「誘拐事件」3
「誘拐事件」3
エダの誘拐。
JOLJUが申し出だ協力。
それは、JOLJUにしか出来ない事だった。
ただ、それを実行するにも時間がかかり、成功するかは分からない……。
***
「オイラもついていくJO! そんでエダを助けるJO!」
JOLJUもフンフン! ガッツポーズをする。
「見つかったら説明がややこしくなるだろ? お前、自分がエイリアンだっていう自覚あるか?」
「<非認識化>使ってこっそりいくJO」
<非認識化>……見えているけど認識できなくなる能力で、宇宙船などに施されている。だがこの<非認識化>は、その存在を知っている人間には効果が薄い。JOLJUはこの能力が個人として使えて、エイリアンに対し偏見がありそうな人間がいるときは、たまに使ってトラブルを避けている。この能力を最大まで使えば、恐らく祐次とエダ以外の人間には<見えなくなる>だろう。
祐次も考えた。
JOLJUに連中の隠れ家を見つけさせて、ベンたちに連絡して救出を頼む。それが一番確かな方法だ。
だが、それだとベンたちとBanditの交戦は避けられず、死者は出るだろうしエダも戦闘に巻き込まれる。戦闘がおきても自分たちが負けるとは思わないが、出来ればエダには、人が人を殺すところは見せたくない。
エダには、人間の醜さを見せたくはない。
「ひとつ……お前にしかできない方法があるんだが?」
「なんだJO?」
祐次は小さい声で、その策を説明する。
JOLJUは腕を組み考え込んだ。
「絶対の保障はないけど……一応登録はしたし、一回分くらいのエネルギーは二隻のうちどっちかから持ってこれば……後は修理するだけかー」
「出来るか、出来ないか、どっちだ?」
「一回。一人だけなら……できると思う」
「出来るんだな? なら俺はいい。エダでやってくれ」
「ただ……修理にどう急いでも最低3時間はかかるJO」
「やってくれ。3時間くらいなら俺がエダを守る」
「最低3時間だからもっとかかるかもしんないけど……5時間までにはなんとかするJO。ただ、これをやると……フォーファードはともかく動力は完全に死んじゃうから、<光学遮蔽装置>と<非認識化装置>は切れちゃう。まる見えになっちゃう」
「今更UFOが墜落しているのを見て驚く人間はいない、気にするな。人手がいるなら誰か呼ぶか?」
「人手は欲しいけど……15世紀の人間にステルス戦闘機を直させるようなものだから、多分いても邪魔になるし、わかんないと思うJO。それに祐次やエダはともかく、あんまり他の人には宇宙船は入らせたくないJO」
「じゃあ30世紀の科学技術者に任せた」
地球文明が15世紀、ク・プリ星人が20世紀、ゲ・エイルが21世紀、ALが24世紀、JOLJUが30世紀……これは先日JOLJUが語った、現在地球にいる異星人たちの科学技術レベルの例えだ。科学技術だけならJOLJUは誰よりも知識がある。もっとも、30世紀は知識だけで30世紀の道具がここにあるわけではないからやれることには限界がある。
「じゃあこれを」
そういうとJOLJUは自分のスマホを祐次に手渡した。
「準備ができたら、スマホに連絡するJO。音じゃなくてバイブ機能で。で、タイミングを見計らって、<1>押して、エダにスマホを持たせて。スマホの信号拾って実行するJO。多分10秒後くらい。もしスマホを持たせられそうにないときは<2>を押してだJO。そんときはこっちで探知機作動させて実行するけど、30秒くらいかかるJO」
「分かった、それでいこう」
「OKだJO!」
JOLJUは祐次の銃を自分のリュックに入れて、ついでにコーラとチョコレートバーとビスケットも入れ、リュックを背負うと、さっさと飛び出していった。
JOLJUの目的地はク・プリ星人とゲ・エイル星人の船だ。
本当はそこまで送りたいところだがBanditたちの目がどこにあるか分からないし、祐次も色々準備がある。それにJOLJUは空が飛べる。最高時速は20キロくらいで、人が走る速度と変わらないが、一直線に目的地にいけるから地上を走っていくより早い。いざとなれば行動力は結構ある奴なのだ。
祐次は腕時計を見た。
16時まで、1時間40分ある。
自分も準備に1時間はかかるだろう。銃だけでなく医療具と薬も用意しなければならず、こればかりは祐次にしか分からない。
「誘拐事件」3でした。
JOLJU、動きます!
こいつがこんなに自主的に行動をいいだすことは、本編では今回が初めて!
基本面倒くさがりなのもありますが、実は後々はっきりしますが、ジョル時湯は羽後回りたくても動けない状態なんです。その中でもついに動き出す事を決めたJOLJU!
さて、次回はついにBanditたちとの対面!
エダはどうなっているのか! 祐次はどうなるのか!?
これからが本番です。
これからも「AL」をよろしくお願いします。




