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エピソード2

             シャドーマン来店


 店を異世界仕様に改造した。

 メニューが洋食だけだったが、色々なものを追加し、どんな料理か分かりやすいように写真も追加した。

 楽神市場で武器収納ロッカーなる物を買い、入り口近くのスペースに設置指定したらアニマルフォレストみたいにボン!と送られてきた。

 それから従業員募集の張り紙、正直、一人というのは何かと辛い。

 ワーナリ様を最後に三日、お客様が来ていない・・・その原因は、分かっている。

 この店は、ダンジョン内を移動している!立て看板を出そうと外に出たら石造りの通路、ではなく、森の中の大きな木の幹に店の扉が付いていた。

 これはまずい、広告を張ろうにも、どこに店があるか分からないんじゃどうしようもない。

「うぅーむ」椅子に座り考える人のポーズをする。

 カランカラン入り口の扉のベルが鳴る。

「あっ、いらっしゃいま・・・せ?」言いながら椅子から立ち入り口を向くと・・・。

 あの有名な探偵漫画の犯人の黒い人がいた。こ、殺される!!

「あの・・・ここは、何でしょうか?・・・」女の子の声が聞こえた。

「えっ、はい、料理店です。いらっしゃいませ・・・」

 食料が傷まないから色々作れるので洋食店ではなくしている。

「料理店・・・入ってもいいですか?」

「あっ、どうぞどうぞ」

 店の中に入りキョロキョロと店の中を見回している。

「あっ、お好きな席にどうぞ」

 それを聞いて漆黒の少女は、テーブル席の椅子に座った。

「お水とメニューです」テーブルに置く。

 そういえばリディアさんとワーナリ様の時は、最初に水を出してなかったな。 

「ありがとうございます」と、水を一口飲む。

「あ、おいしい・・・少し、酸っぱい?」

「ええ、レモンを入れてるんですよ」

「レモン?」

「うーん、酸っぱい果実ですね」

「そんなのがあるんですね」と水を飲む。

「それで、お名前伺ってもよろしいですか?」

 普通だったらお客様に名前を聞いたり、話したりしないが・・・まあ、こっちでは会話する事にした。

「名前・・・・・・」

「あっ、言いにくかったりしますか?」

「いえ・・・その・・・・・・分からないんです」

「分からないですか・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」黙り込んでしまった。

「あっ、そうだ!写真っていいですか?」

「写真って?」

「なんというか・・・あっ、直ぐできる絵です」

「・・・・・・いいですよ」

「ありがとうございます!」

 とタブレットを出してモンスター図鑑アプリを起動。

「こちら向いてください、はい、チーズ」きょとん、とした感じに写真が撮れた。

「あの・・・どこにチーズが?」

「僕がいたところの写真を撮るときの掛け声なんです」

「そうなんですか・・・」

 タブレットにモンスターの解説がでる。

 シャドウマン。

 ドラゴンのファイアーブレスなどの強い光に当たり、壁に付いた影がモンスター化した。陽炎のように曖昧な姿をしていて戦闘技術は生前の能力だと思われる。動くものに襲い掛かるので、記憶や意識や感情は無いと思われる。

「どうやら、元人間のシャドウマンらしいです」

「シャドウマン・・・・・・元人間・・・・・・」考え込んでしまった。

 意識と感情もあるように見えるけど、特別なのかな・・・それにしても、焼かれて亡くなった冒険者か・・・何とも言えない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」悲しそうな感じに見える。

「でも、曖昧な姿では、無いな・・・胸だってあるし」と胸を凝視する。

「きゃぁ!・・・じっと見るのはだめです////」と胸を右腕で隠し頬に桃色が出る。

「あっ!すみません!!」いけない、じっと見てしまった。

「いえ、いいんです・・・」隠したままで言う。

「な、何か服、持ってきますね」二階に急いで行く。

 さて・・・どうする?母さんの服は、亡くなってるとはいえ勝手に使っちゃうのは気が引けるし、かといって僕の服は・・・と探していると学生時代のワイシャツがあった。

「いやー、彼シャツみたく着せるのか?」

 うーん、見てみたい・・・魔が差してしまった。

 一階の店に戻り「これを着てください」とワイシャツを渡す。

「はい」と着てくれる。

「ありがとうございます」と体型に合わないワイシャツ姿を見せてくれる。

 髪が!、髪があればなー!!と内心叫ぶ。

「それで、注文なんですが」

「はい、何でしょう?」

「苺のショートケーキをお願いします」とメニューを指さす。

「紅茶もいかがですか?ケーキと合いますよ」

「紅茶?」

「飲み物で、いい匂いがするお茶です」

「・・・紅茶もお願いします」

「かしこまりました、少々お待ちください」とキッチンに向かう。

 専門学校で色々な料理を習った。

 そして、パティシエの先生直伝の王道の苺のショートケーキが今。

「お待たせしました」とケーキとフォーク、紅茶とミルクと砂糖をテーブルに置く。

「凄く綺麗」うっとりと見ている。

「向かいに座ってもいいですか?」

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」と自分の紅茶をテーブルに置き座る。

「ミルクと砂糖はお好みで入れてください」

「はい」

 漆黒の少女は、袖を捲り、左手でティーカップを持ち「スンスン、あっ、本当にいい匂い・・・」香りを楽しんでいる。

 僕は、紅茶を一口啜り「それで、名前が無いのなら何か考えましょうか?」

「そうですね・・・お願いします」

 さて、シャドウマン・・・いや、シャドーウーマンか・・・あ、いや、シャドウガール・・・シャルか。

「シャルなんてどうでしょうか?」

「シャル・・・シャル・・・可愛くていいですね!」嬉しそうに見える。

「気に入ってもらえてよかったよ」

「それで、あなたは、ゴブリンさん?」

 ああ、看板がキッチンゴブリンだからか。

「いえ、護武 凛太郎です」

「ゴブ リンタロウ・・・・・・ゴブさん」

「はい、よろしくお願いします」と頭を下げる。

「シャルです・・・よろしくお願いします」少し恥ずかしそうに見える。

「あっ、すみません、食べるの邪魔しちゃって」

「いえ、綺麗で、どう食べればいいのか迷ってましたから」

「僕の食べ方ですが、尖っている方からフォークで切って食べていって、途中に苺を食べる、なんてどうでしょう?」

「なるほど・・・そう食べてみます」とフォークを左手で持ち、切って食べる。

「うぅん!スゥーと口の中で甘さが広がって・・・美味しいです!」嬉しそうに右手を頬にあて言う。

「こんなの作れるなんて凄いです、ゴブさん」

「ありがとうございます」凄く嬉しいな!


 十分後

「フゥ、甘くて美味しかったです」紅茶を飲み言うシャルさん。

「ありがとうございます」

 シャルさんは、これからどうするんだろう・・・ダンジョンにいたら冒険者やモンスターに倒されたりしてしまうんだろうか・・・。

「あのー、シャルさん、僕と一緒にこの店で働きませんか?」

「えっ、私のようなのでも・・・いいんですか?」

「まっ、まあ、僕もゴブリンに似てるようですし・・・大丈夫です!」

「わっ、私・・・目が覚めた時から・・・どうしたらいいかと・・・・・・彷徨ってたんです・・・」涙を流しながら言う。

「あ、あの・・・よろしくお願いします」手で涙を拭きながら言う。

「うん、こちらこそ」とハンカチをシャルさんに渡す。

「ゴブさん、顔が良くないのにかっこいいです」受け取ったハンカチで涙を拭きながら言う。

「あはは・・・顔が良くないは、言わなくてもいいんだよ・・・」

 父さん、母さん、異世界で仲間が出来ました!


「お金出しますね」

「えっ!お金持ってるの?」

「はい、有ります」

「少々お待ちください」とレジへ向かう。

「えー、合計七銅になります」

「はい」と手の中から七銅が出てくる。

 体の中にお金があったのか・・・まあ、ゲームとかだとお金落とすしね。

「ちょうど頂きます・・・レシートです」

「レシート?」

 あっ、そうか異世界にレシート要らないのか。

「あー、これは要らないか」レシート不要の籠に入れようとしたら。

「あっ、記念に貰います」

「そう?じゃあ、はい」レシートを渡す。

「ありがとうございます」と、受け取り嬉しそうにしている。

 さて、先ずは、ウェイトレスさんの服がいるな。

「シャルさん、服を買うので好きなの選んでください」

「服を買ってくれるんですか?」

「ええ、自分で似合うなーってのを買っちゃってください」

 あっ、そうだ、サイズ測らないと。

「シャルさん体測らせてくれる?」

「え、どうやって?」

 紐型のメジャーを持ってきて「直立してください」

「こっ、こうですか」と直立する。

 メジャーで身長を測る。

「百五十五センチ、次はバストなので両手を横に上げてください」

 背中にメジャーの端を当て、胸のトップで縛る感じに・・・おお、柔らかい抵抗が・・・。

「んっ・・・///」と恥ずかしそうな声が聞こえた。

「すみません、もう少し我慢してください」

「は、はい」

 サイズを見る・・・これは、なかなか・・・ウエストは・・・ほうほう・・・ヒップは・・・ふむふむ。

「測り終わりましたよ」とメモにサイズを書く。

「うぅ、恥ずかしかったです・・・」頬がほんのりピンク色になっている。

 椅子に座ってタブレットを出し、楽神市場を開きウェイトレス服を検索する。

「どうかな?」とタブレットの画面を見せる。

「綺麗な方が着た絵ですね・・・私にも似合うんでしょうか・・・」自信がなくなってる感じかな。

「大丈夫、シャルさんも負けてないよ」

「・・・あ、ありがとうございます・・・///」照れてるのかな?

「タブレットを指で押さえて、上になぞれば動かせますよ」

 人差し指で動かそうとするシャルさん。

「あれ?・・・動きませんね」

「え?」僕が指でなぞると動く。

 僕だけにしか動かせないのかな?

「じゃあ、動かしますので一緒に見ていきましょう」

 タブレットの画面のウェイトレス服を並んで見ていく。

「あっ!、これがいいです!」とタブレットに映る、ウェイトレス服を指さす

「おお!いいですね!」

「じゃあ、これで・・・」と購入しようとした時。

「あっ、あの・・・これもいいですか?」とウィッグを指さす。

「絵の方たちを見てたら・・・いいなぁって思って」

「そうですね、買っちゃいましょう!」と購入しようとした時。

「それと・・・あの・・・・・・も欲しいです」恥ずかしながら、よく聞こえないように言う。

「すみません、良く聞こえなくて、もう一回いいですか」

「えっ、あ、あの・・・・・・下着も欲しい・・・です・・・///」恥ずかしそうに言う。

「あれ?でも、何も着ないでお店に入ってきましたよね」

「真っ黒で大丈夫だと思ったのですが・・・・・・ゴブさんが見るから・・・///」恥ずかしそうに言う。

「わ、分かりました」タブレットで下着を検索する。

「あの・・・一緒に見るんでしょうか?・・・///」恥ずかしそうに言う。

「あっ」たっ、たしかに。

「でっ、では、目を塞いでますので、手を持って画面を動かしてください」

 両目を左手で塞ぐ。


 十分後

「選び終わりました」

「では、購入の確定を押してください」

「はい」と僕の手を持って動かす。

「出来ました」

 両目を覆っている左手をどけて目を開ける。

「では、出しますね」とテーブル席の上を指定する。

 何もない空間に箱が出現する。

「奥に更衣室が在るので着替えてきてください」と箱をシャルさんに渡す。

「わかりました」と更衣室に向かう。


 八分後

 更衣室から出てくるシャルさん。

「おお!」

「ど、どうでしょうか?」

「シャルさん・・・可愛いですよ!」

「ほ、本当ですか?」

「はい、とても可愛いです」

「よ、よかったぁ」安堵した顔で言う。

「それでは、ひととうりお仕事教えますね」

「はい!」


             終わり

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