第二話 継母と義姉たちと……
どうも、御機嫌よう。
アルミリア・ロサ・エルゼルトでございます。
まぁ、挨拶もそこそこに、只今、義姉たちによる苛め……ごほん、イビリ?の真っ最中でございますね。
「はぁー!ほんと、あんたってトロいわね。これだから頭の回転が遅いやつは!ハッ!」
(えー、こちらの痩せっぽちな義姉は、長女セレン、自称・才女です)
「嫌だわぁ!ほんっと、使えないのねぇ。対して可愛くもないくせに、調子乗ってんじゃないの〜?」
(う〜む、こちらの太っち………げほっ、……ふくよかな義姉は次女ユアン。自称・美少女です)
こう考えたら、我が家の人間ってヤバい人ばっかり?
まぁ、お父様なんて、家と外ではあの豹変ぶりですしね。
あ、ちなみに、義姉たちとはまったく血の繋がりはありませんよ。彼女たちはあくまでも、亡くなられたトレド子爵の娘ですから。
父があの継母と再婚しても、二人の養子縁組はしてませんからね。
「ユアン、その辺になさい。これから、夜会なのだから」
「そうだったわ!お姉様、どのドレス着ていくの?」
二人の会話に私は驚く。
「あの、お義姉様方。本日は、夜会があるのですか?」
「そうよ、王家主催の夜会よ。………でも、あなたのような召使いは行けないわよ」
「え………?」
「あ〜ら、当たり前じゃない!使用人は、夜会には行けないのよ!身分をわきまえなさいな。おーーほっほっほっ!」
義姉たちは高笑いをしながら去っていったが、私はそれどころではなかった。
(まずい、まずいぞ。この状況は非常にマズイ)
いや、なにも私はどうしても夜会に行きたいとか、そういうことは考えていない。
しかし、私にはどうしても夜会に参加しなければならない理由があった。
お父様がいる時は、私がどんなに嫌がっても、無理矢理馬車に詰め込まれたこともあった。
……正直、私は夜会を苦手としている。できれば、あんな腹の探り合いのような社交の場なんて、遠慮したかった………。
どうやら、本当に継母と義姉たちだけで夜会に行くらしく、三人はあれやこれや侍女たちに怒号を飛ばしながら準備し、意気揚々と屋敷を出ていった。
「………!?お嬢様!?どうして、こんなところにいらっしゃるんです!夜会は!?」
「いやぁ、それが、連れて行ってもらえなかったのよねぇ〜」
「……………」
ミアの顔がどんどん青ざめていく。
「……もう、終わりです。この家はもう終わりですぅーーーー!!!」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさい、ミア」
泣き叫ぶミアに、おどおどしていると、ドタドタという足音が聞こえてきた。
「どうしたんですか!?ミア!……………!!お、お嬢様!?な、何故、ここに!!」
「あ〜、セバスチャン。お義母様たちに置いて行かれてしまったのよね〜」
「………だから、ミアがこんなことになってるんですね……」
執事長のセバスチャンは、遠い目をし、何かをブツブツと呟いていた。