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勇者と魔王の相互作用  作者: 麻美ヒナギ
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<三章:幹部大改造計画> 【01】


【01】


 本日は幹部集会である。

 魔王の間に、跪いた幹部達が並ぶ。


「魔王様。『再誕するモンスター』、スケール参上いたしました」

 最初に声を上げたのは古参の一人、スケール。

 骨である。骨だけだが、喋るし動くし、そこそこ強い。


「魔王様。『原始のモンスター』、モササウス小侯爵参上したっス」

 次に声を上げたのは一番若い幹部、モササウス小侯爵。

 首にマフラーを巻いた巨大なワニ人間である。ただ、ワニよりも頭部は厚く大きい。彼の頭は、太古の生命体モササウルスのもの。だがそもそも、この国では比較対象のワニがいない。


「ブロ」

 次の挨拶は、『星のモンスター』、ブロブ。ドロドロぬるぬるのピンク色のスライムである。ちなみに彼? の体の成分は、生物に対して非常に良い効能がある。


「魔王様。『豊穣のモンスター』、カラミア参上いたしましたわ」

 色っぽい声を上げたのは、下半身が蛇の女性だ。長く艶のある美しい黒髪が特徴で、魔王様よりも大きい胸と蒼白の肌を惜しげもなく露出している。


「魔王様。最強の我も挨拶した方が――――――」

「あんたは黙ってなさい」

 魔王様に怒られたクリムゾンガンブラッドを合わせ、八人いる幹部の内、今日は五人が集まった。

「魔王様。本日の議題に入る前に、聞いてもよろしいでしょうか?」

 スケール様は、手を挙げてたずねる。

「許すわ、スケール」

「何故に………………クリムゾンガンブラッドと眼鏡は吊るされているので?」

 玉座の近くで、あたしとクリムゾンガンブラッドは、鎖で拘束され吊るされていた。

「クリムゾンガンブラッド、何故か自分で話しなさい」

「我、調子に乗って城を破壊しちゃったのだ」

「眼鏡ちゃん」

「自分は、止めないで傍観していました」

「そういうこと、今回の件で痛感しました。『うわっ私の幹部問題ありすぎ!』っって」

『はい』

「ブロ」

 五名の幹部は、思い当たる節があるのか声を上げてうなずく。

「ですので、本日の幹部集会の議題はこれ!」

 魔王様は、玉座の裏に隠していた手書きの看板を取り出す。

 そこには、雄々しく太い文字で『幹部大改造計画』と書かれていた。

「今日は、幹部全員の問題点をみんなで話し合います! 最初の問題幹部はこいつ!」

 魔王様は吊るされた赤い卵を看板で指す。

「最強の我に何か問題が?」

「俺から言わせてもらおう」

 スケール様が最初に言う。

 この古参幹部は長い付き合いだそうな。

「ガンブラッド、お前は安易にビームを撃ち過ぎだ。それで城を何度破壊した?」

「我にとってビームは生理現象だ。一日一回撃たねば健康を損なう」

「射精か!」

 おい、骨。

「そんなもんである! スカスカの貴様にはわからんだろうがな!」

「何だと幼児体形!」

「卵だから幼児体形と言いたいのか! 確かに最強の幼児体形だな!」

「あなた達、そういうところよ」

『………………はい』

 古参男子二人が、魔王様にとてつもない気迫で怒られた。

「クリムゾンガンブラッド、ビームを撃ちたかったら外で撃ちなさい。今後、城で撃つのは禁止します」

「魔王様、いかに最強の我であっても男としてどうしても我慢できない衝動的な――――――」

「我慢しなさい。これは命令。どうしても耐えられないなら………切り落してあげる」

「怖いのである。どことは言わないが縮んだので、我、耐えれそうである」

 ちょっと男子。

「次はモサくん」

「はい! はい! ジブン、魔王様の命令なら何でも聞くっス!」

 ワニ人間は元気よく返事をした。

 あ、モササウルス人間か。面倒だからワニ人間でいいか。

「君は素直過ぎます。疑いなさい。特に馬鹿な卵と骨の意見は疑うように! こんなバ幹部に囲まれていては、君の将来が心配です!」

「はい! 気を付けるっス!」

 ワニ人間は元気良し。魔王様はお母さんである。

「だがしかし、モサよ。最強の我に並びたくばビームくらい口から撃てるようになるのだ」

「はい、頑張るっス!」

 すーぐ卵は余計なことを言う。

「いやいや、モサ。俺が教えてやる。男に必要なのは飛び道具ではない。拳と筋肉だ」

「それも頑張るっス!」

 筋肉て、スケール様は骨でしょ。

「クリムゾンガンブラッド、スケール」

 子供なら心臓が止まりそうな圧で魔王様が名前を呼ぶ。

『気を付けます』

 情けない男子が情けなく詫びた。

「はい、次!」


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[気になる点] 卵の縛り方 [一言] ブロ風呂入りたい。
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