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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章エダ編・後半
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「二人の警官」

「二人の警官」



帰路につくベンジャミンとアリシア。

だが、二人もやられっぱなしでは収まらない。

二人はエダと祐次奪還のため動き出す!


***


 車は真っ直ぐ北に向かう。

 車内……。

 アリシアは本気だ。

 


「あの子を取り戻すまでは私は諦めない」


「随分お気に入りだな。分かっているか? 俺たちが動けば戦争だぞ?」

「貴方がやらないなら私一人でもやるわ」


「俺も手伝う。ドクターにもそう約束したし、俺だってエダ君が可愛い。クロベがキレていなきゃ、俺がブチ切れていたところだ」

「私はとっくにキレているわ」


 そういうとアリシアは悔しそうに前髪を掻き分けた。



「あの子……誘拐されたとき、連中に何て言ったと思う?」


「…………」


「『アリシアに手を出さないで! 医者が目的なら自分だけでいい。アリシアは解放して! アリシアは大切な人なの。あたしは残るからアリシアには何もしないで!』……って」


「…………」


「涙を浮かべて震えて……怖かっただろうに……汚くて臭くて武器を持った、11歳の上品な女の子が絶対毛嫌いしそうな怖い大男たちに囲まれているのに……あの子はそう言い切ったの。あんなに勇敢で賢くて優しい子いる!?」


「……エダ君らしいな」



 11歳とは思えない。

 あの子は歳相応の純粋さと、見た目通りの心の美しさと、大人に負けない勇気を持っている。まさに<天使>のような娘だ。あの少女の笑顔が失われる事は、何よりも大きな損失だ。



「あの子のためなら、私は命を賭けられるわ」

「ああ。俺もだ」


 ベンジャミンは運転しながら煙草を咥えた。


「だが、……どうやる?」


「盗聴器や発信機は?」


「ネットが使えないし電話も不通だ。すぐには用意できなかった」


 ベンジャミンは元刑事でそういう道具の扱い方は知っている。だが最新のものはほとんどインターネットを使用するし、今は衛星も動いていない。こういう事態を想定していなかったからそういう用意もない。

 短波式のものであれば使えるが、そういうものが見つかった時、二人の命が危ない。だから使う事はできなかった。


「地道な捜査でやるしかないな」

「大体の見当はついているの。監禁場所は暗くて埃っぽくて、ちょっと潮の匂いがした。多分港湾部の倉庫ね。ここに来るまで街中をぐるぐる回っていたけど、そんなに遠くない。マンハッタン周辺にはいるわ。橋を渡ったみたいだけど、戦闘はなかったからニュージャージー側じゃなくて、多分ブルックリン」


 アリシアも素人ではない。元警官だ。


 それに心当たりもある。


 先日JOLJUが表示したALレーダーで、マンハッタン島はALの大群に取り囲まれていた。ニュージャージーやニューアーク市側はとても安心して住める状況ではない。少ないのはマンハッタン島とロングアイランド方面。ロングアイランドは島でその先には逃げられないし、そっちは普通の住宅が多く、ロングアイランドはNY共同体の人間も調達に行く事がある。連中は40人ほどのグループだ。定住はしていない連中で動き回るから普通の住宅街を根城にしているとは考えられない。


 だとすれば、港か学校あたりが一番考えられる寝床だ。港や学校は広いし防犯設備もあり物理的に簡単にバリケードを築くことができる。


 しかしNYは港町だ。北部以外は海に接している。倉庫や小さな埠頭は沢山ある。



「なら、後は俺たちの専門を生かすしかないな。聞き込みだ。共同体の中に内通者がいる」

「全員召集する?」

「全員聞きまわる時間はないぞ? 内通者が本当にいるなら派手にはできない」

「内通者じゃないだろうけど……闇取引しているか、もしくはそういう事を知っていそうな奴は知っている」


「本当か?」


「知っている。貴方には言わなかったけど。それに、今回の件に関わっていなければ力になってくれるかもしれない」


「内通者は多分自警団の動きも監視している。信頼できる人間を少しずつ確認して協力させる。そっちは俺がやる」


「私は誘拐された事になっている。今自由に動けるのは私だから、心当たりは私が当たるわ」

「一人で大丈夫か?」

「大丈夫」

「そうか」


 ベンは車を停止させると、後部座席に置いてあったアリシアの愛用銃と祐次が残していったHK45とS&WMPコンパクトをアリシアの膝の上に置いた。


「ありがと」


 アリシアは不敵に笑う。そしてM1911カスタムをショルダーホルスターに収め、残る2丁もズボンに突っ込んだ。


 ベンとアリシアは二人とも元警官だ。夜間捜査も夜間戦闘も、この二人は慣れている。



「ひとつだけ安心材料があるけど?」

「何だ?」


「ドクターのとっておきの策を聞いたわ。ドクターと、あのちっこいエイリアン君の作戦。多分こっちは成功する。だからこっちもそのカバー要員を1班用意しておかないと」


「あのエイリアンは優秀なのか? ペットみたいな奴だが?」


「ドクターが言っていたとおり戦闘力は皆無だけど、科学力は確かよ。この目で色々見たから」

「分かった。じゃあその話は戻りながら聞く」


 そういうとベンは再び車を発進させた。



 長い一日が始まる。



「二人の警官」でした。


そう、この二人は元々刑事と警官です。アリシアはパトロールです。そしてそれぞれ所属していた警察や州が違うので、元は面識はありません。


今回はベンとアリシアの話でエダと祐次は出てきません。

次回は出てきます!

捕まった二人の命運は!?


……祐次は誰に対してもどういう時でも相手に頭を継げる人間ではないですからね……逆に危険かも!


ということで次回です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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