表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/125

色が変わる日常と、嫌な再会

正直、成功するとは思っていなかった。


 けれど、しずかの漆黒だったはずの美しい髪は、光を受けてきらきらと輝く金色へと変わっていた。


「しずかさん……すっごく綺麗です!」


 ゆなが目を輝かせてそう言うと、


「……ありがとう」


 短く返しながら、しずかは自分の髪の先をそっとつまみ、まじまじと見つめている。

 その赤い瞳は、はっきりと嬉しさを宿していた。


「たけるさん! 私も髪の色、変えたいです!」


 今度はゆながきらきらした目で詰め寄ってくる。


「いや、それはもう少し待ってくれ。どのくらい続くのかも、どうやって元に戻せるのかも、正直まだ分からない」


「むぅ……そうですよね」


 がっかりした様子のゆなには、ちゃんと自分で制御できるようになったらな、と約束して、その場は収めた。


「……しずか。一応、元に戻せるか試したいんだけど」


 普通の提案のつもりだった。


 けれど、しずかはすっと視線を逸らして、無言で拒否を示す。


「しずか? 確認しておかないと、後で面倒なことになると思う」


 この世界に来てから、

 “確認を怠った結果、面倒になる”という経験は嫌というほどしてきた。


 真剣に言うと、しずかは少しだけ間を置いて、


「……わかった」


 小さく頷いてくれた。


 椅子に座ってもらい、いくつか試してみると、髪の色は元に戻せたし、別の色にも変えられることが分かった。ただし、持続時間については不明なままだ。


「じゃあ、とりあえず金色のままで過ごしてみよう。どれくらい持つか確認したい」


「……うん」


 そのまま夕方になり、いつも通り風呂に入り、食事をして、普通の夜を過ごす。

 しずかの髪は風呂に入っても色が変わることはなく、三人とも緊張することなく眠りについた。


 ――そして、次の日。


 俺は仕事がいつ再開するのかを確認するため、ハローワークっぽい場所へ向かった。

 長から「張り出しておく」と言われていたからだ。


 掲示板にはいくつか仕事が貼られていたが、土木工事の再開はまだだった。


(……最近、結構金使ってるよな)


 正直、少し不安だ。


 男の職員に聞こうとしたが列ができていたので、仕方なく、あの不愛想な女職員の方へ向かう。


「すみません。数日でもいいので、働ける仕事ってないですか?」


 ちらりとこちらを見ると、彼女は無言で数枚の紙をばさっと出してきた。


 ・道路の整備

 ・下水処理

 ・遠方へ行く貴族の護衛


「……この貴族の護衛って、何ですか?」


「ある貴族が西方の街へ行く予定です。最近は物騒なので護衛をつけることになっています。平民が受ける仕事ではありませんが……報酬は高いです」


 危険な魔物討伐と同じ類だな、とすぐに理解した。

 雷での高速移動もできるし、魔物も何度か倒している。


(……いける気がする)


 それに――

 西方方面には、アブソルが言っていた魔石の場所もあったはずだ。


 一石二鳥だ。


 俺はその仕事を受けることにした。


 家に戻り、しずかとゆなに数日家を空けることを話す。


「……嫌」


「数日だけだから」


「毎日一緒だったのに……」


「金がないと生活できない」


 二人とも渋々、了承してくれた。


 そして次の日。


 数日分の荷物を持ち、集合場所へ向かう。


 ――その時だった。


(……ん?)


 どこかで見たことのある馬車と護衛。


 嫌な予感がして足を進めると、馬車の中から顔を出したのは――


「たけるさん! 今回はよろしくお願いしますね!」


 にっこりと笑う、見慣れすぎた顔。


(……デジャブか?)


 いや、違う。


 これは現実だ。


 アスタナの満面の笑顔を前に、

 俺は心の底から思った。


(……絶対、面倒な旅になる)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ