みんな笑顔です!
「おめでとうございます。見事なレースでしたが、今のお気持ちを教えてください」
「ありがとうございます。少し悔しくもありますね。でも、よく頑張ってくれました。いずれどこかで決着を付けたいものです」
男性インタビュアーがお立ち台に上がっているサイドマにマイクを向け、激戦だったレースの感想などを聞いている。
「はい、ありがとうございました。続きましてはもう一人の勝者であるソロン号の騎士ユウガです……大丈夫ですか?」
「ひゃい!大丈夫れす!」
インタビュアーが隣に立つユウガへとマイクを向けたが、当の本人の足はガクガクと震えており、立っているのがやっとのように見える。
「そ、そうですか……それでは今のお気持ちをお聞かせください」
「い、今の気持ち……」
その言葉と同時に、ぶわっとユウガの目から涙が溢れる。
「どうかしましたか!?」
「感謝しかありません……故郷の両親やみんな。こんな僕を信じてくれた調教師のトナシさんにオーナーのエリザさん、応援してくれた方々……それに何と言っても頑張ってくれたソロンには感謝しかぁぁぁ!?」
今感謝したソロンに背中から鼻で突き飛ばされ、お立ち台から転げ落ちた。
「いたい!?」
どっ!
会場から大きな笑い声が湧き上がっていく。
「こら!ソロンダメだってば!」
ディクトたちも近くで待機していたため、ソロンを抑えにかかった。
「だってぼっちゃん……話なげぇんですもん。こちとら疲れてるんですよ?」
「も、もうちょっとだから!」
ソロンはそっぽを向き、ぷひぃ……と鼻息で返事をする。
「それではソロン号を止めてくれた可愛い少年にも聞いてみましょう。今の気持ちはどうかな?」
「ボ、ボクですか!?」
「はい、大丈夫そうかな?」
「……ソロンが勝ってくれて嬉しいです。だけど一番印象に残ったのは、二人の最後の直線!どちらも一歩も引かずに最後までどっちが勝つか分かりませんでした!今度はボクも一番近い場所で見てみたいです!」
「それは馬に乗ってということでしょうか!?」
「はい!」
「ありがとうございました!将来の騎士が夢を叶えてくれることを応援しましょう!」
興奮してすごいことを言っちゃった気もするけど、ボクの本当の気持ちだ。
パチパチパチパチ!
大きな拍手が応援してくれるようでとても嬉しい。
「続きましてはダークペガサス号のオーナーであるウザック卿です。今のお気持ちはどういったものでしょうか?」
「不満はあるが、勝利という事実は変わらない。それだけだ」
「もう!ウザックちゃんたら相変わらずね!こういうときは笑顔で嬉しい気持ちを表現するものでしょ!」
仏頂面なウザックにエリザが食ってかかった。
「エ、エリザ殿……そのウザックちゃんと言うのはやめていだだけないか?いくら子供からの付き合いとはいえ……」
「いいえ!ウザックちゃんはウザックちゃんよ!私がおしめも替えてあげたんだから!それに初恋の女の子にフラれて泣いてたときも励ましてあげたでしょ!?」
「エリザどのぉぉぉ!?」
またしても笑いに包まれる会場。
「そのお話詳しく聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」
インタビュアーが興味深そうにマイクを向ける。
「もちろん!」
「貴様はさっさと仕事をしろ!」
「こほん……失礼いたしました。それではマダムエリザ。今のお気持ちはどういったものでしょうか?」
「そうね……おじいさんにいいお土産話ができたわ……もう、思い残すことは……もうちょっとあるから待っててもらうとしましょう!」
「ええ、それがよろしいかと思います。マダム、ありがとうございました。それでは関係者の皆様で写真を撮ります!カメラの前にお並びください!」
カメラの前にソロン、ダークペガサスが並び、その左右に関係者たちが並ぶ。
カシャッ!
シャッターが切られ、一枚の写真が出来上がる。
写っている全ての人が笑顔を浮かべた最高の一枚だった。
その後、現像された写真は翌朝の新聞の一面を飾ることになる。
新しい歴史の生まれた日というタイトルとともに。




