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Dear Labyrinth_親愛なる迷宮_漆黒の影と神の使徒  作者: 森の番人
第一部 「世界の迷宮 labyrinth」
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第二十五話「子供は帰りたくないそうです。」

 ひと悶着があり川を目印に上流へと進んでいく。魔導士やゴブリンが出てくるが今度は違う。智代子はしっかりと周りを見ながら進んでいき、戦闘では零が指示を出しそれに合わせて戦闘をすること。連携が生まれだした。

 そして、上流にたどり着いた。上流と言っても分断させられたところだ。

 そこには一本の道に大きな岩々が積み重なり通ることのできないようになっていた。ここで左右の川に落ちたパーティ、そのまま突っ切ったパーティとなる。川というなら更に上流になっているところは自分たちがここに来るときに入っていたところから大量に水が出ていた。これ以上上流に行くことが出来ないということだ。

 「有二たちは反対のところに落ちていった。どこまで流れていったのか、流れてからどこに行ったのかわからない。」

 「スキルで分かっていたのですね。では、まっすぐ行った人たちを探すということですね。」

 「だったらこの血の跡を追えばいいのでは?ほら、ここにあるでしょ。」

 零とカタリナは誰を探しに行くのかを決めたところ彼らの痕跡を智代子が見つける。智代子はあたりをしっかりと見るようになったおかげでいち早く痕跡を見つけることが出来ている。零はこれからしたいことしようとしていることを共有をしだす。

 それらによって彼女らは成長をする。一人では無理なことを複数ならできる。彼女らは強くはなる。



 血が消えていないおかげで零たちは森の中に進んでいく。

 「零、私たちが探している人は誰なのですか。」

 「私は咄嗟で慌てていて全員を把握をすることが出来てはいないのだが、星川と祐樹がいた。面子的にはやられているような心配はない。」

 「星川君ですか。彼なら大丈夫ですね。」

 智代子が何か疑問に思っているようだ。

 「カタリナさん。星川さんも確かに強いですけどこの迷宮はかなり危ないですよ。彼でも大丈夫だとは言えないと思うんですけど。」

 零も確かにと思った。星川が強いのはわかっているが零と同じぐらいだと思っている。だからこそ、カタリナがなぜそう言うのかが疑問だった。

 「星川君は私たちの世界から来た中でも特別なのですよ。なぜなら、彼は『転生者』ですから。」

 カタリナの発言に智代子は驚く。

 「零は『転生者』てのは知ってる?」

 「いや、知らないな。生き返るということか?」

 「生き返るっていうのは大体あっているけど。ただ生き返ることではないんだよ。何かしらの力を手に入れるんだ。強力なのからジミーなのから。」

 カタリナが頷く。

 「星川君は死なないのですよ。心臓が潰されない限り。更に魔力量が相手が上なら自身と相手の魔力量を合わせた魔力量になります。あと、魔力操作などはダントツですから。」

 カタリナが自慢げにリーダーの紹介をする。零と智代子は驚いている。

 「チーターだよ。チーター。絶対に主人公じゃん。」

 「そんな能力なら色々と出来そうだな。」

 そんな星川と合流をすることが出来たなら戦力などは大幅上がることは間違いない。カタリナとしてもリーダーと会え、零としては心配のない有二はともかくまだ小さい祐樹と合流できれば心配事は減る。頼れる兄貴と心配する弟との再会みたいな感じだ。

 「なら、有二たちは後でいいから早く星川と合流して、負傷者がいるなら早く合流した方がいい。星川以外が心配だからな。」

 「そうですね。有二君は後で大丈夫です。急ぎましょ。」

 「有二君に対して信頼しているのはわかりますけどちょっと冷たいですね。あははは、、、。」

 零と智代子は有二が大丈夫と思っているのは心の奥底から信頼していることである。強い敵でも結局は彼がどうにかしている。実績があるから。

 「急ぐぞ。ここで話している時間はないからな。」

 零の一言でみんな血の跡を追跡する。

 



 「カイトさん。大丈夫ですか。かなり血が出てますけど。」

 「祐樹くん、、、、だいじょうぶ、、、、丈夫なだけが僕の取り柄だから。」

 祐樹はカイトが血を流しているのを布で抑えている。洞窟に入ってから抑え始めて流れている血の量は減ってきている。

 洞窟に入ったのはカイトがあの落石で祐樹と美優をかばいながら走ったせいだ。美優は腕がやられているせいで走ることが難しい。祐樹が走る速度は子供レベルである。それをガタイに似合わない冷静な判断で行った行動の結果である。

 森の中をそのまま走った先に会った洞窟へと逃げ込んだ。祐樹は持っている清潔な布で止血をして星川が煮沸した水を確保しに行き美優は入り口で監視をしている。ただ、監視は祐樹の能力があれば必要はないのだが、腕が使えない彼女を気遣った役割である。

 「ヒロトが帰ってきたわ。」

 美優がそういう。祐樹はそれには数十秒前には気づいていたがカイトに伝える意味では必要があった。彼はそもそも兄のように慕っていた有二と別れていきなりさわやかなイケメンとごつい男と怖いお姉さんと一緒になり喋ることが出来てなかった。カイトに話しかけたのは気まずかったからである。

 しかし、彼の声は思っていたより優しく祐樹は安心をした。

 「祐樹くん。カイトの血は止まったかい。」

 星川が帰ってきて聞いてくる。星川は威圧感がないので素直に答える。

 「まだですけど、かなり止まってきました。けど、血が足りないかもしれません。」

 「大丈夫。祐樹君。僕は今ある食料を食べれば血が多少なくても。」

 カイトはそう言い心配をかけまいとしている。彼はここまで血を流しながら走ったせいで傷が広がり脳に酸素があまり言っていないだけであった。食料を食べれば大丈夫というのは本当である。彼は丈夫なのが取り柄である。

 「なら、水とこれを。まだ、しばらくはゆっくりしときな。美優、祐樹君と変わってあげな。きゅうけいさせないと。この傷なら片手でも大丈夫だと思うから。」

 「わかったわ。カイト、痛いのは我慢してね。」

 美優は新しい布をもって交代をする。

 「祐樹君、俺と休憩しようか。」

 「はい。」

 手ごろな岩を椅子にして二人向かい合って座る。最初こそは会話もなかったのだが星川が声をかける。

 「祐樹君は一人でここに連れてこられたのかな。」

 「はい、気づいたら一人でした。ハエの化け物に追いかけられて、有二さんに助けてもらって今があります。」

 「そうだったのか。ならこの迷宮では俺は幸運だったてことだな。実は俺は『転生者』なんだ。」

 「転生者?」

 「ああ、一度死んで別の世界で新たに生まれ変わったんだ。その時の記憶は怖いってことが一番覚えている。元の世界の記憶を持って赤ちゃんの姿。周りには知らない人がたくさんいた。赤ちゃんだから言葉にできない。しかも、言葉がわからないんだよ。日本語じゃないし。」

 「そうだったんですね。」

 「ああ、その時は一人だった。それからカイト、キース、カムイ、カタリナ、同じ転生者の美優。たくさんの冒険をして信頼できる仲間が出来た。」

 星川は祐樹の頭をゴシゴシとなでる。

 「ここは一人で来たやつ、複数の人数できたやつら。けど、今の俺たちはここから出る一緒の目的の仲間だ。そうではない人もいるけど。有二、零、智代子さん。俺たちは祐樹君の仲間だ。喧嘩をしたりたすけあったりしながら仲間としてレベルが上がるんだ。祐樹君も遠慮はしなくていいからね。」

 笑ってまた撫でる。祐樹は有二とは別の意味で星川を兄のように思った。

 有二は慎重であり簡単には人を助けることはない。けど、僕らのことを考えていることはわかっている。僕たちに危害を加えないのかを確かめているからだろう。

 彼らは祐樹にとってヒーローに近い存在なんだろう。

 祐樹は持ってきた飲み物をごくりと飲んだ。それからは今まで飲んでいた水道水とは違う美味しさにレモンのすっぱさを感じた。

 「おいしい。ただの水かと思ったのに。」

 「あははは、ただの天然水にレモンを入れただけだよ。水は水でも水道水のと天然水とでは雲泥の差だし、レモンが入っているだけでこれがまた違うんだよ。」

 「これが水なんだ。ちょっと不謹慎だとは思うんですけどここに来れてよかったと思っています。僕の家庭はひどいと事でした。」

 星川はそれを黙って聞く態勢になった。

 「静かに家で座っているだけでも酔って帰ってきた父親に殴られたり、母親にはご飯を作ってもらったことがないだけではなくて数日は給食以外を食べたことはなかったんです。家ではいつも殴られないように見つからないところで隠れたり両親の気配を感じて外に逃げたりしてたんです。早く大きくなって出ていきたいと。けど、ここに気付けばいてみんなに助けてもらって、優しくて。みんなここから出たいと思っている。僕はここから出てしまえばまた地獄ような生活に戻ってしまうのかなって考えると怖い。この気持ちどうしたらいいのか。」

 星川は水を飲んで大きく息を吸った。そして、祐樹の前にいき顔の高さを合わせる。

 「別にそう思うことは間違ってないと僕は思うよ。帰ることが嫌になるのは誰だってあることだし。俺も転生前や転生後だってそう思うことがあったよ。けどね、仲間が出来てからは家っていう帰る場所の一つに縛られなくなったんだ。家族のいるところ、仲間のいるところが帰るところになっていくんだよ。ここで祐樹は何を手に入れたんだ。」

 「僕の手に入れたもの?」

 「俺たちっていう仲間だ。もし、ここから出ると元の世界でも有二とは同じ世界でしょ。この迷宮から出た先が元の世界という保証もないんだ。なら、力がないとどうしようもできなくてヘンテコな研究者のモルモットになるここにいるよりは出た先の世界で楽しい事が出来るようにまた仲間と冒険すればいいだけさ。変えようとしないやつには何も変えることはできない。その点、祐樹君は今の自分に不満があって変えようとしている。今もこれからも。」

 また、祐樹の頭をぐしゃぐしゃとなでる。

 「祐樹君がすることは祐樹君が決めることだ。誰でもない君自身が自分の道を切り開いていくんだ。誰の道でもない自分だけの道をだ。もう大丈夫か。」

 祐樹は星川の目を見て答える。

 「もう、だいじょうぶです。僕は強くなってみんなを助けます。それが今の僕にできることだから。」

 目に火がともったように力強い返事である。彼はこれでもまだ子供だ。変に大人のような高校生がいただけで彼自身は小さな子供。だが、ここではそれを許さないが祐樹は一つ成長した。戦闘面ではなく精神面でだ。それは迷宮内では重要なことである。

 それからは食事を素早く済ませてカイトの止血に力を入れた。

 カイトの血は止まり一晩洞窟内で過ごすことになった。


 

祐樹 性別:男 種族:人間


力:E→E+ , 俊敏さ:E→E+ , 魔力 : D-→D- , 運 : C→B

称号:監視者

スキル:感知の目 (パワーアップ)、身体能力強化-(ステータスが判断階だけ上がる)、保つ者(空腹状態でも行動できる)

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