2022年1月11日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#18 手紙
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
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②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第18回目の今回は………
2022年1月11日放送。
妄想【愛の劇場】#18 手紙
八巻の書斎にある漆黒の机には、シンプルなデザインの机に対してひどく似つかわしくない、プラスチック製の小さな引き出しの棚がある。
引き出しは二段。上の段にはキャップ式でインクの入れ替えをする事ができる、持ち運びも便利な黒い万年筆。
そして、何冊かの縦書き用の便箋と白い封筒が入っている。
下の段には封筒に封をするためのシールと、封筒を送るための84円切手が入っている。
切手は通常のデザインもあるが、可愛らしいシールタイプがほとんどだ。
以前八巻は奏という女性と交際していた。
「ねぇ、八巻くん。文通しない?」
輝く様な笑顔で八巻にそんな提案をしてきた事があった。
奏は喫茶店でアルバイトをしていた。
八巻はアルバイト先の喫茶店の常連客でもあった。
アルバイト先である喫茶店に行けば顔も合わせられるし、家に居れば電話もメールもしている。文通に何の意味があるのだろうか。
八巻は奏の言葉に戸惑いながらも、奏へ視線を逸らす事なく、眉間にシワだけを寄せてみせた。
「八巻くんと、交換日記がしたいの」
八巻の疑問を察知したかのように、奏はキラキラした笑顔で答えた。
「交換日記だからこそ、言える事もあるでしょ?」
そして、イタズラっぽくクスりと笑った。
奏は笑顔の可愛らしい人だった。その笑顔を前にして、お願いを断れる男がいるだろうか。
奏のそんな一言から、交換日記風文通が始まった。
しかし、八巻は奏の提案に対して困っていた。
八巻は元々本を読まない。長い文章を読む事に対してかなり抵抗があった。
文章を読まないので、どの様に文章を書いたら自分の言いたい事が伝わるのかが分からなかった。
自分は本を読む習慣がないから、どの様に手紙を書けば良いのか分からない。
しかし、そんな事は奏には格好悪くて言えない。
加えて、八巻の文字はお世辞にもきれいとは言い難い。
八巻の困り事をお構いなしとばかりに、奏からの“交換日記”と言う名の手紙は直ぐに届いた。
奏の文字は、若い女の子特有の少しクセのある文字だったが、読みにくい訳ではない。彼女のちょっと変わった性格を表している様にも思えた。
手紙の内容はいたってシンプルだった。
学校の友達とどんな事をした。
バイト先の同僚が、こんな事をして面白かった。
最近読んだ本の話。テレビの話。
大好きなアイドルの話。
ファンシーで可愛らしい横向き便箋に二枚ほどの奏からの手紙は、もう少し彼女に触れていたいと感じるほど、とても癒やされるものだった。
そして、最後に「八巻くんが大好きだよ」の一言を必ず添えてくれた。
奏からの日記が届くと八巻も返事をする。
最近こんな仕事をした。こんな場所に行った。
八巻は苦手な文章を、一所懸命綴っていく。
しかし、便箋一枚程にしかならない。
もっと書いた方がいいのだろうか。しかし、どう書けば良いのか。
毎度八巻は悩みながらも、なんとか書き上げて万年筆を置き、三つ折りにした便箋を封筒に入れて切手を貼った。
奏は筆まめらしく、八巻の日記が届くと直ぐに返事が来た。
必ず「八巻くんらしいステキな日記だね」から始まり「八巻くんが大好きだよ」で終わる奏からの日記。
奏特有のクセのある文字が踊る日記が、郵便ポストに入っているのを確かめる。それが、八巻が奏へ日記を送ったあとの楽しみになっていた。
引き出しの縦書き便箋と切手に目が留まった八巻は、奏とのそんなやり取りを思い返し寂しさを覚えた。
今の郵便ポストには奏からの日記は、もちろん来ない。
八巻は引き出しから、万年筆と縦書きの便箋、白い封筒を取り出し筆を走らせた。
「奏、久し振りにペンを取りました。元気ですか?
奏から別れを言われたその後、喫茶店に行かなくなったのだけど、今日久し振りに喫茶店に行きました。
喫茶店のアルバイトを辞めたと同僚の方に聞きました。」
八巻は奏と別れた後の事を、ひとつ、ふたつと、便箋にしたためる。
筆を置く。
今まで便箋二枚書くのもやっとだったのに、今日は便箋五枚も書いた。
「話したい事がこんなにあったのか」
八巻は独り言ちながら苦笑いが出た。
便箋を三つ折りにする。
白い封筒の表書きに奏のアドレスを書き、裏書きに八巻のリターンアドレスを書き込む。
封筒に便箋を入れて、封をする。
誰かに封を開けられない様に、奏の好きだったすみっコぐらしのシールを貼る。
最後に、表書きの部分に切手を貼った。
八巻の知る奏のアドレスは奏の実家のアドレスだが、今も実家に居るのだろうか。
もしかしたら、新しい恋人の五郎と共に、新しい生活が始まったかもしれない。
八巻は、ひとつ深呼吸をした。
漆黒の机の一番上の引き出しに手をかける。
引き出しを開く。
今書き終えた手紙を、そっと引き出しの奥へとしまい込んだ。
今だに忘れられない想いと共に。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#20「露天風呂」
※次回の作品は、成人向け作品になります。
ミッドナイトノベルズ(大人向け)に投稿しました。
※妄想【愛の劇場】#19「手羽先」は、仕事の為、不参加です。
※妄想【愛の劇場】#21「森林」は、全年齢向け作品になります。




