あなたの名前は
皆さんこんにちは。ブルングです。
SF小説はこれで二作目となります。楽しんでいってもらえると嬉しいです。
輸送機の振動が体に伝わる。私たちは対角線上に座って、作戦内容を確認していた。
そこには会話などは無く、輸送機のエンジン音だけが響いていた。
「間もなく降下ポイント。用意をお願いします」
天井から声がする。オペレーターの声だ。私たちはその声に呼応し、席を立つ。
私はスーツを着用する。タングステン合金製の特殊アーマースーツ。
私のスーツはオレンジを基調としており、もう1人は青色を基調としている。
スーツが機械音を立てて体に密着する。そして稼働を開始する。
私と彼女が横並びに立つ。彼女はスーツのチェックをしながら私に話しかける。
「おい。邪魔をしたら容赦しない。分かってるな?」
「もちろん。あなたこそ、しくじらないでよね?」
険悪なムードがあたりに充満する。
私の言葉を聞いた彼女は、私を睨みつけた後、正面に顔を戻す。
「ハッチオープン。最終確認をせよ」
今度の声は耳につけた装置から聞こえてくる。
そしてハッチが開いて、輸送機のエンジン音がより大きく聞こえる。それと同時に、風が私たちの髪を揺らす。
「2人とも、今回の任務は危険なものだ。もう少し上手くやれ」
私と彼女は、2人ともムッとした顔をする。
「司令。不可能です」
彼女は吐き捨てるように言った。
「こんなに愛嬌がない人とはねぇ?」
私は皮肉めいた声で言った。その声を聞いて、彼女は私のことをギッと睨みつける。
「はぁ……まぁいい。事前に聞いたと思うが、最終ブリーフィングだ」
「松崎、状況説明を頼む」
「はい、司令。お二人とも、初めまして。オペレーターを務める松崎です。状況を説明します」
「約48時間前。突如として東京上空に"ホール"が出現しました。これを受け国連は部隊を派遣しましたが……壊滅しました」
「さらに、ホールからは謎の生命体が出現しているようです」
オペレーターの言葉の後に、司令官が話し出す。
「というわけだ。君たちの仕事はこれを破壊すること。それだけだ」
その言葉を聞いて、彼女は司令に向かって質問する。
「2人だけでは無理だと思います。どちらかが必ず死にます」
「その点は問題ない。ダメだったらもう一度やるまでだ」
「目標地点はホール直下。そこで高エネルギー反応が検出された。そこが中枢部と見られる」
「その場所へは私たちがナビゲートしよう。道中には国連軍がいるはずだ。協力して進め」
「了解しました……」
「りょーかいでーす」
私たちはそう言って、開いたハッチへと歩き出す。
「そう言えば…お前の名前を聞いておこう」
彼女が私に聞いてくる。だが、こちらを見ようとしない。感じが悪いったらありゃしない。
「私はユナ。あなたは?」
「ジェシカだ。」
「ずいぶんアメリカンな名前ね?」
「母がアメリカ人だからな」
その声と同時に、松崎から通信が入る。
「降下まで、Tマイナス30セカンズ。降下用意」
その声を聞き、私たちはスーツの最終チェックをする。
『フラップ。姿勢制御用スラスター問題なし』
『高機動用スラスター。問題なし。各部アクチュエーター正常』
『武器弾薬問題なし。降下用意よし。オールグリーン』
2人の声が合わさる。不本意だが、相性はいいのかもしれない。
「ジェシカ。降下で死なないでね?」
「お前こそ酸欠で死ぬなよ。弾除けにすらならないなんて終わってる」
私とジェシカは睨み合う。
「Tマイナス10セカンズ。前へ。パラシュートはありません。スラスターで上手く着地してください」
「Tマイナス5セカンズ。ご武運を」
ランプが緑色に光る。その合図に合わせて、私たち2人は機内から飛び出す。
高度1万メートルの世界へ私たちは放り出される。
ここからの景色は本当に美しい。空は雲ひとつない快晴で、地表がよく見える。
感嘆の思いも束の間、異物が目に入る。黒色の球体のようなものが東京上空にある。
私はそれを見て、なんだか息が詰まる感じがした。
皆さん初めまして、ブルングです。これで二作目となりますが、もしかしたら読みにくかったりするかもしれません。
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)
読んでくれてありがとう!!!