第一話 シンデレラだって恋したい!
こんにちは!はじめまして!お久しぶりです!
水無月です!
新連載ですーーー!!
『花の妖精』や『冷酷王』を見ていただいた方はご存知だとは思いますが、わたくし、すごくすごく筆が遅うございます………。
ということで、こちらの作品もなるべく、頑張って、一生懸命、書いていこうと思っておりますが、更新が遅くなってしまっても温かい眼差しで見守っていただければ……と思っております。
どうぞ、よろしくお願い致します!!
「残念だったわね、アルミリア、お父さん亡くなったんですって、あぁ、あなた、今日から召使いね」
にこにこと嘲笑っている継母の目を見ながら、ふと気づいた………。
(………これ、シンデレラじゃね?)
アルミリア・ロサ・エルゼルト。正真正銘、エルゼルト公爵家の娘で、数年前までは、ちょっとアホな所があるお父様と使用人たちに囲まれて幸せに暮らしていた。
私のお母様は5歳の時に亡くなってしまい、それから父との生活が始まる。
お母様とお父様は政略結婚だったけれど、すごく仲が良くて、愛し合っていた。
しっかり者のお母様に対して、私生活に関しては、どこか抜けているお父様は小さな私に不自由させたくないと、後妻を連れてきた。
……それも、二人の子連れの未亡人。
元子爵夫人だと言う彼女は端っから私なんて眼中になかった。
しかし、一国の宰相であるお父様は仕事で忙しく、家にはほとんど帰ってこない。
我が物顔でのさばる継母と義姉二人には、なるべく関わらないように過ごしていた。
継母は、悪賢い人で、私とのことは父には良いように言っていたようだ。
父は笑顔で『新しい母上が来てくれて良かったな、私もこれで安心して仕事に行ける』と言われてしまっては、離婚してくれとは言い出しづらかった。
そんな時だった、父が隣国に外交のために向かったのは。
そして、冒頭の発言だ。
継母の宣言通り、召使いにされ、使用人とともに働かされることになった。
使用人たちはひどく困惑していたが、今や実質、屋敷の主たる継母には逆らえなかった。
継母や義姉に見つからぬ所で、助けてくれたり、食事を抜かれた日には、こっそりと温かい食事をくれたりした。
そんな状況に陥って、早くも一週間が経過。
「お嬢様ぁ、本当にこのままでいいんですか?」
「良くはないわね」
「この屋敷の本当の主はお嬢様なのに!」
プンスカと怒っているこの子は、私が小さな頃から仕えてくれている侍女でミアという。
貧乏男爵家の令嬢だが、婚約者がおり、今年結婚することになっている。
(それにしても、よりによってシンデレラなんて……。あの人の異常な執着はコレが原因か………)
先日、父の不穏な知らせを聞いた瞬間に浮かんだ前世の記憶とやらは、正直あまり頼りにならないものだった。
覚えていることといえば、しがないOLだったことと大好きだった童話の話くらい。あとは、霞がかかったように思い出すことができない。
(童話が好きだったからといって、それの登場人物になりたいなんて思ったこと一度もないわよ!)
取り敢えず、多分勘違いしているミアに話を通しておく。
「今、お父様の情報を集めているところなの」
「えっ!?旦那様の?……ですが、旦那様はお亡くなりになったんじゃ……」
ほらね。あの継母のことだから、使用人にはお父様が死んだと伝えてるんじゃないかと思ったわ。
「いいえ、ミア。使者の方は『エルゼルト公爵が行方不明になり、生死不明の状態です』と言ったの。お父様が亡くなったかは、まだわからないわ」
あの後、父の死亡届をサッサと提出しようとする継母を見て、直ぐに手を回し、書類の受理を差し止めておいた。
役所も行方不明なだけなのに、死亡届を受理することはない。
私は不敵な笑みを浮かべてミアを見る。
「ミア?あの『お転婆娘』と呼ばれた私が、やられっぱなしだと思う?」
ミアはキョトンとしたあと、ハッと我に返り、ブンブン!とすごい勢いで首を横に振った。
継母や義姉は、私を疎むばかりでほとんど顔を合わせなかったからね。
きっと私の事をそこまで知らないはず。
ふふっ!楽しい日々になりそうだわ!