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目が覚めたら、私は暗い森にいた1

息抜きです。

「state open!」


 私は、もう何回したかもわからない、ステータスの表示をしていた。いや嘘だ、大体5回目くらいかな?なぜ、こんなことをしているかって?


------------------

【純潔派アイドル】リリア

HP30/30 MP0/0

職業;アイドル

スキル:歌う

------------------


 その答えは目の前にある通りだ。まず一言言わせてほしい。


「アイドルって何をすればいいの?」


 先ほどから、今私は草の上に女の子座りをしながら、呆然としていた。


 職業はアイドルとあるように、私の服装は軽く見た限り煌びやかなものであり、はずかしさ反面自分が今どうなっているかという好奇心が湧いている。

 

 なお、純潔派という文字は見なかったことにした、喧嘩売ってるの?別に買わないけど。


「いや、歌うって……したところでねぇ」


 私は、友達Aちゃんから今やっているVRMMOを進められ、右曲左曲ありながら今日始めたのだけど、、このVRMMOはたしか、RPG型、敵を倒し武器を買いレベルを上げ、また敵を倒しというまぁ一般的なジャンル。そう友達Aちゃんから聞いていたのになぁ。


 歌うって、どうやって敵を倒せというの?(ねっとり)メロメロになるのかな?


 現状そのRPGなのかということ以外にも問題は山積みであることも相まってうっとした気持ちになった。


 その一つであるのが、友達Aちゃんと始まりの町というところで待ち合わせをしていたけど、


「そもそも、ここどこ?」


 私がいるのは、とても静かな森の中だった。訂正、とても暗く先も何も見えない森の中だった。まるで私の心境を表しているみたいだぁ……


 今の時間帯は夜なのだろう、吸い込まれるような暗闇のなかにある、満点の星空と輝くような光を放っている月がとても綺麗だ。


 そんな気分転換をしても、今いる場所がわかるでもない、景色が変わるでもない。敵みたいなものは見かけないがいつ出てくるかもわからない。


 そんな今にも崩れ去りそうな砂の城から目を背けるように、私はAちゃんとの会話を思い返し始めていた。








「ねぇ空、一緒にブラックボックスやらない?」


 授業も4限まで終わり、みんなの癒しの時間と言っても過言ではない昼休み、私こと北野 空は親友と言っても過言ではない友人こと港川 雪と雑談していた。


 雪は黒髪美少女であり、大半の女性が嫉妬するであろうきりっとした目、すらっとした鼻、ふっくらとした赤い唇を持っていた。これで、すっぴんだから驚きである、というかそもそも学校は化粧禁止である。


 まぁ、私は嫉妬心は湧くことはないけどね。その代わりと言ってもなんだが、無意識に雪のそのささやかな胸によく右手が向かうことがあるが、私は楽しいし何も問題ないね。


「ブラックボックスって何?」


「はぁ?ブラックボックス知らないの?」


 そんな美少女こと雪は信じられないものを見るような目つきを私に向けた。私はブラックボックスと言われてもまったく見当つかない、本当に。


「知らないものは知らないよ?」


「今を時めくJKなら知っとけ、ってわけでもないけれども」


「どっちなの?」


 私は雪が未だに心外なという表情崩していないことに、なんというかうっとおしさが、


「右手がなにかやわらかいものを触りたく」


「ごほん、知らない人はいないと思う、いや別にあんたをけなしているわけじゃないけど……というかテレビのCMでもやってるし、SNSとかでもみんな騒いでるじゃん」


 雪は私から胸をもまれたくないのか一瞬のうちに真面目な顔になった。


「ほーん、そうだったんだ」


 ただ、私のそんな雑な態度に雪のあきれた視線が強まった気がした。私は、テレビも見ないしSNSもやらないからなぁ。いまどきの子としてはまぁ珍しいのはわかるけど。


「しょうがない、今からブラックボックスってなにか教えてあげる」


「わーい、って別に……イヤナンデモナイデス」


 雪から何とも言えない哀愁が漂ってきた。ナンデナンダロウナァ……


「そうね、ブラックボックスっていうのはね、VRMMOのことよ」


「VRMMOだったんだ」


「あら、さすがにそれは知っていたか」


 さすがに、VRMMOはなにか知っているよ……そりゃ、


「SARA様がやってるっていってた」


 MMOとは、みんなでやるRPGって感じで、VRは仮想空間のことだ。だから、VRMMOはみんなでやる仮想空間RPGってことってSARA様が言ってた。SARA様というのは……


「はいはい」


「なんか、軽くあしらわれた気がする」


「はいはい、でねブラックボックスはね……」


 その後私は、雪から昼休みの終わりまで、いろいろなことをレクチャーされることとなった。










 はい、回想終わりっ。


 結局、ブラックボックスってVRMMOは、今では珍しいVRヘッドとソフトがくっついたタイプのゲーム機らしい(VRヘッドというのは、VRの機能を使用するヘルメットみたいな形をしたものだ)。となれば、ゲームヘッドを買わなければいけないのでお値段が高くなってしまうのだが、雪はそのお値段を差し引いても購入する人が後を絶たないって言っていた。


 なにやら、速度加速とAIが類を見ないほどすごいらしい。


 今やっている仮想空間で4時間過ごしたてやっと、現実の世界では1時間経過する。つまりここでは現実世界の3倍多くの時間を過ごせるわけなのだ、その代わりと言ってはなんだが、現実世界で夜の8時から2時までしかログインできないようになっている、こっちで24時間すごしたら、強制ログアウトされると説明書に書いてあった。


 なおVRMMOでこの加速機能が搭載されるのは初めてのことでよく許可が下りたなぁ雪が言っていた。。


 VRヘッド、その新機能を搭載していていかにも高いですと言っているこのゲームをどうやって手に入れたのか。単純爽快、お父さんが私に向けて買ってくれていたのだ。


 雪からブラックボックスについて聞いた日の夜、家にいたお父さんがなにか黒い大きな箱を私に渡してきたのだ。それが、ブラックボックス、事前に何も聞かされていなかった私は面を食らった。


 なお受け取るときに、「港川さん(雪のこと)には、感謝をしないといけないな」とボソッとつぶやいているのが耳に入った。雪は一体どんだけ私にこのゲームをやらせたいんだ、とあきれる気持ちとそれにしては(今日話したという意味で)早くないというあきれる気持ちでいっぱいだった。


 なお、お父さんはこのブラックボックスの存在を知っていたらしく、私が珍しいものを見るような視線を向けていると、お父さんは私をおばあちゃんを見るような表情をしたことは絶対に忘れることはないだろう。


 なおその後、少しいらっと来た私は洗濯機の上に『お父さんの服と一緒に洗わないで』と置いたけど、ワタシワルクナイヨ。


 これ以上のことは今必要ないことなので記憶の彼方に放り投げることにした。ああ、何も思い返すことがなくなってしまった。


 世間では好評なこのVRMMOも当然チュートリアルは当然あると踏んでいた私は起動したその後、?を浮かべることになった。起動した→目覚めた→ただし町の中とは言っていないし、チュートリアルが始まるとは言っていない。


 追い打ちをかけるように、職業(純情派)アイドル、スキルは「歌う」だ。この私に優しいとはいえない現実を目の当たりにした私は、今日何があったっけなぁハハハとなったわけだ。まぁ、あまり時間は稼げなかったけど。


「これって、仕様なのかなぁ」


 何か変わらないかとキョロキョロと何回見渡しても、私の周りにそびえたつ樹々は黒く漆黒とも言える色で、草花は嫌悪感を抱く印象のものばかりである、さっきよりもなんか森が嫌悪感を抱きやすいものになっていない?気のせいよね。


「……一時間やってなにもなかったら雪に文句言ってやる」


 堂々巡りになっていた、私はとりあえず一つ結論づけることにした。雪に進められたというのもあったので、一時間程度はやるという期限をつけた。


 もしかしたら、チュートリアルというものもないのも、最初の町が見当たらないもの、私の職業がふざけているのもすべて仕様という可能性があるかもしれないとう線も捨てきれなかったしね。


 でも、絶対ないわー。


「これから、どうしようか……」


 一時間プレイするという目的を作ったのはいい。ただ今の心境を表すかのように私は体育座りでつま先を軸に前後に揺れている。


 別に森が怖いから動きたくないとか、森が怖いから動きたくないとか、動きたくないから森が怖いと

か、そんなわけではない。ただ少し、体が震えてしょうがないのを何とかしたい。


 森がなぜか怖くなったのは私のこころの変化が原因か、それとも自衛本能ともいえる行為を森側がし

ているのか、それとも第三者が……


 そんな思考をしていた私に、周りを変えるには自分からという言葉がふっとよぎった。


 だから私は、歌うことにした。


 いやふざけているとかそういうことじゃない。スキルに「歌う」とあったからだ。もしかしたら隠しパラメータみたいなものが何かが作用して、私がハッピーハッピーになる可能性があるかもしれない、その線にかけることにした。


 決して一人でいるのが怖くなって歌ってごまかそうだとかそんな魂胆があるわけではない。ないったらない。


 でも私、こんな無駄なことを思うだけの余裕がまだあるのよねぇ。


 ここまで言ってはなんだけど、本当は正直隠しパラメータ云々の話は正直期待できない。何も進展の

ないこの現状、まるでさびついた歯車のようなもののような今に油を差すような行為、正に歌うことがこれじゃないかと私の直観が言っているのだ。直観と言っても私が今誰も周りに人がいないという環境のなか歌いたいだけかもしれないけどね。


 それじゃあ、SARA様の曲を歌おう。


 SARA様とは、私の大好きな女性シンガーのことだ。特徴として、身に染みるような澄み渡る声、歌う曲すべてが人間に歌わせる気がないと思えるハイスピードなもの(bpm200ぐらいが平均)そしてなりよりも声が好みなのだ。歌声が少しソプラノ気味なのだが私はそれが好きで好きでしょうがないのだ。つい最近デビューしたばっかりなのだけど、私はもっともっと伸びてほしいなんて思っている。 なお、この話を始めてSARA様の曲を聞いた翌日に雪にしたところ、『あーそうね、そっか』とあしらわれてしまった。解せぬ。


「なに、歌おうかなぁ」


 頭の中には、複数のマイフェイバレットな曲(大好物)があるのだが、今周りは暗いし……そうねぇ。


「rainbowでも歌おうかしら」


 レインボーとは、SARA様のデビュー曲である。虹の意味から明るいイメージを連想できると思うけど、実際はどうなのか結論ついていない。ハイスピードな意味不明な言葉が含まれている歌詞。癖がとても強いと思う。でも、ハイスピードなのに、スルスルと魔法のように入ってくるソプラノ声、意味の分からない歌詞に何か意味があるような気がして、何回も聞いてしまう。レインボーはそういう曲だ。


「ではでは、観客は誰もいないから歌います」


 私は、胸いっぱいに息を吸い込んだ。


「それは、羽が羽根になったお話」


ヤンデレタグはつけるか迷いました(登場するとしても、かなり後が遠くなりそうなので)が、一応つけることにしました。

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