天使のような彼女
鈍い音を立て、ユナに真っ二つにされた怪物が倒れる。その影から、ユナの姿が見える。
白色のショートヘアの可憐な少女。体にベッタリとついている怪物の体液がなければ、天使と見間違えてしまいそうだ。
ユナは静かに刀を鞘に収める。そして、私とユナの間にある怪物の死体を蹴飛ばし、誇らしそうな顔で言う。
「あなたより7体も多く倒したわ。やっぱり臆病者ね」
そう言ってユナは笑う。
「お前。そんなんじゃ死んじまうぞ」
私はユナに向かって強い口調で言った。
「負け惜しみかしら?みっともない」
ユナはさらに高笑いする。本当にイライラする。
私は司令部に連絡を入れる。
「こちらジェシカ。片付けました。目標への誘導をお願いします」
「こちら松崎です。北へ進んでください。国連軍の部隊が展開しているはずです。まずは彼らとの合流を優先してください」
そう言って通信が切れる。
「おいユナ。北へ向かうぞ。国連軍と合流する」
「国連軍?なんでそんな奴らと合流するのよ。役に立たないわ。足手纏いよ!」
「命令だ。従え」
「あなた。都合のいい犬ねぇ?」
「なんとでも言え。その代わり、付いてきてもらうぞ」
「はいはーい」
ユナは適当な返事をして、まるで遠足に来たかのような足取りで歩き出した。
最初の接敵から10分ほど経った。私たちは今、北へ向けて走っている。
いや、飛んでいる?まぁいい。
このスーツと普段の訓練のおかげか、全くキツくない。
「ねぇあなた。あれ、なんだと思う?」
ユナが、空に浮かんだ巨大な黒い球体を指差し言った。
司令が"ホール"と呼んだそれは、音も立てずにひたすらそこにあった。
時折、その球の真下へ何かが落ちていく。おそらく怪物だろう。
「分からない。だけど……見たことあるような………」
「えぇ。私もそんな気がするわ…」
私たちがそんな会話をしている中、銃声が聞こえてきた。
その中には人の声、そして怪物の咆哮も混ざっているようだった。
「あっちから呼び出してくれるなんて幸運ね。探す手間が省けたわ」
ユナが刀を抜いて言った。国連軍の声からするに、かなり緊迫しているようだ。急ごう。
私はスラスターとフラップを使用して、急激な方向転換をする。
「あなた。そっちはビルよ!!」
「こっちの方が早い!!」
私はビルの窓に突っ込む。そしてそのまま壁を突き破り、反対側へ飛び出す。
目の前には5体の怪物と、国連軍の部隊がいた。私はスナイパーライフルを手に取る。
空中での射撃はかなりの難易度だが、私にとっては簡単なこと。
私の世界には、息遣いの音のみがあった。全てが止まって見えた。指先にほんの少しだけ力を加える。
ライフルが火を吹く。
弾丸は怪物の頭を直撃する。そして怪物は力無く倒れる。
もう一体。もう一体と倒していく。私が地表に足をつけたとき、もうすでにそこに敵は存在しなかった。
「わお、かなり強引ね。私でも倒せたけど」
後から追いついてきたユナが体についたコンクリート片を手で払いながら言う。
「負け惜しみか?みっともないぞ」
私はユナに向かって言い返す。お返しだ。
「あなた、切られたいのかしら?」
ユナが刀を抜こうとした時、大きな声が響く。
「止まって!!!」
私とユナがその声の主へと顔を向ける。
そこにいたのは、拳銃を構えた可愛らしい少女だった。
皆さん初めまして、ブルングです。これで二作目となりますが、もしかしたら読みにくかったりするかもしれません。
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)
読んでくれてありがとう!!!