ハマの地獄族vs神奈川チョーコー part11
「いけー!朝鮮人を殺せー!」
「チョッパリに目にもの見せてやれ!」
貞利と地獄族特攻隊長・隅田によるタイマンが始まった。
タイマンが始まると同時に、双方の集団から罵声や声援が送られてきた。
それを背にしながら、貞利は相手の顔から眼をそらさずじっと見つめ、隅田の出方を伺っていた。
(相手は特攻隊長か・・・・・・。キムさんの予想が当たった)
貞利は、数週間前の神奈川チョーコーの対地獄族作戦会議で、キム・ヨンジンが言っていた事を思い出していた。
数週間前 夜 神奈川チョーコー内 教室
「地獄族で一番強いのはこいつですね。隅田早紀人。高校時代に柔道の地方大会で3位に入った実績がある。タイマン勝負になったら、こいつが間違いなく出てくるでしょう」
そういってキム・ヨンジンは、隅田の顔写真を机にヒラッと投げ捨てるように置いた。
対地獄族対策として教室に集まった50名のチョーコー生。
そして、貞利と陸男。
この2人は、キム・ヨンジンの計らいで、特別に神奈川チョーコーの敷地内を跨ぐことができ、対地獄族作戦会議に日本人として唯一参加していた。
「俺が行ってもいいがな」
サイ・ガンチョルが、 椅子にガニ股で座りながら言った。
「いや、こちらは、一番強い奴を出さない」
「ヨンジンヒョンニム。それは何故ですか?」
2年・ペク・ジョンヨルがキム・ヨンジンに質問した。
貞利と陸男の為に、この場では全員日本語で会話していた。
「あいつらに刷り込み・思いこませるんだ。神奈川チョーコーは、サイ・ガンチョルだけじゃない。サイが出張らなくとも勝てる。それだけ層が厚いって事をね」
「なるほど」
「あくまでもこいつらとの戦いは、1月の強襲で完全にケリをつける。長引かせれば、今後のフベ(後輩)たちの重荷にもなります。それは避けたい」
キム・ヨンジンは、会議の為に一か所に並べてくっつけていた机に両手をつけながら力説した。
発言した後、キム・ヨンジンは、周囲のチョーコー生を見渡した。
約50名のチョーコー生たちがキム・ヨンジンに視線を注ぐ。
キム・ヨンジンは、目の前のチョーコー生たちを一通り見渡した後、ゆっくり口を開いた。
「で、相手が隅田として、こちらは誰が出ていくかですが・・・・・・」
「俺だ!」
「ソンベ!俺に行かせてください!」
「お前ジュードー野郎と喧嘩した事あんのかよ(笑」
「なに!」
地獄族とのタイマン勝負に誰が出場するのか。
そのキム・ヨンジンの問いに、教室内のチョーコー生たちが我先にと手をあげ、アピール合戦が始まった。
中には、俺の方が適任とばかりに、他の生徒をこき下ろして喧嘩になっている奴らもいた。
ワイワイガヤガヤ。
会議はどんどん紛糾。
騒ぎも大きくなって、収拾がつかなくなり始めていた。
そんな時・・・・・・。
「俺が行きますよ」
タイマン勝負の出場者に、日本人の三ツ矢貞利が名乗りを上げた。




