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レオ対ジェロニモ

「レオさん!!」


「……間に合ったみたいだね?」


 テニスコート程の大きさの屋上の端で固まるエレナとレーナ王女。

 それを囲むようにレーナ付きのメイドたち。

 その前にエレナの護衛であるイメルダたち。

 更にその前に立つレオ。

 背後から聞こえた元気そうな声に、レオは安心したように笑みを浮かべる。

 緊急事態だったため、メルクリオに一言告げただけで戦場から飛び出してきたのは正解だったようだ。


「レオポルド・ディ・ヴェントレ! 貴様どうやって!?」


 レオの突如の出現に、ジェロニモも慌てる。

 ことあるごとに自分の邪魔をした憎き人形使い。

 それがまたも自分の前に現れたため、先程までの精神的ショックが吹き飛んだようだ。


「それはこちらの台詞だ! どうやってあの場から逃げたというのだ!?」


 突入を控えた軍が取り囲んでいたにもかかわらず、いつの間にかジェロニモは遠く離れていたここ王都へと来ていた。

 村から出る者は捕縛するように見張りを付けていたのに、どうやって村から脱出したというのか。

 何も知らず、王国軍はもぬけの殻になった村を捜索する羽目になった。


「フンッ! この問答は無意味か……」


 自分も相手も、手の内を晒すようなことはわざわざ言う訳がない。

 そう判断したジェロニモは、レオからの答えを諦める。

 そして、周辺にいるスケルトンを使い、レオが操るスケルトンを破壊させた。


「レオさん!!」


「エレナ! 安心しろ! 何としても君を守る!」


「はいっ!」


 ジェロニモの操るスケルトンが、階段からどんどんこの屋上に上がってくる。

 農具の鍬や鎌を持つ者や、剣や槍を持つ王国所属を示す鎧を着ているものもいる。 

 もぬけの殻になった村の住人は、全員スケルトンにされて連れて来られたのだろう。

 城内にいた兵の遺体も、利用できるものはスケルトンへと変えられたのかもしれない。

 側で改めてみると、恐ろしい能力であると共に、人の命を平気で利用するジェロニモへの怒りが沸々と湧いてくる。

 ぞろぞろと姿を現すスケルトンの数に、恐怖で身を縮めたエレナが心配そうに声をかける。

 その声に対し、レオは力強く返答する。

 短いながらも安心を覚えたエレナは、恐れが吹き飛んだかのように微かな笑みと共に頷いた。


「……そうか、貴様がエレナを誑かしたのか!?」


 自分の好いた美しいエレナの笑みがようやく見れた。

 しかし、それはレオが現れたことによるものだ。

 僅かなやり取りで通じ合う所を見せられ、ジェロニモはレオとエレナの間に何か強いつながりのようなものを感じた。

 その関係は、自分がエレナと作り上げる絆のはずだ。

 それがレオとの間にできていることに、体の奥底から怒りが湧いてきた。


「誑かす? 何を言っているんだ?」


「黙れ!!」


 邪魔をされたことに怒りを覚えているのかと思っていたが、何だか違うことによる怒りをぶつけられた。

 レオからすると、話の内容がよく分からないため首を傾げたのだが、それが更にジェロニモを逆上させた。

 真顔で問いかけてくるレオが、上から目線で馬鹿にしていると勝手に解釈したのだ。


「スケルトン!!」


 エレナが自分の愛情を受け入れないのは、きっとこの男によって阻まれている。

 いつの間にか自分に都合よく思考を変換していたジェロニモは、レオに向けてスケルトンを動かした。


「グルㇽ……!!」


「クオーレ! 無理はしなくていい! エレナを守ってくれ!」


「……ニャッ!!」


 包囲するように近付いてくるスケルトン。

 それに対し、レオの従魔の闇猫クオーレが唸り声を上げる。

 しかし、そんなクオーレにレオは下がるように指示する。

 というのも、ルイゼン領の西の端から王都まで移動した手段というのが、クオーレの影移動によるものだからだ。

 体の成長により昼間でも影移動ができるようになったとはいえ、最も力を発揮する夜ではなく昼間。

 しかも長距離を一気に移動したことにより、クオーレの魔力残量はもうギリギリだろう。

 むしろ、気を失わないようにすることで精いっぱいのはずだ。

 そんな状態でスケルトンと戦えば、あっという間にやられてしまうだろう。

 間に合わせただけでも充分なのに、これ以上がんばらせるわけにはいかない。

 そのため、クオーレにはエレナを安心させるために、休憩させるための護衛を言い渡した。

 戦って自分もスケルトンにされ、主人に迷惑をかけると判断したのか、クオーレは返事をしてレオの指示に従った。


「ハッ!!」


「なるほど! 糸か……」


「クッ!!」


 登場時と同様にスケルトンを操ろうと、レオはエトーレの糸を飛ばす。

 しかし、それにコルラードが反応した。

 腰に差していた剣を抜き、スケルトンに迫る糸を斬り裂いた。

 遠くて分からなかったが、至近距離でみたことでスケルトンが操られる理由が分かったコルラードは、納得したように呟いた。

 逆に気付かれたレオは、これまでのようにいかなくなってしまった。


「殺れ!! コルラード!!」


「了解しました!」


 スケルトンでレオを相手にすると、操られて時間がかかる。

 それなら、対応できるコルラードに任せた方が良いとジェロニモは判断した。

 その指示に従い、コルラードはレオへ向けて剣を構えた。


「レオ!! 我々がそいつを相手にする! お前はジェロニモとスケルトンを何とかしろ!」


「分かりました!」


 ジェロニモを相手にするのに、コルラードが邪魔だ。

 ならば自分たちが何とかするべきだと、イメルダがレオに声をかける。

 これでジェロニモとスケルトンの相手に集中できると、レオはイメルダに言うようにコルラードを任せることにした。


「みんな!!」


「クッ!! 」


 数で迫るスケルトンの相手をするなら、こちらはこちらで対応をするだけだ。

 レオは、魔法の指輪からロイたち戦闘人形を出現させた。

 魔力を使い切って動かなくなっていたが、魔石に魔力を補充しておいたのでいつものように戦える。


「ロイ! スケルトンを頼むよ!」


“コクッ!!”


「やれ!! スケルトン!!」


 現れたロイたち戦闘人形に、レオはスケルトンの相手を頼む。

 レオの指示に頷いたロイたちは、スケルトンたちに向かっていく。

 ジェロニモもそれに対抗するように、スケルトンを向かわせた。


「良いぞ! みんな!」


「クッ! 性能が違うか……」


 レオの人形と、ジェロニモのスケルトン。

 1体の戦闘力で言えば、レオの人形の方が上だ。

 常に性能向上を図り、1体、1体に気持ちを込めて作り上げてきたつもりだ。

 その結果が今出ていると嬉しく思いつつ、レオは人形たちを鼓舞する。

 同じようなスキルだというのに、1体の性能が違うことにジェロニモは歯噛みする。


「性能差は数で補えばいい!!」


「くっ!!」


 ロイたちによりスケルトンが少しずつ倒されて行く。

 ならばと、ジェロニモは魔法の指輪からスケルトンを出現させた。

 色々な形のスケルトンを見る所、魔物の骨を使ったものなのだろう。

 人型のスケルトンと魔物のスケルトンで、戦い方を切り替えながらロイたちは対応する。

 性能対数により、ほぼ拮抗状態になりつつあった。


「ジェロニモ!! 覚悟!!」


「フッ!!」


 拮抗状態なら術者同士で戦えばいい。

 レオは、戦闘人形たちが無理やりこじ開けた道を走り、ジェロニモを倒すために剣を取り出した。

 自己の戦闘に自信のないジェロニモだが、レオが自分に迫り来るのを笑みを浮かべたまま待ち受けた。


「なっ!?」


「ハッ! 俺相手なら勝てると思ったか?」


 上段から斬り下ろしたレオの剣を、ジェロニモは剣で防いだ。

 いや、ジェロニモというより、ジェロニモが()()()スケルトンが、と言った方が良いだろう。


「何だそれ(・・)は……」


「操る物に性能差があろうとも、操縦者である俺が強くなればいいのだ!!」


 スケルトンの内部にジェロニモがいるという状況に、レオは戸惑いながら問いかける。

 その反応にしてやったりと思ったのか、ジェロニモは笑みを浮かべつつ答えを返す。


「名付けて死霊装!!」



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