BLなのね?
「全く何をしても動じないわ⋯⋯ベルナール様はきちんと浮気なさる気あるのかしら?」
おかしい。これだけ酷い事をしたり、セクシー下着を送ったのに全く浮気の兆候が見られない。これはまさか⋯⋯⋯⋯
「BLなの?BがLの?そういえばいつも一緒にいる友人との距離が近いような気がするわ」
なんて事でしょう。私は根本から間違っていたのかもしれません。ベルナール様はいつも女性に大人気ですが、デレデレしている所を見たことがありません。作り笑顔と言うか、返事もふんわりと言質を取られないような返事ばかりです。
「BLだったのですね。どうしましょう私のネトラレがぁ!あれ?でも、問題ありませんわね?」
浮気相手の性別は特段気にいたしません。ですので私の夢のNTRは遂行できますね。
「あの友人誰でしたっけ?確かベルナール様と同じ侯爵家の方だったような」
「よ!ベルナール今日は体調どうだ?」
「はは、大丈夫だよ」
昨日は本当に尊厳の危機だった。なんとか持ち前のドMの想像力駆使して、脳内怒Sニナ嬢に『おい?神聖なる学び舎で勃〇したら一生お仕置きはお預けだ!』と言われて寂しくて萎えた。だがしばらくすると、それもいいかも?と思う下種豚が顔をだし、また怒Sニナ嬢に叱られ⋯⋯を永遠に繰り返した。
「はぁ~」
「どうしたベルナール?マジ最近お前変だぞ?やっぱり婚約者の浮気を気にしているのか?」
「え?そうではないけど」
さっきから好奇心丸出しのニナ嬢に尾行されてるんだよな。私の何を観察してるんだろう?もしかして昨日の妄想に怒Sニナ嬢を使用したのがバレちゃって折檻したいのかな?どうしよう?このまま物陰へ行ったら薄汚い妄想豚は学び舎で指導されちゃうかも。
「すまない、ブリス先に行っててくれ。少し裏庭を散歩してくるよ」
「そうか?でも俺はお前が心配だから一緒に行くよ」
「えぇ?そ、そうか」
ブリスー!お前がいては怒Sによるドキドキ校内生活指導が入らないではないかぁ!
ブリスの優しさだけどな。ブリスは私の体調が悪いと思っているし、私がよく女性にも揉みくちゃにされるから助けたいんだよな。分かってる、分かってるが⋯⋯
『あ~そうだ、ブリス・セーヌ侯爵令息だったわ。ふふふいいわね』
「?!」
「どうしたよベルナール?」
「い、いやなんでもないよ」
え?隠れているニナ嬢がブリスの名を呼んだ?そして『いいわね』って言った?
そんなぁ!!ニナ嬢よ!私だけの怒Sでいれくれよ!!⋯⋯ニナ嬢が興味を持つなんてもしかしてブリスもドM側なのか?!
「なあブリス、君はどんな人がタイプだ?」
「いきなりどうしたよ?」
「すまない、いきなり過ぎたか。そういえばブリスは婚約者がいないなと思ってな」
『ふふふふ』
ニナ嬢が木の陰で笑っているようだ。
「そうか。で、タイプ?うーん、話が合うとか一緒にいて楽しいと思える相手かな?」
『うんうん』
ニナ嬢がうなずいている。
「そうか、優しい人と強い人のどちらが好みだ?」
「そうだなぁ、優しいだけじゃ駄目だし、俺が悪い事をしたら叱ってくれる相手がいいかな」
「そうか⋯⋯⋯⋯」
どうしょう。普通は優しい人を選ぶよな?叱られたいだなんてブリスはMなのか? 類は友を呼ぶのか?だがブリスお前はどうせ軽いファッション感覚のMだろ?私の領域までは辿り着いてないだろ?
「まぁ卒業するまではフリーで自由に過ごすさ!そろそろ行こうぜベルナール!」
「ああ」
あぁニナ嬢のご指導がぁ⋯⋯⋯⋯お預けかぁ。
「すごいですわ~!」
朝からベルナール様を尾行しておりましたが、ブリス様と裏庭での密会&恋のお話をしておりました!
『なあブリス、君はどんな人がタイプだ?→(君は僕をどう思っているのかな?!)」』
『いきなりどうしたよ?→(い、いきなり何を聞くんだよぅ?!)』
『そういえばブリスは婚約者がいないなと思ってな→(婚約者は僕のために決めないのか?)』
『タイプ?うーん、話が合うとか一緒にいて楽しいと思える相手かな?→(気づいてくれ。いつも一緒にいる君だよ)』
『そうか、優しい人と強い人のどちらが好みだ?→(君の好みに近づきたいんだ)』
『そうだなぁ、優しいだけじゃ駄目だし、俺が悪い事をしたら叱ってくれる相手がいいかな→(ベルナール、俺を導いてくれ)』
『そうか⋯⋯⋯⋯→(そ、そうか照れるな)』
『まぁ卒業するまではフリーで自由に過ごすさ!そろそろ行こうぜベルナール!→(貴族だから将来は不本意な結婚をするだろうが、学生時代はお前と一緒だ!そろそろ行こうぜ俺達の次のステージへ!)』
『ああ→(うん♡)』
「これがBLの世界なのね~!!NTRももうすぐだわ~!」