生み出したり、惑星の生命を作ったりする、もっと偉い太古の神とか、世界そのものを作った原始の神様とかっているでしょ? 大体太陽系くらいを支配できる力……それがLV4の神様。多分地球人の定義で<神様>の一番偉いのって、このLV4なの。この神様は文明世界の数だけいるし、宇宙にいけば結構いるJO」
「それよりすごい神様っているの?」
「厳密にいうとここから上は地球の言葉だと<神様>とは呼ばないと思う。というのも、次のLV3になると、太陽系だけじゃなくて、大体銀河ぐらいの範囲の全宇宙を創造するようなレベル。もうそんなの神様というより別の超存在。身も蓋もない表現だとね、もうこのあたりからいちいち人間とか文明なんて気にしない連中なの。ここまでくると全宇宙でも一気に数は減るJO。この銀河系で数人レベル。あ、ALの生みの親でオイラの天敵<BJ>はこのランク」
「す……すごすぎて……もう訳が分からなくなりそうだけど。でも……JOLJUはそれよりすごいの!?」
「オイラもう一つ上のLV2なの。LV2になると、銀河系規模じゃなくて全宇宙なの。太陽系みたいな星系が1000億集まったら銀河で、その銀河が1000くらいあるのが全宇宙だから、その全宇宙の神様。それどころか宇宙の外もいくし別次元にもいく。ここまでくると全宇宙でも20人しかいない。種族はなくてみんな個人。ここまできちゃうともう何だろうが自由だし、LV2同士で揉めることもなければ喧嘩もしないし一惑星の人間に関わろうなんてのは、オイラとあと二人くらい。だからLVは一番高いけど<神様>らしい奴は誰もいないJO。LV1は忘れていいJO。もう三次元世界の生き物とはいえないし、LV2クラスしか存在は知らないし会えないし気にしなくていいJO」
さすがのエダも規模が大きくなりすぎてよく分からない。
「ええっと……いうなれば……あたしたち人類や人類は小さな虫一匹で、JOLJUは人間……みたいな?」
「さすがエダ! いい理解だJO! それでいくと、オイラはすっごく虫好きのお馬鹿な物好きってカンジだJO」
JOLJUはウンウンと頷く。
実際はJOLJUが人間だとすれば人類は虫でも蚤やミジンコ一匹クラスだが、別に今JOLJUは自分の能力を誇りたいわけではないからどっちでもいい。
「オイラ、生命体としての進化レベルだけは高くてLV2になっちゃったけど、特に何かできるわけじゃないし、文明社会好きだし、色んな星にいって色んな友達いるし。ということで比較的色んなところで活動してたから、宇宙移動できるような種族は大体オイラのことは知っているワケだJO」
だから全宇宙の知的生命体の言語や文化は全て知っている。そう考えるとこのチンチクリン生命体はかなり超絶した生命体だ。
「ゲ・エイルさんたちもJOLJUがすごいって知っているんだね」
「だから手を出してこないんだけど……帰ってもくれないJO。何か用あるのかしら? <BJ>への苦情はオイラに言われても知らんケド」
「…………」
「おなかも空いたし、直接聞きに行く? 待っていても帰ってくれそうにないし。エダに用があるのかもしれないけど、オイラがちゃんと守るから心配いらないJO」
「うん。分かった。JOLJUを信じるよ!」
「ありがとだJO! じゃあさっさと行って帰ろうだJO~」
そういうとJOLJUはエダの先を歩いていった。
***
エダの目に映るのは、マンハッタンの廃墟と満天の星空だけだ。そして暗い。
人も、ALも、何もいない。
だが、外に出た途端JOLJUの表情は険しくなった。
そしてJOLJUは誰もいないストリートの中央を見つめている。
「ミミ・ラベラ・ニーアドJO! (オイラには見えてるJO)トタラ・ベーデ・ターJO! (出てきたらいいJO)」
「……JOLJU……それは?」
「ゲ・エイル語だJO」
数秒、沈黙があった。弱い風が吹いた。
そして、道の真ん中に5つの赤い光が灯った。光の目のようだが体は見えない。
その光がゆっくりと近づいてくる。
JOLJUはエダの前に立ちはだかった。
「モリミ・アド・グラデイリアテド・ミミJO! (遮蔽装置を使ってもオイラには意味ないJO) ダレドドーソ・ミミ・グレイパJO (オイラに対して失礼だJO)」
赤い光が止まった。
そして、何もない空間に、光の波紋のようなものが走ったかと思うと、まるで海の奥から浮上してくるかのように、人影が5つ浮かび上がってきた。
「プレデター!?」
エダは思わず呟いた。
視覚遮蔽装置を解除したゲ・エイル星人が、ついに姿を現した。そう、それはまさに映画『プレデター』のように、連中は姿を消していたのだ。
5人。距離は20mほど。
全員大きな金属製の仮面を被り、目のところが赤く光っている。そして銀色の金属のような光沢を持つマントを羽織っていた。全員背が高く、身長は190cmほどもある。性別は男か女かは分からない。そもそもゲ・エイル星人に男女があるかエダは分からないが。
ゲ・エイル星人は姿を現すと、JOLJUに向かって何か話し始めた。JOLJUもそれに応じ会話を続ける。ゲ・エイル星人の言葉で何を言い合っているか、エダにはさっぱり分からないが、最初はいつものJOLJUの暢気な口調が、段々険しい言葉になっているような気がする。
「うーむ」
JOLJUは腕を組んだ。
ゲ・エイル星人たちはそれぞれ手を上げると、まるで『スター・ウォーズ』のジョダイの騎士のように、赤いレーザーソードを出現させた。
戦闘態勢だ。
「三人の女・エダ」でした。
便宜上タイトルではエダにしていますが、実際はJOLJU編ですね。
祐次が三章の前半でJOLJUがLV2であることを聞いていますが、今回はより具体的にエダが聞きました。今回は例えがついていてすごく的確にレベルが分かります。
神様の中の神様……が1000近くある銀河の神様……より上の神様。
確かにここまでくると、もう神ではないのかもしれない……
ということでゲ・エイル星人も初登場!
こっちはALとは別の意味で戦闘的か!?
そしてついに次回、あのキャラが登場!!
クライマックス!!
これからも「AL」をよろしくお願いします。




