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7話 なんで毎回こうなるかなぁ!


 どうしてこう毎回毎回仲睦まじい話になってしまうんでしょう…。





 麻衣姉の鬼指導のおかげでダンスと歌唱のオーディションは(奇跡的に)通過できた。だからこれからはゆっくりできると思ってたのだが…


 ♪〜♫〜


 「そうそう!だいぶ良くなってきたよ!!」


 ♬〜♫〜


 「そこはまだダメ、もう少し」


 ♪〜♬〜


 「いい感じになってきたね」


 ♪〜♫〜♬〜


 「よーし、私も時間があるから今日はここまで!お疲れさん、シャワーでも浴びてしっかり身体休めて明日も頑張ろう」


 「あ…ありがとうございました…」


 今日も今日とて麻衣姉の鬼レッスンの内容は変わらない…どころか段々と辛くなってきている。


 理由は簡単、まず


 「前より練習時間が伸びた」


 その次に


 「普段使わない筋肉を使うからとんでもないほどの筋肉痛に襲われた」


 最後に


 「求められるハードルがだんだん上がってきた」


 この3点だ。たった3つ変わるだけでこれだけキツくなる。


 これを私に教えてくれて更に自分のやらなければいけない練習も平然とこなしている麻衣姉って何者なのか…。


 「疲れた…」


 「これぐらいで疲れてちゃライブなんて乗り切れないよ」


 「頑張ります…シャワー浴びてくるね」


 結構な量汗をかいたから、とりあえずシャワーを浴びに行く。「少々汗臭くても良いだろ」と思う人がいるかもしれないが、これが結構気になってしまうのだ。


 汗をかいた後、着ていた自分の服を脱いで臭いを嗅ぐとすえた臭いがするからこの身体のコンプレックスでもある。


 ところが、そんなかなり汗臭いはずの状態の俺を麻衣姉は


 「澪音の汗かいた後の臭い好きなんだよね〜」 スゥーハァー


 と言って、レッスン直後の汗をかいている時に抱きしめてきたり、俺が気づいていないとでも思っているのか洗濯機に入れた服の臭いを嗅いだりしている。それに気づいてしまった時には流石にちょっと引いたよ…。


 そんな正真正銘の変態麻衣姉自身は、


 「私は汗とかそんなに気にならないかな、たださすがに制汗剤とかは使ってるよ」


 とか言っていた、羨ましい…。

 



 風呂場に入って、シャワーで汗を流す。いつもこのシャワーで全身を流している時間は鼻歌を歌ったり一人で考え事をしているのだが、今日は何をしようか…そう考えている最中


 ガラガラッ 「お背中流しましょうか〜」


 「ふぇぇ!?」


 突然の乱入者が入ってきた…。


 「ちょうど私も汗かいちゃったし、この後仕事だしね、シャワーの1つでも浴びてこうかなって」


 「へぇー…ってそうじゃなくて!!なんでお姉ちゃん入ってきてんの?って…ごめん!」


 声に釣られて後ろに振り向くと、そこには一糸纏わぬ姿になった麻衣姉がタオルを持って立っていた。


 慌てて顔を前に戻すと


 「あら澪音、別に見てもいいのよ〜、妹なんだし」


 そう言いながら身体を段々と密着させてくる。


 お風呂場自体がかなりの広さがあるから2人入っても大丈夫なんだけど、いくらなんでもこんなに密着させる必要はないでしょ…。


 そう思って頑なに前の方を向き続けていたら


 「もう!私の方も見なさいよ!」


 と言って無理やり身体を後ろに回転させられた。


 「ちょっと!自分から裸を見せに来るってどこの痴女なの!」


 「え〜、写真集でも見れないアイドルのフルヌードよ、見ない手は無いでしょ?」


 「そんなに見てほしいなら週刊誌にでも送ったら?」


 「なっ…誰がそんな事するか!!」


 「それじゃあ、私あがるから」


 「こらこら、そんなこと言わずに」


 「ちょっとお姉ちゃん!あたってるあたってる!」


 「お背中流しま〜す」


 「まったく…なんでこうなるのか…」


 結局あがろうとした所を麻衣姉に捕獲され強制的に椅子に座らされて背中を流される。


 「髪もやってあげようか?」


 「お願いします」


 「は〜い」


 どうせ断ってもやってくるだろうからそう返事をしておく。


 「いいねぇ〜若いって、髪サラサラ」


 「麻衣姉と同じやつしか使ってないけど?」


 「この歳になると色々あるのよ…」


 「さすが19歳、来年二十歳ハタチなだけあるね」


 「お前も髪バサバサにしてやろうか?」


 「やめてくださいお願いします」


 「うそうそ、ちゃんと洗ったげるから安心して」


 「うん、ありがと」


 麻衣姉のシャンプーとトリートメントは思わず眠ってしまうほど心地よかった。







 「あぁ…なんて可愛いの我が妹マイシスターは!!」


 「麻衣〜何見てるの〜」


 「うぎゃっ!?」


 「何今の声、めっちゃウケるんだけど〜」


 「誰だって後ろからスマホ覗かれたらビビるわ」


 「それはわかる、ってか今何見てたの?」


 「別に何も?」


 「声に漏れて…」


 「あーもう!妹の写真よ!」


 「「さすがシスコン」」


 「誰が『シスコン』よ!」


 「そりゃあね、待受画面まで妹なんだから…」


 「フォルダも妹の写真だらけだし…」


 「わーわー!やめて!ここ道端!」


 「はいはい、止めておきます」


 「機密漏洩で書類送検されちゃたまんないしね」


 ふぅ…良かった。さすがにシャワー浴びながら眠っている妹の写真を撮って愛でていたなんてバレたら私の人生が終わる(ヤバイところは写してないから大丈夫だよ!!)。




 「ふんふ〜ん♪」


 「お姉ちゃん何見てるの?」


 「うぎゃっ!?」


 「何何?」


 「見なくてもいいわよ!」


 「えー意地悪ぅ!」


 「これは国家機密です!」

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