100回目の別れ。1回目の希望
皆さんこんにちは。ブルングです。
SF小説はこれで二作目となります。楽しんでいってもらえると嬉しいです。
私たちは戦闘の用意をする。ユナは刀を抜き、私は照準を合わせる。
直感で分かる。こいつは敵だと。その女との戦いの火蓋は、突然開かれた。
「死になさい…汝らは知りすぎた」
女がビームを放った。私たちはそれを間一髪で避け、攻撃に転じる。
私は引き金を引く。弾丸は女の頭に直撃し、風穴が開く。
今度はユナが刃を突き立てる。刀が突き刺さる。
「案外拍子抜けね!私にかかれば…」
ユナがそう言いかけたその時、女がユナを殴り飛ばす。
タングステン合金製だというのに、簡単にスーツが砕け散った。まずい。
私がユナの方へ向かおうとすると、いつのまにか女が後ろにいた。
「もう一度…死になさい」
私は壁に飛ばされ、壁に穴が開く。口の中に血の味が広がる。
目の前で女は自己修復をしだす。風穴を開けた頭は、ものの数秒で戻ってしまった。化け物だ…
私が動けないでいる間に、女はうつ伏せで倒れているユナの方へ向かう。
そして、女は剣を取り出してユナに突き刺す。
「ユナァァァ!!」
私はお腹の底から叫んだ。しかし、目の前にはお腹から血を流しているユナの姿だけがあった。
その時、私は"全て"を思い出した。この光景を何度も見た。
場所こそ違うが、何度も。何度も。何度も。私は女と何度も戦った。
そして、何度も死んだ。
女の名前は"ラーズグリーズ"あの球体の中で知った。
私は死んだ後、いつもあの黒い球体の中に取り込まれた。あそこは10次元の世界なのだ。
"神々の世界"
そこではこの世界の全てを知ることができた。過去、未来、現在。全てがそこにあった。
そして、私たちもそこから生み出された。
私はそこで知ったのだ。ラーズグリーズたちが人類を滅ぼすこと。
そして、それを防ぐ鍵が、あの"少女"であること。
少女の名は "ジャンヌダルク" 本来これより先に存在しない存在。生かさなければならない存在。
私はユナの元へ向かう。女は、私たちに目もくれず、少女を始末しにかかる。
私には立つ力も残されていない。地面に叩き付けられる。
「ユナ…ごめん。ごめんね…」
今回も守れなかった。前回は触手で殺された。
「あら……ジェシカ…なんで泣いてるのよ。そんなに付き合い長かったかしら…」
「もう仲間でしょ?ずっと前から、ね?」
あなたとはこれで100回目の任務
「何を言ってるの?ふふ…おかしな人、あれ…涙が。なんでだろう……懐かしいわ」
ユナはそう言って刀を手渡す。
「これを使いなさい。あの子が大事だってなんでかわかるわ。さぁ、行って!」
ユナは私の肩を押す。それが、彼女との最後の会話だった。
私は刀を握りしめ、スラスターを吹かす。100万年の思いを込めて。
「あなたが……ジャンヌダルク。死んで」
ラーズグリーズが少女に剣を突き刺そうとする。もうすでに秋元たちは戦闘不能に追い込まれていた。
ラーズグリーズが剣を下ろした瞬間。私の弾丸が剣にあたる。ラーズグリーズの動きが少し止まる。
その隙に私はスラスター全開で女に突っ込む。刀が突き刺さる。そのまま壁へと押し付ける。
全てのスラスターを使って押さえつける。ここが正念場だ。
/爆発まで3分
システムが告げた。
私は少女に声をかける。
「あなた!さっさと行きなさい!!」
「でも……」
「私のことはいい!あなたのために何回死んだと思ってるの?」
「でも……でも…未来は……!暗いままだよ……!私が生きてたって!!!」
/爆発まで残り2分
少女が涙を浮かべる。私はそんな彼女に向かって叫んだ。
「行け!!ジャンヌダルク!!その暗い未来を変えなさい!!!そのためにあなたはいるの!!」
私の声が、想いと共に反響した。その声が、想いが、少女、いや、ジャンヌダルクに届いた瞬間。
彼女は走り出す。
壁の穴から彼女が走り去っていく。その先には、輸送機がいるはずだ。
「さて、あんたはここで一緒に死ぬんだ!」
ラーズグリーズが私に剣を突き刺す。
「ユナの分まで、私は生きる!!あと1分!ユナの命を借りる!!」
/残り1分
「あなたには99回殺された。ほんっとに最悪だった!」
「でも…これで終わり。あとは彼女に託す!!」
ラーズグリーズがバタバタと暴れる。
/残り10秒
「さようならユナ」
「あとはよろしくね」
『ジャンヌダルク!!!』
地表に小さな太陽が生まれた。そのエネルギーの前には、私の鎧も、そしてラーズグリーズの体も意味をなさない。
儚く崩れて、消えてしまった。
これは、神と人類の戦いの物語。その序章である。
「10次元からの使者と情報は、我々を強者に仕立て上げた…か」
司令官は報告書を見て、ため息をついた。
皆さん初めまして、ブルングです。今回が最終話となります。今後世界は何度ループするのでしょうかね?
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)
読んでくれてありがとう!!!