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2話 姉登場!(まだマトモな状態です)



 「澪音みおん、今日はお姉ちゃんと出かけるんじゃないの!?」


 「うわっ!そうだった!!忘れてたぁー!!」


 どうも、あれからかれこれ10数年経って、色々ありながらもかなり成長した(はずの)現在中学1年生「板野いたの 澪音」改め「結城ゆうき 澪音」です。







 あの日あの時あの公園で本当の親がフェードアウトした後、二晩くらいあの公園付近で放浪した。普通の2歳児だと死んでいたと思う。


 まぁ、「放浪した」とは言っても、まともに寝られる場所だけは見つけたからそんなに死ぬほどキツイわけじゃなかったんだけど、流石にご飯だけは困った記憶がある。


 そこらへんに落ちていた木の実を食べたり、ゴミ箱にあった食べることが出来そうなやつを人目を避けて食べてたんだが、これが結果的には一番まずかった。


 1日目にそんな事をしたからか、2日目の昼から猛烈な体調不良に見舞われて、初めて死期を悟った。


 頭がクラクラするほどの熱・頭痛、そして激しい腹痛、この世で一番辛かった。


 正直な話、「これで死ぬんだ」くらい思っていたんだがそんな時に、とある人が偶然通り過ぎて俺を救ってくれた。


 それが今の俺の「家族」だ。


 かくして俺は「前世の母親」・「今世の母親」・「今世の育ての母親」という三人の母親をもつややこしい状態になってしまった。






 とまぁそんなシリアスな話はここに置いておこう。


 とりあえずすぐに着替えて、薄くメイクをして日焼け止めを塗って…etc 男だった時には全く関わりのなかった動作を慣れた手付きですませる。


 いくら自分が男だと思っていようが、実際は身体も心も女の子であり、欲求もどちらかといえば女性よりである感じだ。


 その際たる例が「化粧メイク」関連の事で、「メイクしなくてもいい」と思う自分がいる半面、「メイクして行かないと」と思ってしまう自分もいる。


 正直に(男目線で)言えば「化粧しなくても十分でしょ」と思うんだが、そこは俺の女子である方の心が発動して、「メイクしなきゃ!」と身体を動かしてしまうのだ。


 そんな事に悩んだ時期もあったが、今はもう割り切って自分が女子である事を認めた。そうしなければ生きていけないからね。





 「お姉ちゃん!」


 「はいはい、澪音は相変わらずだよね」


 今俺の前にいるのは(一応)姉の「結城 麻衣まい」、年齢的には6つ上で顔は「レベルが桁違いレベチ」と言ってしまうほどの美人だ。そして、今世の自分のさがなのかこの人には何故か甘えてしまう。


 ちなみにあと一人姉がいるんだけど、ここでは関係ないからスルーしておく。




 「麻衣、元気にしてるの?最近帰ってこないけど仕事の方は本当に大丈夫なの?」


 「大丈夫、平気だって!だてに何年もやってるわけじゃないんだから」


 1つ言い忘れていた、この姉…アイドルです。しかも最近人気上昇中、結成4年目の


 「百合道ゆりみち36(サーティーシックス)」


 というアイドルグループの選抜常連メンバーで、選抜フォーメーションの前2列が呼ばれる別称である「No.sナンバーズ」にもしばしば選ばれる、人気のあるメンバー。


 そんな麻衣姉まいねえが、「偶然まとまった休みが取れた」と言って実家に帰省してきたから、今日は2人でどこかに出かけようという話になったのだった。


 「帰省」とは言っても、麻衣姉が住んでいるのはグループの運営が用意してくれている2駅離れたところにあるマンションだから、そんなに離れてはいない。


 それでも、学校や仕事に行く時にはそっちの方が便利で定期代も安く済むからと言って寮生活をしている。




 「澪音、どこ行く?」


 「甘い物食べたい!お姉ちゃん美味しいお店知ってる?」


 「う〜ん…あ、あそこがある!」


 そう言って麻衣姉はスマホを取り出して、ネットで調べ始めた。


 「ここ、この前ロケで行ってきたんだけど、すごい美味しかった」


 「じゃあそこに行こう!」


 前世の俺は甘い物はあまり好まなかったんだけど、この身体は甘い物が大好きなみたいで、しょっちゅう甘いものを食べてしまう。


 麻衣姉も俺ほどではないが甘いものが好きだから、休みの日にはこうして2人でお出かけする事も時々ある。


 



 「ここだね澪音、入ろっか」


 そう言って入ったのは甘い匂いの漂うキレイなお店、麻衣姉によるとパンケーキやスイーツが美味しいと隠れた名店として親しまれているらしい。


 「どれにする?ちなみに私のオススメはこの『ふわふわパンケーキ&季節限定スイーツゼリー』だよ」


 「じゃあそれにする」


 「じゃあ私は別のにしようかな、前回食べなかったのは…『3種クリームのパンケーキ』これで良いかな」


 「お姉ちゃん、それ後で分けてね」


 「はいはい」

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