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第13話:天使 〈末尾挿絵あり〉

今回のエピソードには、末尾に挿絵があります。

 深い森の中、道を歩きながら、中村さんが杖を構えたり、何やら複雑なポーズを試行錯誤したりしている。


「……ねえ、姐さん。魔法使いって、どんなイメージですか?」

「え? 賢そうとか、神秘的とか、そういう感じかな?」

「そうなんですよね⋯⋯。やっぱり、僕じゃイメージ通りにはならなくて。うーん⋯⋯」


 そして、彼は深刻な顔で、独り言のように呟いた。


「僕のスキルは役になりきることで特性を反映させる力。なのに、今の僕は『ただ魔法が使える男』でしかない。僕の中のイメージと、今の自分があまりにかけ離れてて。もっと自分を消して、別の何かになれたら……」


 それからというもの、彼は移動中もずっと一人でブツブツと何かを呟いていた。

 時折、ハッとしたように自分の手先を見つめていた。その表情は物凄く真剣だ。

 

(……ああ、これが彼の『役作り』なんだ)


 軽いだけの男だと思っていたけれど、彼もまた、表現の世界で生きてきたプロなのだ。その執念じみた姿に、私は少しだけ背筋が伸びる思いがした。


◆◇◆


 森を抜けると、不意に視界が開けた。


「わあ……綺麗。なんだか、ヨーロッパの市街地に来たみたい。行ったことないけど!」


 そこに現れたのは、これまでの町とは明らかに趣の異なる、鮮やかな街並みだった。

 深い赤色の煉瓦と、白い漆喰のコントラスト。窓には贅沢に硝子がはめ込まれ、日に照らされてキラキラと輝いている。


「最初の町より、なんだか色鮮やかですね! 活気もすごいや」

「大きな商店なんかも多いんだろうな。馬車の数も段違いだ」


 中村さんも黒田さんも、街の様子に同調しながらも、その目は並んでいる商店を食い入るように見つめていた。まるで、自分たちに足りない「何か」を探すハンターのような鋭さで。


「……二人とも、まずは宿を確保しよう。話はそれから」


 私ははやる二人を促し、まずは街の奥の少し落ち着いた宿へと向かった。


◆◇◆


 この規模の街にしては、宿泊費もそれほど高くなかったと思う。遠くに山々を望むことができた。

 なんだか、コテージみたいな宿だなと思った。


「じゃあ、僕はちょっと買い出しに行ってきます!」

「俺も、見たいものがあるから行ってくる」


 二人は荷物を置くやいなや、競うように部屋を飛び出していった。

 

 一人残された私は、ふかふかのベッドに、大の字になって天井を見つめた。

 

(……生き返る……)


 野宿からの、この生活。

 思い返せば、この世界に来てから怒涛の毎日だった。

 それに、ここまで何日も歩き続けてきたんだ。


 慣れない異世界での緊張が、清潔なシーツの香りに包まれて、少しずつ解けていく。


 心地よい疲れと、静寂。

 ……ああ⋯⋯

 意識がまどろみの海に沈んでいく。


◆◇◆


 ――コンコン。


 どれくらい時間が経っただろうか。

 微かに、扉を叩く音と、微かに外から呼ぶような声が聞こえた気がした。


「……ん、……え? あ、寝てた……?」


 重い瞼をこじ開け、ぼんやりとした頭で立ち上がる。

 外はもう、夕闇が迫っている。


「はい、……今、開けます……」


 寝ぼけ眼をこすりながら、私はドアノブに手をかける。

 中村さんか黒田さん? それとも、宿の従業員だろうか。


 ガチャリ、と扉を開けた。

 そこに、立っていたのは――


 夕日に照らされて、銀色の髪を透き通るように輝かせる、可憐な美少女。


 フリルとレースが何層にも重なった、幻想的な魔法使いの衣装。コルセット状に締め上げられたリボンが、細い腰のラインを一層際立たせていた。


 大きく開いたオフショルダーからは、白く、華奢な肩が覗いている。そのあまりに儚げな佇まいは、思わず手を伸ばして守りたくなるほどだ。


 彼女は一歩中に入り、そして顔を赤らめ、潤んだ瞳で私を見つめていた。


 宝石のような瞳に、繊細で長い睫毛まつげ


「あ……あの……」


 かすかに開かれた唇から漏れた声に、私の心臓は跳ね上がる。


(え、誰⋯⋯? 何、この気持ち。うぅ、苦しいよぅ⋯⋯)


 私の思考は一瞬でホワイトアウトした。


 理性が、音を立てて、崩壊していく。


 ……あなたは、一体、誰⋯⋯





挿絵(By みてみん)




〈⋯⋯続く⋯⋯〉

お読みいただきましてありがとうございました。


どうしてもイメージを共有したくて、初めて生成AIで画像を作ってみました。


初心者だったので、中々思うようなイメージにならず、何時間も格闘していました。

さらに、「みてみん」という外部サイトにアカウント登録して設定しないといけないことを知らずに、ずっと管理画面をいじっていました。

画像比率の調整も大変なんですね⋯⋯。ちゃんと表示されてるのかも心配ですが⋯⋯。


AI画像が苦手な方や、皆さんの解釈とも違っていたらすみません。あくまで一つの解釈ということでお許しください⋯⋯。



さて――


突如現れた、謎の少女は一体!?


次回、「女装する男」!


お楽しみに!

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