ハマの地獄族vs神奈川チョーコー part9
地獄族と神奈川チョーコーの集団の間。
地獄族総長・山根昌盛と神奈川チョーコーの番長と言われているサイ・ガンチョルが、お互い1メートルの距離を隔てて向かい合い、話し合っていた。
「タイマンだと・・・・・・!?」
「ああ」
「タイマン」という言葉に驚く山根を見ながら、サイ・ガンチョルは、両手をズボンのポケットに入れながらニヤリと笑った。
「今のお前らの状況を見てみろ。半分はイモ引いて、残りは俺たちにやられて人数的に言えば20人ぐらいか?そんな状況で俺たちに勝てるか?勝てんだろ。常識的に考えて」
そう言いながら、カッカッカッと高笑いするサイ・ガンチョル。
「ちっ!」
山根は舌打ちをした。
サイ・ガンチョルのいう通り、自分たちにもう勝機がないのは明白であり、またそれに対して明確な反論が思い浮かばず、山根は舌打ちするしかなく、彼なりの精一杯の虚勢であった。
「本当なら、このまま俺たちがお前らを叩きのめしてもいいんだが・・・・・・」
そう言いながら、サイ・ガンチョルは、後ろで殺気をむんむんに醸し出しながら隊列を組んでいる神奈川チョーコー勢を軽く見た。
「まぁ、この通り。俺たちのフベ(後輩)が、お前らに生き埋めにされた借りを返したくてトンポ(同胞)達がいきり立ってしゃーないんだ」
サイは、少し頭を下に向けながら首を左右に振った。
「だが、俺は言った。相手が憎きチョッパリと言えど、朝鮮人の誇りを捨てちゃ~いかん。正々堂々タイマン勝負!お前らの言葉で武士道にのっとって正々堂々戦ってこそ、男らしく、道のど真ん中を歩けるってもんじゃね~のか!ってな」
(・・・・・・)
サイ・ガンチョルの一人芝居を山根は黙って聞いていた。
いや、この形勢不利な状況では聞く以外に道はなかったのだ。
「と、そういって俺はあいつらにこの辺でやめろと止めた訳だ。だが!」
まだこの一人芝居は続くのか?と山根は内心ウンザリしていた。
「1人、その適任がこちらにはいるわけだが。どうだ?やるか?」
「・・・・・・」
「お前らの今の人数では俺たちにはどうやっても勝てん。なら最後は、男らしくタイマンでケリつけようや。それが一番遺恨も残らん決着方法だ。総長さん、あんたもそう思うだろ?」
「ちょ、ちょっとまった!」
山根は、右の手の平をサイに向け、相手の動作を制止しようとした。
とにかく、相手の交渉をどう捌いて時間稼ぎしようか?
山根の頭はそれで一杯一杯であった。
「───俺が行きますよ!」
そんな山根の狼狽を察してか知らずか、山根の後方から声が聞こえてきた。




