思い出せない。思い出したくない?
皆さんこんにちは。ブルングです。
SF小説はこれで二作目となります。楽しんでいってもらえると嬉しいです。
銃を向けているその少女は、興奮しているようだった。
「大丈夫だ。救援に来た。銃を下ろしてくれ」
私はなるべく落ち着かせるように、柔らかな声で言った。
「そうよ。あなたのそんな豆鉄砲じゃ、私たちに傷すらつけられないわよ?」
私はユナを睨む。相手を挑発してどうするというのか。
「でも……もう………いや……」
少女が静かに呟く。そして下を向く。
銃口がガタガタと震えている。このままでは、手荒な真似をしなければいけなさそうだ。
私たちも自身の武装に手をかける。少女が引き金を引こうとした瞬間、何者かが彼女の銃を掴んだ。
「彼女たちは味方だよ」
国連軍の装備を身につけた男が、彼女に向かって優しい口調で言った。そして私たちの方を向いて、頭を下げて言った。
「すまない。この子も悪気はないんだ」
「問題ありません。こういった対応は初めてではありませんから」
「ありがとう。恩に着るよ」
男はもう一度深々とお辞儀をすると、部隊の人間を集め出す。
5分後、全員が集まる。
「1、2、3……戦闘員が3人だけしかいないなんて。この状況じゃ、生きていけないわよ?」
ユナが兵士たちを見て言う。その言葉の通り、この調子では生き残れないだろう。
「戦死19名か。たった5体に随分痛手をもらったな」
男がつぶやいた。
「もう数え終わったかしら?早くいきましょう?死人を数えても何にもならないわよ」
ユナの心ない言葉が男に突き刺さる。私の顔が強張る。注意しようとした時、男が声を出す。
「全員!集まれ」
男は兵士たちを整列させた。その声には、何か強い思いが込められているようだった。
「さて、お二人とも。待たせてしまってすまない」
「私たちは第18輸送小隊だ。私は隊長の秋元 健だ」
秋元の言葉を聞き、残りの2人の隊員も自己紹介をする。
「同分隊。田原 鈴音です」
「同じく。谷 雄介っす」
2人は、私たち2人に向けて敬礼をする。私とユナはそれに敬礼で返し、自己紹介をする。
「ジェシカです。所属は明かせません」
「ユナよ。同じく、所属は ヒ ミ ツ 」
私たち2人は所属を明かすことができない。いや、正確に言えば、知らないと言った方がいい。
というのも、私たちにはここ数ヶ月の記憶しか存在しなかったからだ。
「そうか。よろしく頼む。聞いていると思うが、私たちの目標は敵の中枢。高エネルギーを発している場所だ」
「そこへある爆弾を運ばなければならない。しかし、見ての通りトラックが横転してしまった」
秋元が指差す方向を見る。そこには横転したトラックがあった。
「とりあえず、トラックを起こしましょう」
「しかし……5人ではどうやっても無理だ…」
「任せてください。問題ありません」
私はそう言って、ユナを呼ぶ。
「ユナ。息を合わせろ。慎重に起こす」
「大丈夫よ。あんたの助けなんかいらない」
そう言ってユナは1人でトラックを持ち上げて、あるべき姿へ戻す。
「爆弾が入ってるって言ってるだろ!何をしている!」
私はユナに向かって大きな声を出す。
「何よ。普通の爆弾なら衝撃なんかで爆発しないわ。ところで、これには何が入ってるの?C4?」
ユナが秋元に聞く。
「核弾頭だ」
「あなた……それをもっと早く言いなさい」
私は頭を抱えてその光景を見ていた。ふと目をやると、顔面蒼白の鈴音と谷がいた。
ユナと秋元の反応が異常なのだ。私はこれ以上気にしないことにした。
皆さん初めまして、ブルングです。これで二作目となりますが、もしかしたら読みにくかったりするかもしれません。
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)
読んでくれてありがとう!!!