8話 一時の休息
どうやら麻衣姉のシャンプーとトリートメントが気持ち良過ぎて、お風呂場で眠ってしまったみたいだ…。気がついたら自分の部屋のベッドで寝かされていた。
麻衣姉は
「今日は家に帰るからご飯お願いします」
とメッセージを残して仕事に行ったみたいだ。
時計を見ると既に夕方、早く晩御飯の準備をしなければならない。今日は2人分だから…冷蔵庫冷蔵庫〜♪
「ただいまー…って何コレ!?」
「大変申し訳ない、食材を買い忘れていたでござる」
冷蔵庫を開けたらミカンゼリーと各種調味料、冷凍庫には唐揚げを主とする冷凍食品、野菜室にはレタスとニンジンしか入っていなかった。まさかこんなヘマをするとは…情けない。
恐ろしいほどスカスカだった冷蔵庫・冷凍庫の中を見て、慌てて最低限の食材を買い出しに行って、チャーハンと野菜サラダを作った次第だ。
そんな俺の料理でも、麻衣姉は
「うん、美味しいよ」
と言って食べてくれる。やっぱり優しい人だ…。
「お姉ちゃん、おかわりはまだあるから自分でよそって食べてね。私はとりあえずお風呂入ってくる」
「りょうか〜い」
買い出しで汗もかいたし、時間も時間だからお風呂に入る事にした。
「お姉ちゃん着替え終わったよ、次どうぞ〜」
「澪音〜!」ガシッ モニュ
「ひゃあ!!」
脱衣所で着替えて(脱衣所で着替えるってのも少々おかしな話だが…)、リビングに入った瞬間に後ろから麻衣姉の魔の手が伸びてきた。
「ちょっと、やめてぇ!」
「ふはははは、良いではないか!」
「やめてよ…」
「ほうほう、おっ!やっぱりちゃんと育ってはいるのね、ついこの前までまな板だったのに」 モミモミ
「やめてってば!」
「えぇーもうちょっとだけ…だめ?」
「それが通じるのはファンの(主に)男性だけです!私には通じません!」
「えぇー!もうちょっと良いじゃんかー」
「はいおしまい!最近そんな事やられると痛いんだからやめてよね」
「ほーん、まだまだこれからなんだ〜」
「なっ…お姉ちゃんのバカ!エッチ!変態!!」
「シュン…」
「え?あ、ごめん、言い過ぎた」
「な〜んてね!騙された?」
「前言撤回!やっぱり最低!」
「えぇ〜そんなぁ!」
麻衣姉の最大の欠点が、皆さんおわかりのようにこんな風にしばしばスキンシップ過剰気味になる事だ。
最初は後ろからくすぐるくらいだったのだが、そのうち身体の前に手が伸びてくるようになった。最近エスカレート気味なんだよな…。
しかも、当の本人が(たぶん)それを悪いと思っていないだけに余計にたちが悪い。グループのメンバーにも同じ事をしてないか心配になってくる。
ちなみに言うと、麻衣姉自身は美しい大きさのモノをお持ちで、スタイルも良い。
この前洗濯物を干してるときに見たら、サイズはD-65だった。ちなみに、俺はそんな物を着けなければならないほど育ってないので、未だスポブラを使っている。
「全くもう…」
「許してちょんまげ!」
「そんな古いネタどこで覚えてきたの…」
「この前のバラエティーの企画でやったよ、あ!これまだ放送してないんだった!オフレコでお願いね」
「言われなくてもそんな事言わないし」
「ありがとう〜さすが我が妹!」ギュー
「ちょっと!」
「まだ澪音の成分が足りないの!」モニュモニュ
「キャァ!ちょっと何それ?意味分かんない!」
「だからもうちょっとこのままで…」ムギュー
「だから、離れてー!」
「ねぇ澪音、ごめんってば〜」
「ふん!もうお姉ちゃんなんて知らない!」
「ほんとに!この通り!!」
「胸に手を当てて考えてみたら?」
「え〜、これ以上大きくなるとまた困りそうなんだけど〜(まぁ最近もう止まったんだけどね)」
「やっぱり知らない!」
「あわわ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「はぁ…このくだり何回目?」
「覚えてないよ」
「毎回毎回それなんだから!」
「今度、前にロケで行ったお高い美味しいケーキ食べ放題のお店に連れて行ってあげるから」
「……えっ?ほんとっ?」
「ほんとほんと!」
「なら許してあげなくも…ないかな?」
「ありがとう澪音〜!」
…また食べ物に釣られてしまった…。
追記 後日、麻衣姉には本当にケーキ食べ放題のところに連れて行ってもらいました。
「んんん〜美味しいっ!!」
「でしょ〜、ここ高いんだよね〜」
「んぁぁ〜天国!」
「お姉ちゃんに感謝しなさい!1人1時間5000円もするお高いケーキバイキングのお金を出してあげたんだからね!」
「ありがとうお姉ちゃん!」
(うふふ、ちょろいちょろい 食べ物で釣れば大丈夫だし、もうちょっとやっても良いかなっ!)
「美味しぃ〜どれ食べようかなぁ〜、これとこれとこれと…」
(…ってあれ?澪音それはさすがに取りすぎじゃ…)