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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章エダ編・後半
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「奪還作戦」

「奪還作戦」


一方NY共同体。

ベンジャミンとアリシアは、エダと祐次の奪還作戦を開始させようとしていた。

居場所はおおよそ判明した!

そして事実を知り憤る仲間たち。

そこにJOLJUから連絡が……。

***



 NY コロンビア大学前 自治体基地。


 午後19時29分。


 <リーダーズ>の作戦室に、6人の<リーダー>と、自警団の主要メンバーが集まっていた。


 そこには、タクティカルベストを着た完全武装のベンとアリシアの姿がある。

 部屋の中央には、ブルックリン地区レッドフックの倉庫群の地図が広げられていた。


「この倉庫群の海から三番目。そこだけ明かりが点いていた。ライフル持った監視が屋上に5人もいて明らかにヤベェー感じ。でもあそこは沢山倉庫があるし、細い路地も沢山あるから近づく事はできると思う」


 デズリーもここにいた。Bandit(バンデッド)の根城を見つけ出したのは彼ら少年団だ。

 元々デズリーたちはBandit(バンデッド)と交流があったし、ブルックリン地区は少年調達班の活動圏だ。何より崩壊し街頭や街の明かりは皆無になったから、明かりを見つけるのはそれほど問題ではなかった。



「場所は分かった」


 ベンは赤のマジックで倉庫を丸く囲む。


「アリシアの推測だが、クロベを必要としているのはメリッサだ。倉庫でメリッサの姿は見なかったし、会いにも来なかった。あの女に何かあったのなら、医者を誘拐するのも頷ける。誘拐するのなら、クロベよりリチャードのほうが簡単なはずだ。だがリスクを負ってまでクロベとエダ君を攫った。容態は軽くはない、と俺は見ている」


「ベンの説が正しいとしよう。クロベが必要だということは外科だね。エダ君が助手にいるとはいえ実質クロベ一人だ。病気が何か分からないが2時間は手術に時間がかかる。その間は連中も手術の進行を気にかけているはずだよ」とリチャード。


「聞いて欲しいの。クロベは医者としての高い技術がある。完全に治療が終わるまでは連中も殺さない。それにあのドクターは化け物みたいに強い。でもエダのお嬢ちゃんは別。あの子が捕まっている限りドクターは言いなり。そしてあの子を誘拐している限り、連中も私たちが強硬手段には出ないと思っている。そこが狙い目なの」


 アリシアの言葉に、皆が首を傾げた。


「あの子は、実は助ける手配は済んでいるの。私たちにはよく分からないけど、Bandit(バンデッド)たちからは引き離せる。でも問題はその後。多分エダが消えたら連中はドクターを責めるわ。あのドクターが大人しく屈するはずがないから、戦闘になる。この時、彼の命が危ない」

「だから俺たちの作戦はドクター・クロベを取り戻す事だ。彼にはアリシアを助けてもらった借りがあるし、我々にとっても必要な人材だ。全面戦争は避けたいが、どうにもならない時はやる。それで――」


 その時だ。

 テーブルの上の無線機が鳴ると、『もしもし~だJO』と聞きなれた間抜けな声が聞こえた。


 ベンは全員に静かにするよう合図し、無線機を取った。



『もしもし亀よぉ~亀サンよぉ~だJO』


「エイリアン君か?」


『JOLJUだJO。ええっと……誰?』


「ベンジャミンだ。クロベの策とやらか?」


『あ、そうだJO。後20分くらいでなんとかなりそうだJO。ということでUFOのところまで車を持ってきて欲しいんだJO~。あー、オイラ運転できるから車だけでいいJO。いつ出て行けるかわかんないし危険だから待ってなくてOKだJO』


「分かった、エイリアン君。車は20分で届ける。誰か人はいなくていいのだな?」


『んー……外で待たせる事になるし、ALも出てくるかもしんないし、戦闘が起きたら危険だから車だけでいいJO。あ、ご褒美にケーキとかフルーツパイとかあると嬉しいJO。オイラもう今日いいもの食べてなくておなかペコペコだJO』


「分かった。すぐ手配する。何かあったら無線で連絡をくれ」


『らんらん・るーだJO』



 無線は切れた。



 アリシア以外の人間は何がなんだか分からない。



 しかしベンにとって知りたい情報は得られた。



「エイリアン君の作戦は成功のようだ。詳細は省くが、20時以降は、エダ君の安全は得られるということだ。だから俺たちは20時を目標に作戦を実行する。一応完全装備で作戦を立てていくが、極力相手は殺さず戦闘はしない。降伏してくれるならそれでいい。だがそのためには連中の棲家まで戦闘は極力避ける。暗闇だ。接近してスタンガンとチェイザー銃を使う。それで見張りを排除する」


「第一陣が見張りの排除よ。夜間戦闘に慣れたベンと私が指揮。グレンとダニエル――」

「俺とシートンも行くよ。顔見知りだし不意がつけるかも。連中も俺なら気を許す」


 デズリーが挙手する。

 ベンが眉を顰めたが、アリシアの意見は別だった。


「油断させるにはいい手かも。生意気で油断ならない子供だし、酒でも手土産に下げていけば中に入れるかもしれない」


「ベン。俺たちなら武器がないって思われている。襲撃前に子供がやってくるとは思わないさ」


「危険だぞ? お前、いいのか?」

「俺、男だぜ? やれるよ。あの可愛いお嬢ちゃんは、チョコクッキーを焼いてくれるって言っていたんだ。可愛い女の子のためと旨いクッキーのためなら、このくらいヘッチャラさ」


「分かった。第二陣の本隊はガブスに率いてもらう。俺たちの潜入が成功したら突入を指揮してくれ」


「何人連れて行ったらいいんだ,ベン?」


「出来るだけ多くだ。だが、これだけは断っておく。この作戦は一歩間違えれば戦争だ。皆が命を賭ける理由はない。だから作戦参加は強制じゃない。俺とアリシアはドクターに借りがある。デズリー、グレン、ダニエルは志願してくれた。参加するかどうかは各自で決めてくれ。ただし10分以内にだ」


「あのドクターはハリーとゴードンの命の恩人だ。それに橋で化け物を倒してくれた。俺たちだって借りがある」


「あの天使のお嬢ちゃんのためなら何だってするさ。あの子のブラウニーは絶品だし、あの笑顔は見ているだけで心が洗われて嬉しくなる。あの子のためなら何だってやる」


「俺もだ。あの子が来てから毎日が楽しくなったんだ。許せねぇ」


 自警団の仲間たちが口々に言う。誰も迷いもなければ躊躇もない。

 どうやらあの純粋な天使に心を奪われてしまったのはベンやアリシアだけじゃないようだ。


 ベンは嬉しくなった。


 確かに、あの少女はアリシアの言うとおり、人類にとっての希望なのかもしれない。



「5分で準備だ。すぐに移動する。作戦は現場で伝える。無事終われば、皆で祝杯を挙げよう」


 ついにNY共同体も動き出した。


「奪還作戦」でした。


だんだんタイトルも佳境になってきました!


判明早い! と思うかもしれませんがね元々狭いNY市内の話で、しかも基本無人の街。ネオンはないので明かりがあればわりと遠くからでも見つけられるわけですね。


さあ、ベンとアリシアも動きます!

そしてJOLJUの準備が終わったという事はエダは大丈夫?

しかし祐次はどうなる!?


ということで次回です。

ぼちぼちクライマックスです。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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