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第四話 シンデレラといえば……


(うん、もう一度、よく整理しよう!)


 召使いになってから移されてしまった屋根裏部屋の私室で、私は事態をもう一度確認していた。


 シンデレラの大まかなストーリーは……



 シンデレラは裕福な家の娘として生まれるが、母親が幼い頃に亡くなってしまう。

 シンデレラを不憫に思った父親は、亡くなった妻の代わりにと、後妻と再婚する。

 しかし、不慮の事故によって父は帰らぬ人となってしまうのだ。


 継母と義姉たちの中に取り残された可哀想なシンデレラ。

 継母たち三人の派手な散財により、家は困窮。

 シンデレラは、召使いにされ、こき使われる。


 ある夜の舞踏会で、シンデレラは、継母と義姉たちに置いてけぼりにされ、それをどっからか現れた魔女がシンデレラを着飾り、かぼちゃの馬車に乗せ舞踏会へ連れて行く。

 そして、王子様と出合い恋をし、時間の関係で立ち去ったシンデレラはその後王子に見つかりハッピーエンド!ちゃんちゃん!



 ………いや、待ってよ。これのどこがハッピーエンドなのよ……!



 そもそも、お父様はまだ死んでないし、我が家は貧乏でもないわ!

 まぁ、絶賛あの三人によって喰い散らかされてますけどね!!


 というか、一番の問題はそこじゃなくて、恋の相手が王子ってと「お嬢様!!!ヘンドリック様がいらっしゃいました!!!」


 こぉぉぉぉぉーーーーーー!!!


 げっっほん!!


 失礼。驚いてしまって。


「それは本当なの?ミア」

「はい。たった今いらっしゃって。お嬢様のお見舞いにと……」

「??………お見舞いぃ?取り敢えず、応接室に行くわ」


(??お見舞いなんて、一体どういうことかしら……)


 はて、お見舞されるような病人が我が家には居ただろうか??


 そう思いながら、屋根裏部屋から出ていこうとすると……


「あ、あの、お嬢様?その格好ではちょっと……」


 と、ミアに声をかけられる。


 ハッと気づき、自分の今の格好を見直す。


 掃除がしやすいように着ている薄汚れた茶色のワンピースに、煤だらけのエプロン、ボロボロの靴……。


(これは、およそ貴族令嬢が身につけるものじゃないわ………!)


「きゃぁぁーー!こんなんじゃ、ヘンドリック様の前に出れないわ!!ミ、ミア、私のドレスはある?ワンピースでもいいわ!」

「お嬢様のお気に入りのワンピースなら、私の部屋に隠しております!持ってまいりますね!!」

「有難う!できるだけ急いで!」

「はい!」


 ミアが超特急でワンピースを取りに行っている間に、ドレッサーの前に座って髪を整える。


(今日はあの三人も帰ってくるのが遅いだろうからって、お風呂に入っていて良かったぁ)


「お嬢様ぁぁ!!持ってまいりました!!」

「あぁ!早かったのね!ありがとう!!」


 お気に入りの薄水色のワンピースを身に纏い、意気揚々と応接間に向かった。




「失礼いたします」

「どうぞ」


 応接間のソファに腰掛け、優雅にお茶を飲むヘンドリック様………。



(あぁ!!!!なんて、麗しい!!)




 えぇ。そうです、そうなんです。


 わたくし、あんな、なよなよした王子様よりも、この!!ヘンドリック様が!!好きなんですーーーーーー!!!!!



「御機嫌よう、ヘンドリック様。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「………アルミリア公爵令嬢が、体調不良で今夜の夜会を休んでいると聞いていたのだが……?」

「…………!?」


 驚いたようにきょとん、とされるヘンドリック様。


(あんの、馬鹿ども!!子供でもわかる嘘をついて………!)


「はッ!まさか、王子殿下もそれを!?」

「ご存知だ」

「何ということを…………。ん?ですが何故ヘンドリック様がこちらに?」


 あの王子のことだから是が非でも自分が行く!と言っただろうに……。


「自分が行く、と殿下と陛下に申し上げた」

「………え、ヘンドリック様が?」


 いつものキリッとしたお顔とは違って、少しうつむき加減に頬を赤らめておられる。


(はぅっ!なんてかわいいの!?なんなの、なんなのーー!?)


「その、最近はゴタゴタしていて会えなかっただろう?少しでも顔が見れたら……と思って」

「……………」


(ひきゃぁぁぁぁ!!可愛い!可愛い!こ、コレが『戦場の鬼』!?もう私の心臓は鼓動の打ちすぎで爆発しそう!!) 


「へ、ヘンドリック様がそう思ってくださっていたなんて……。わたくし、嬉しゅうございますわ」

「そ、そうか!?……ところで、体調は大丈夫なのか?最近は、仕事にも出ていないし」

「あーー。んーー、それが………」


 ヘンドリック様には本当のことを話してもいいか!とこれまであったことを包み隠さず事実のまま喋った。



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