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チョーコー!朝鮮高校喧嘩列伝改  作者: 姜公紀


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東京チョーコーサッカー部・ソク・ソンミン part1

1978年 10月 東京朝鮮中高級学校 グラウンド 夕方


「パンデピョン!(逆サイ!)」


ワー!

ワー!


東京チョーコーのグラウンドでは、1つのボールを大声をあげながら必死に追いかける男たちがいた。

ここは、東京朝鮮中高級学校のグラウンド。

土で構成・整備されたこのグラウンドは、チョーコーサッカー部やラグビー部が共同で練習場所として使用しているだけでなく、運動会含め多くのチョソンチュンゴハッセン(朝鮮中高学生)たちの血と汗と涙が詰まった大事な聖地でもある。

そんな聖地で、今日、授業終わりの放課後に、東京チョーコーと帝京高校の練習試合が行われていた。


「イギョラ!チョソンゴキョ!(勝て!朝鮮高校)」


グラウンドの横から、チマチョゴリを着た4人組の女子生徒が、グラウンドに向かって黄色い声援を飛ばしている。

男子生徒もそこそこの人数が見学していた。


朝高詣で。


1960年代から1990年代まで、「影の日本一」と言われ恐れられた東京チョーコーサッカー部。

その最強と言われた東京チョーコーサッカー部と対戦して、自校サッカー部のレベルを上げたい全国の日本の高校サッカー部が、東京チョーコーサッカー部に、連日練習試合の申し込みをお願いしにやってくる。

そんな日本の高校サッカー部たちの姿を「朝高詣で」と呼び、そのワードは、東京チョーコーサッカー恐るべしの言葉と共に、東京チョーコーサッカーのブランド力・最強説を日本サッカー界全体に十分すぎるほどに植え付けた。

数十年たった今でも、チョーコーサッカー部最強伝説の一つとして語り継がれている言葉である。


ダダダダダ!


「10番を止めろ!」


帝京高校サッカー部監督・古沼敏也がタッチライン前から叫んだ。


(はええ!)


帝京高校のMF・辻谷孝一は、目の前をドリブルしている背番号10番に追いつこうと必死にダッシュするが、どうあっても追いつけず自分と相手の実力差にプレー中にもかかわらず絶望していた。


ザッ!ザッ!


相手陣地の中盤辺りで、帝京高校MF・伊藤明のボールを奪取した東京チョーコーサッカー部FW・ソク・ソンミン(背番号10)は、そこから単独でドリブル突破を開始。

1人2人と帝京MF・DFを得意のフェイントでかわし、ゴールエリア前まであっという間にたどり着いた。


「川添!そこから蹴ってくるぞ!気をつけろ!」


古沼監督の大声の指示が飛ぶ。


(わかってるつーの!)


帝京GK・川添定弘は、心の中で監督に対して悪態をついた。


ズドン!


「「「「キャー!!!」」」」

「おー!テバッ!(すげぇー!)」


ソク・ソンミンのゴールエリア前から放たれた右足のシュートが、帝京のゴールネットを揺らした。

チョーコー女子生徒と男子生徒たちから歓声が上がる。

同じように観戦していた日本人たちからも驚きの声があがった。


ピーッ!ピーッ!ピーッ!


試合の審判をしていた、チョーコーサッカー部員が試合終了のホイッスルを鳴らした。

1-0。

ソク・ソンミンのスーパーゴールで得た1点を守り切り、東京チョーコーが帝京に勝利した形で、今日の交流試合を終えた。


「モシッソッソヨ!(かっこよかったよ!)」


タオルで汗を拭きながら、ファンの女子生徒たち複数からねぎらいの言葉をかけられながら囲まれているソク・ソンミン。

チョーコーサッカーのエースナンバー10番をつける、チョーコーサッカー部のエースストライカーである。

身長は169cmとそこまで大きくない身体だが、元来の端正な顔立ちにサッカーで鍛えた締まった顔と肉体。

さらにサッカー部は、チョーコー内で花形の部活であり、チョーコー内で身体能力が高いハッセン(学生)は、ほとんどサッカー部に入部するほどであった。

それらもあり、ソクは、チョーコーの女子生徒たちから非常に人気がありアイドル的存在だった。

そんな東京チョーコーのアイドル・ソクは、性格も非常に謙虚でストイック。

厳しい両親に育てられたのもあるが、誰に対しても優しく接する、自分に厳しく他人に優しい。

まさにアスリートの鑑そのものであった。

そんなソクは、試合の疲れもどこへやら、自分に声をかけてくれる女子・男子生徒たち1人1人に、丁寧に対応していた。

そんなソクを、じっと見つめる、50代くらいの1人のスーツ姿の日本人がいた。

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