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唐突な決意

初めまして、ゆっくり更新の文字数少ない野郎ですがよろしくお願いします。

「麻希さん、朝食並びに着替えここ置いときます」

 林が何時ものように食事を扉の下にある隙間からそっと入れてくる。

 別に監禁されている訳ではなく、僕が不登校なだけなのだ。

 身長130cm体重52㎏と言うチビデブであり、視力も極端に悪く厚ぼったいレンズの厚いメガネをかけている。その割には髪がサラサラのストレートと言う、何と言うか一言で言えば変な物体。

 それが僕、小此木麻希である。

 名前がマキなんてばっかりに『太巻きマッキ-』などと呼ばれ、体育の授業ではうまく前転すらできず、その代りに座学が良いせいか虐めの対象だった。

 家の家はヤの付く家業ではないのだが、柄の悪い社員は多くいる。 

 それなりに根が真面目で、しっかりと法に乗っ取って働く健全な土建作業員の人ばかりである。

 そんな家の事もあってか、それをヤの付く人と勘違いしたちょっと悪ぶってる高校生に虐められることも多々あった。

 それが嫌になり、中学校入学と共に早々と引きこもりになった。

 両親も、本人にやる気がないことをやらせても意味がないと言って、そっとしていてくれる。

 …少しそれには語弊がある。遠くから見守る過保護な両親である。

 武家屋敷とでも言うような昔から続く家の蔵を改修し、僕専用の離れを作ってしまうような人たちである。

 蔵の中は、6畳程度のフローリング部屋とトイレ、風呂、洗濯機を完備し、二階の4畳の広さの畳部屋ができると言う完璧具合。

 食事は毎日違ったものが届けられる。

 ちょっとしたものだったら買ってきてくれると言う何と言うか引きこもりの最終形態とでもいう状況にある。

 そんな部屋の中で下手したら一生を終えることが出来そうな部屋で過ごす事1年と3カ月。

 

 風呂に入ろうとしたらナニが消えていた。

 男の〈パオーン〉が消えていた。


 男のロマンたる〈夢とロマンが詰まったもの〉はデブなので常に標準装備だったから変動なし。


 僕が生まれる前にはすでに一般化していた急性性別転換症候群、通称TS病にかかるとおよそ8割の確率でまるで別人の綺麗な容姿になると言う。それに対して僕は気が付かぬ間に女になっていたものの、突然痩せていると言うことはなく、ただ〈パオーン〉が消えていただけである。

 

 何か色々と不公平だと感じて、その時自分の何かが切れた。


「…痩せよ」


 男では何とかあのビジュアルは納得できていたが、女であのビジュアルは納得できなかったのである。


 小此木麻希14歳。

 唐突なダイエットをする決心をするのであった。


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