14話 レッスンもラクじゃない
すいません、学業の都合でしばらく更新が止まっておりました。少しづつ再開していきます。
14
やっと始動した4期生、レッスン初日にて…
「はぁ……はぁ……」
「な…何…コレ…」
「分からないよ……」
「私にはできない…」
部屋の所々に設置されているカメラにも構わず、レッスンスタジオの隅に倒れ込んだ俺を含めた4期生11人、自然と出てくるのはその話題だけだった。
なぜこんなことになったのかと言えば…
「よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いします。最初から声が出てるのはいい事ですね」
今日は初めてのダンスレッスンの日だった。指導してくれるレッスンの先生もかなり優しそうなおばさ…お姉さんだったから、内心
(まぁ大丈夫かな?)
と思っていたんだが、これが大きな間違いだった。いざレッスンが始まると
「じゃあまずは体幹トレーニングからいきましょうか、ダンスは体幹が基本です」
とか言って、プランク(背筋を伸ばしてつま先と両腕で身体を支えるやつ)を1分・サイドブリッジ(肘下と足の外側で身体を支えるやつ)30秒・バックブリッジ(膝を90度に曲げて両肩と両かかとで身体を支えるやつ)を30秒、これを1セットいきなりやらされた。
結論から言うと、このいきなりの1セットを一度もリタイアせずに乗り切れたのは11人中4人だけ、もちろん俺も真っ先にリタイアした。
プランクなんて20秒もったかどうか…そんなあまりのリタイアの早さに「どこか悪いの?」と心配されてしまった。
そこから始まり、平均台を何度も渡ったり逆立ちをしたりとどこか体育の授業のような雰囲気で続くレッスンの中、再び体幹トレーニングをすると言われて皆で再度絶望。
2度目は最後まで生き残ったのは更に減って僅か2人だけ、もはや皆「やりきる」ではなく「どこでどのタイミングでリタイアするか」を気にしているようにも見えた。
そしてそれが終わったら休憩を挟んで今度はブレストレーニング。しっかり吸ってしっかり吐くという動作を繰り返してやって、その後はその吸って吐く動作を早いスピードで繰り返す高速ブレストレーニング、段々とつま先から感覚がなくなっていくという恐怖の感覚に襲われた。
そして最後にまたもや体幹トレーニングをやって、今日のレッスンが終了。
こんな調子でレッスンを受けていたからだ。
あまりのキツさに終わった瞬間に皆その場にへたりこんだ。
レッスンスタジオのど真ん中に、いつまでも全員でへたりこんでいるわけにも行かないから、皆這うようにして移動してきたんだけど、普段あまり使わない筋肉を使ったから、やはり疲労感がすごい。
端っこに移動しても皆その這うような体制のままで、
「アカンわ…こんなん続けてたら、いつか皆死ぬで…」
「たちまち帰る準備でもせんと…」
「皆素に戻って喋ってるから何言うとんかわからん…」
「あ、澪音ちゃんが死んでる」
「パ○○ッシュ僕はもう疲れたよ…」
「澪音ちゃん、意外とネタが古いのね」
こんな調子でしばらく話し続けていた。
なお、この数ヶ月後に4期生のオーディション〜加入・お披露目コンサートまでに密着したドキュメンタリー映画が公開されてこのシーンがまるまる放映され、俺が赤面することになるのはまた別の話だ。