俺達のスタート地点
俺が挑戦しているダンジョン『ラガマフィン』。
近場では一番弱いといわれているダンジョン。
とはいえこれまで見つけられたダンジョンでは踏破者はおらず攻略されていない。
最弱等と言われているラガマフィンもそれは例外ではない。
出現する魔物は弱くとも長く続くダンジョンでは神経をすり減らし死亡してしまう。
なぜダンジョンに潜る人がいるかというと魔物の魔石や素材を求めてだ。
魔石は日々の生活のエネルギーとなるし素材は防具や武器、服等生活に必要なものを作るには必要不可欠なもの等を作る素材となる。
ダンジョンの最奥についての噂は多い。
『金銀財宝宝の山』、『全世界の全て』、『神が住んでいる』等々…
俺はダンジョンを攻略したい。
別に最奥に何があるかは興味がない。
あれば良いと思うのは魔力を回復させる魔道具とかは思ったりはするが…
それよりも『ダンジョンを最初に攻略した』という実績がほしい。
まぁ今までは過度な縛りで第二階層の入り口付近が限界だった。
けど、今日からは違う。
バハムートが居てくれるから。
ギルドに到着していつもの受付嬢、エリザさんに話しかける。
「あら?おはようございますエゾさん。今日はこんな朝早くからですか?珍しいですね…。そちらの方は?」
「えっと…誰にもなさないで欲しいんだけど…俺が召喚した龍なんだ。」
「……りゅう…?」
「人の姿をしたいるけど本来の姿は大きな黒い龍で…。」
「えええええ!!!!!」
「しーー!」
やっと理解したのかエリザさんが叫びだしてしまった。
それを静かにしてくださいとお願いしてやっと落ち着いたようだった。
「召喚って出来たのですか?まだまだエゾさん若いですよね?魔力が足りなくないのでは…?」
「色々と訳あって…。」
「けど本当に…り、龍なのですか?」
やっぱり信じられないのかな…
周囲を見るとちょうど他の冒険者がいなかった。
だからかほかの受付嬢達もこちらを見ていた。
バハムートに目配せする。
「信じられぬのは仕方あるまい。」
そう言ってバハムートは翼をだした。
「黒い…翼…。本当ってこと…?」
エリザさんや受付嬢達が一斉に騒ぎ始めた。
「あの!彼女をギルドに登録してダンジョンに行きたいんです!」
少し声を張り上げてやっと今日の用件を伝えた。
「あ!はい。一応人間のお姿ですのでギルドに加入していただきます。」
エリザさんは手を少し震えさせながら必要書類をだしていく。
その用紙に昨日二人で決めた偽名をバハムートは書いていった。
『バルファ』と。
ギルドには色々訳有の人も多く所属している。
犯罪者や盗賊は駄目だが本当に色々な人たちが所属している。
ので偽名や名字を書かない、出身地を書かない等も有りなのだ。
ギルドのルール『契約違反はしない』、『同ギルド同士の争い禁止』『ダンジョンでは助け合い』を守れば良い。
ルールについて詳しく言うと自分が受注したクエストを成功か失敗で終わらせる。
同じ仲間なので喧嘩など騒動を起こさない。
ダンジョン内では何が起こるか分からないので生存を優先に助け合いしていく。
これらが守られないと各ギルドのトップ、ギルドマスターが飛んできて叩きのめされて罰を与えられる。
ここのギルドのギルドマスターは『鬼のガルゴス』。
ハンマーマスターという職でとてつもなく重いハンマーを振り回すその姿と性格で鬼と呼ばれている。
さて、登録もすんだことだし召喚したバハムートとダンジョン攻略開始だ!
段々と人が増えて生きたギルドを後にした。