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Dear Labyrinth_親愛なる迷宮_漆黒の影と神の使徒  作者: 森の番人
第一部 「世界の迷宮 labyrinth」
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第四十話「第1の戦闘」

 「これから、敵の本拠地と思われる研究所へと進んでいく。この場のメンバー全員参加だ。編成は3部隊。第1部隊は危険の伴う道の安全の確保を担当する。第2部隊は負傷者と共に行動をし彼らの安全を守ること。第3部隊はいつでも撤退出来る様に確保すること。第1、3部隊は分断されてたとしても第2部隊のフォローをすること。部隊は次のように分ける。」


 ネリーは3部隊に分け誰一人として置いていくことなく攻略をすることにしたようだ。まず、それぞれの部隊の部隊長を指名していっている。


 「第1部隊の隊長は星川に任せようと思う。思う存分に希望までの道を切り開いてもらいたい。」

 「任せてくれ。」


 星川はこの中でもかなり強さがありリーダーシップがある。道なき道を切り開き開拓をする指揮者としてはピッタリだ。誰一人として反対者はいない。


 「第2部隊の隊長は私だ。責任を持って負傷者を守り抜こう。そして、第3部隊の隊長なのだがアリスに任せる。」

 「えっ⁉︎私なの。」

 「理由は単純だ。第3部隊は私たち傭兵がほとんどを占めている。アリスならこいつらも信頼して行動するだろう。」


 有二は隊長という器ではないことを自覚しているので動きやすい歩兵であることに安堵する。しかし、隊長という立ち位置には憧れがあるので少しだけショックを受ける。


 「さて、ここが最後の攻略場所になると予想される。これまで誰一人として脱落者を出さすにこれた。なら、ここから先も全員で乗り越えていける。気合いという不確かなものは希望を掴むために必須なスキルだ。誰一人として諦めることなく果敢に会敵し勝利してくれ。進め。」


 ネリーの合図と共に星川を先頭に入り口らしきとこに進んでいく。そして、星川が扉に手を触れると扉が透明化し入り口が開く。有二達の世界の人たちが想像していたのはエレベータ式であり近未来を感じさせるものだった。しかし、階段であった。


 「なんだか、残念って思うね。」

 「僕も少し残念に思ってる。」


 智代子と祐樹はその残念だというのを口に出す。それに有二、零、星川、アリスはうんうんと頷く。そのほかはなんで残念だと不思議そうな顔で6人を見る。


 「かなり下まで続いていそうだな。いきなり敵が現れてもこちらが上に位置している限りは大丈夫だ。後ろからの敵を警戒してくれ。挟み撃ちにあえばこちらはかなりの不利になる。」


 ネリーの指示により傭兵たちは一層気を引き締める。

 階段は壁に電灯があり暗闇からの奇襲をするようなところもなし。ここが攻撃されるようなことは起こらないという怪しい研究所ということになる。油断は出来ないがいきなり何かが起こるということはなさそうな環境である。


 「そろそろ、階段が終わる。」


階段を降り切った先には、一つの扉があった。しかし、扉の隣にはパスコードのロックがしてあり壊してしか先に進むことが出来なさそうに思えた。


 『ーーー、君たち私の研究所へようこそ。ここはモンスターと人間の限界を調べるために作り上げた場所だ。研究に成功した場合には、君達は死亡しているだろう。しかし、失敗したならこの先の脱出口で君達は逃げれるだろう。失敗することなんて可能性にもないがな。』


 「こっちの音声って聞こえてるのかな?」

 有二は隣のワーグリンに声をかける。

 「ああ、この扉を開けるのに声の認証があるからのう。今はあやつに聞こえてるぞ。」

 「それなら、二言だけ。」

 『ううーん、番外個体が何か用かな?』

 「さっさと開けろ馬鹿、死亡フラグってやつをしっかり勉強しとけ間抜け。」


 傭兵達以外は大笑いしている。これから死ぬかもしれなく、ラスボスらしき相手に対して啖呵を切っているからだろう。


 『さすが、君だけは被験者の中でもかなり異質な存在だよ。オケ、早速実験の開始と君の言う通り死亡フラグってやつを勉強しておくよ。』


 ピーと電子音が鳴るとスライド式に扉が開く。真っ暗な空間に繋がっている。

 星川を先頭に次々に進んでいく。智代子を除いて誰もが覚悟を決めてドンドン進んでいく。各々の武器を構えていく。

 星川の進んだ具合によって次々と明かりが灯されていく。有二はこの演出に見覚えがあった。


 (なんかモンスターを育成するゲームの最後のステージであった気がする。あれに影響されたのかな。)


 そのゲームは年々人気を増していき、アニメ、映画、グッズなどとメディア展開をしていき世界的な作品となったものだ。そのゲームの世界は魅力的であり今に現実となってほしいと考える人も少なくはなかった。


 そして、空間最後の明かりがついた。その明かりによって2人の人物があらわになった。


 「ようこそ、人外とそれに加担する異端者どもよ。勇者である俺がお前らを殺してやる。」

 「へっぽこ勇者かよ、お出迎えが。」

 「あのお兄ちゃん敵になったんだね。おばさんもいる。」


 有二と裕樹のYUコンビが勇者とネクロマンサーを罵倒?した。2人はこめかみに血管を浮かばせている。勇者は地団駄を踏む。


 「くそ吸血鬼が!勇者である俺のことをへっぽこだと!?その言葉を後悔させてやろうか!?」

 「ガキが調子に乗るんじゃねぇよ。テメェも死体の仲間入りさせてやろうか。」


 見事、ブチギレになっている。沸点がかなり低いのだろう。


 「この2人の相手は私たちに任せてくれ。」


 そうやって全員の前に出てきたのは零、キースの2人だ。


 「なんだ、なんだ。雑魚のくせにでしゃばってきやがって。」


 勇者はようやく腰につけた剣を抜いた。そのおかげで一発で終了することはなかった。零の首を狙った槍の強烈な一撃を防ぐことが出来たからだ。そして、壁まで吹き飛ばされていく。


 「ナイス!先に行かせてもらうよ。」

 「姉御頼みましたぜ。」

 「零、先に待ってます。」


 零はみんなが通り過ぎていくのを笑って見送る。最後に、


 「零、さっさと来いよ。」


 有二が一声かける。


 「ああ、すぐに終わらせる。」


 そして、空間には4人だけが残った。キースだけは声をかけられることもなく少し寂しそうだったが、こっそりと星川が肩に手をポンと置いていた。


 「あれから強化された私たちに2人だけで勝てるとでも思ってるの?残念な頭をしているわね。」

 「おい、ネクロマンサー。さっきのでわからないのか。2人だけで助かったのかもしれない。」


 勇者の顔からは油断が消えていた。零の動きはかなりの速度であった。間合いを一瞬で詰めて槍の先端で切り込んでいた。勇者は遅れながらに反応をすることができた。しかし、剣を持っていなければ体のどこかを奪われていただろう。


 「そう?私にはわからないわ。わかるのは魔法のことと天敵のことだけよ。」


 そうネクロマンサーはキースを睨みつける。聖騎士であるキースはネクロマンサーのような死霊系、悪魔のようなものに対して優位性を持つ。それをわかっているからこそ彼女はキースから一度も目を離していない。


 「もう一度甦れ。醜い奴隷以下の存在よ(デッドライジング)。」


 ネクロマンサーの魔法が発動すると、天井から棺が数多く落ちてくる。中には豪華な棺もありその中に入っている死体はかなりの強さを持っている。数に勝るものなしと考えているネクロマンサーの考えは間違いではないが、今回に限っては勇者の考えが正解といえる。


 「あいつらは昨日会った時は大したことはないと観ていたが実力を隠していたのか。いや、隠しているだけじゃなくて力もさらに上がっている。人間の味方ではないのが残念だ。」


 剣を高く構えて腰を少し低くして構える。零は槍をその場に投げ捨てて今日になって初めて装備をした物に手を触れる。金属音が凛と空間に響く。光を綺麗に反射をする刀、刀身は鮮血のような色。


 「へぇ、あの巨人の核となっていた武器ね。使用者の魔力によって威力が変化するものだったかしら。魔力量ではなくて質が高ければの話だけどね。」


 棺を開け放ち死体たちを動かし始める。数多くある棺から出てきたものは性別はバラバラ、死臭はしないものの衣服がボロボロであり体の至る所が露出している。武器も錆びているものもある。そして、豪華な棺からは以前出会った勇者の仲間たちと豪華な鎧をつけた騎士らしきものが数人が出てきた。


 「こいつらはね、元私の勇者様の手下だったものとこの迷宮に来たやつらだ。どこぞの王国の騎士団だったらしいがモンスターに蹂躙されたところを動けるように修復したのよ。」


 そして、ネクロマンサーが手で攻撃の指示を出すと死体たちは次々と動き出す。


 「やれやれ、聖騎士としてやらなければ死体はそのまま魂が残っちゃうからね。」

 「勇者は私一人でいいから、キースはそこのバカな女を仕留めてくれ。勇者だけに集中をしたいからな。」


 了解、とだけ言いキースは槍を構えてそれに力を聖なる力を蓄える。

 4人は一斉に戦闘を開始をする。





 「ねえ、有二。零とキースだけで良かったの?あのおばさんはネクロマンサーでしょ。ならアンデッドの大軍を出して攻撃を仕掛けてくるなら人数がいた方がいい気がするけど。」


 祐樹が有二に心配だと言うが問題はないと首を振って否定する。


 「キースがネクロマンサーが現れたら俺に任せてくれと言ってきたんだ。何か秘策でもあるんじゃないのか?」

 「キースなら大丈夫だよ。彼は俺の友人でもあり特別な力を持っているんだ。」

 「そっか、うん。」

 「祐樹、そんな不安になるなよ。俺はお前の方が心配だ。だからこれを持っていけ。」


 有二は祐樹にナイフを渡した。


 「ナイフなんて使ったことはないけど。」

 「何も使えというわけでないよ。ナイフは斬るだけじゃない。あとは、自分で考えなよ。」


 祐樹は首を傾げて困った顔をしているが理由はいつかわかるだろうと、有二は思った。通路は横にも部屋がありそうなのだが扉が一向に見当たらないので、誰もが通路を道なりに進んでいく。

 この先に、本当に目的の場所はあるのか不安になることもあるが引き返すことという考えは誰にもなかった。

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