ハマの地獄族vs神奈川チョーコー part7
キムが陸男と貞利をジロッと見ると、2人は一瞬その目にゾクッと震えるものを感じた。
「・・・・・・事情は分かってますよ」
穏やかだったキム・ヨンジンの目が鋭い視線に変わり、その視線に陸男と貞利が内心背中にヒヤッとしたものを感じてるのをキムは知ってか知らずか言葉遣いは相も変わらず丁寧だった。
「手打ちいいですよ。フベ(後輩)達には、私が説得して話を通しておきます」
「えっ!?」
まさかの返答に貞利は、つい驚いた声を発してしまった。
その反応にキムはニヤリとした。
「我々も鬼じゃない。世間では我々の事を何か無茶苦茶する気狂いか何かだと錯覚してるようですが(笑)」
キムは、場を和ませようとしたのか冗談めかして笑った。
「ははは・・・・・・」
陸男は、キムの笑いに愛想笑いを浮かべた。
「それに・・・・・・」
キムは、両手を組んでテーブルの上に置いた。
「昨日、我々のフベを助けてくれた命の恩人に何ができるというのですか」
キムの顔には、最初の時の様に満面の笑みが浮かんでいた。
(この人は、俺が思ってたような在日朝鮮人じゃない・・・・・・)
貞利は、今まで朝鮮高校含めた在日朝鮮人たちに対して、非常に野蛮な好戦的な奴らだと蔑視していた事をキム・ヨンジンとのやり取りで誤解であると、深く反省・自戒し始めていた。
こんな在日もいるのだと。
いや、俺自身のそういう根拠なき妄想こそが、そういう誤解を生んでるんじゃないかと、キム・ヨンジンを見ながら内心述懐していた。
ガチャ!
タタタタタタ!
その後、数十分他愛無い会話をしていた3人の元に、神奈川チョーコー2年・ノ・テチョルが喫茶店内に飛び込んできた。
「キムヒョンニム!地獄族の野郎どもの出入りです!」
それを聞いた瞬間、キム・ヨンジンの先ほどまでの穏やかな雰囲気がピリッとしたオーラに一瞬で変わった。
「よし!」
そして、勢いよく席から立ち上がるキム・ヨンジン。
そのまま喫茶店の出入り口へと走ると、キムは振り返り陸男と貞利を見た。
「今から地獄族と一戦構えますが、お二人もどうですか?」
キム・ヨンジンは、これから横浜で一大勢力を誇る地獄族と一戦交えるというのに、その顔はやはり満面の笑顔であった。




