彼女の秘密
えー、皆さん。 私は今、畠中さんに呼び出されて生徒があまりやってこない区画へと来ております。
ここで畠中さんとお話する予定なのだが……OHANASHIじゃないよね? よね?
数分ほど待っていると、ブレザーを着た畠中さんがやって来た。
しかし羨ましいな。 男子は若干ねずみ色した学ランだからな。
女子の制服はシャレ乙で羨ましい。
「ごめんね、待った?」
「うーん、まるで恋人であるかのやうなセリフ。 いとうれし」
「こい……ち、違うよ!」
そんな否定せーへんでもよくない?
「で、話ってのはデレ○スのことでいいのかね?」
「う、うん……。 あのね? お願いがあるんだけど……このことは、黙っていてくれないかな?」
「……なんで? デレ○スは確かに深夜帯に放送しているけど、そこまでおかしなアニメってわけでもないじゃん。 それに、畠中さんがアニメ好きなんてーのは欠点にはならないんじゃね?」
俺の友達の一人がメガネかけたデブなのだが、そいつがデレ○ス見ていたらクラスの男どもはきもっ、とか言うんだろうけど、畠中さんの場合はそんなこたあないと思うんだよね。
「お、おねが……お願いだから……。だ、黙っていて……な、何でもするから……」
ん? 今何でもするって言ったよね?
と、ふざけてる場合じゃねーわな。
畠中さんはこれでもかというくらい顔を青白くさせて、今にも倒れそうだ。
一体全体何が原因なんだか……。
ま、考えるまでもねーべな。
恐らくだけど、昔アニメに関わることで何かされたんだろう。
一番可能性があるのはイジメかね?
こんな美少女を誰がイジメようと思ったのかはわからんがね。
しかし、そうか……。
何でもする、か……。
「畠中さん、何でもするって言ったよね?」
「え……う、うん」
「じゃあ、俺と友達になってよ。 美少女とお友達になれる機会なんてそうそうあるもんじゃないからな」
「そ、そんなことでいいの?」
「そんなことでいいの。 むしろ友達になるだけで秘密をバラさないんだから、好条件じゃね?」
「それは……」
んー、まだ畠中さんの目には猜疑心が浮かんでいる。
これはしゃーないかな。
推定イジメを受けていたのなら、ちょっと疑心暗鬼になっていてもおかしくはない。
「なら俺の秘密を教えるよ。 そうしたら、互いに秘密を握っているから迂闊にバラせなくなるでしょ?」
「え……」
「じゃ、明日日曜日だし、その日に俺の秘密を教えるよ。 あ、LI○Eしてる?」
「う、うん」
「はい、じゃあフリフリしてID交換しよーか。 ……うん、ちゃんと交換できた。 それじゃ、また明日なー」
「え、あ、ちょっと!」
俺は畠中さんに迫ってIDを交換させ、ろくに返事も聞かずに帰途についた。
帰っている最中に集合場所とか時間を決めてないことに気づいたのはご愛嬌だ。
俺もテンパっていたのかもしれない。
なお、その日の夜に畠中さんからLI○Eがきて、14時に学校の近くにある大きな公園で落ち合うことになった。