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Dear Labyrinth_親愛なる迷宮_漆黒の影と神の使徒  作者: 森の番人
第一部 「世界の迷宮 labyrinth」
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第二十三話「一方、彼女のパーティは②」

 カタリナは零の横に上品に座る。そして、右の人差し指を空に指す。その指先からは小さな淡い光を放つ玉が生まれる。これは

 「魔力の玉です。飛ばすことよりまずは魔力を体につけたままでいいので外に出すことから始めましょ。」

 「あ、ああ。」

 零は同じように指先に魔力を集中させる。そして、体からそれを出そうと意識をしていく。そして、水滴のようなものが重力に逆らって指にまとわりついている。

 「これが魔力か。カタリナとは違って水のようにしか見えないが。」

 「魔力は人によって属性を持っているの。零は水ですね。魔力の流れと移動性がいいとされています。水に関する魔法とは相性がよく、魔力の流れを感知するのが得意です。」

 「そうなのか。もともと、力の流れを読むことは得意なんだ。魔力はここに来てから感じるようになったんだ。それなのに自分の体の一部だけどそうではないという不思議な感じだ。」

 「そうなのですか。ここに来られた方はみんな何かしらの力に目覚めています。スキルのない世界からなのでしょ、零も。」

 「ああ。けど、有二たちのように順応ができてないんだ。ゲームなどは今まで触れることすら禁止されていたから。」

 カタリナはそれをうなずきながら聞いている。

 「私はあなた達のゲームが私たちの世界とは違うことは知っていますが絵本や御伽話に通じるものがあるのでかなり理解がしやすいのだけど。零は新しく手に入った力と思って特別と思わなければいいと思うのです。」

 「特別ではない。明らかにここに来てからという異質なものだ。だから、」

 「それだと生きていると特別が溢れていて何もできなくなるでしょ。」

 「うう。」

 そう生きていると新しいものなどは零の世界では日常茶飯事である。更に情報でも新たしいものがある。それをなんでも特別といって何もできなくなるというのは人間すぐに頭がパンクがしてしまう。正論パンチである。

 「色々と考えるのではなくて、「考えるな、感じろ」。私の師匠がそう言っていたの。考えきれないことは後でゆっくり考える。感じたままに行動する。それが今の零にぴったりだと思うの。」

 カタリナは真面目な顔でそういう。

 「うふふふ。そうだな。確かに。ここに来てから私は色々と考え過ぎていたようだ。スキルは特別だが特別ではない。魔法もそうだ。今は私の力であることには間違いはない。ならこれを使いこなすことが今することだな。」

 「零の笑顔って素敵だわ。」

 「そういうな。カタリナと話せてよかったよ。私は雰囲気からして人付き合いが苦手なんだ。なんだか人の顔色を浮かべてしまって固まってしまう。」

 「でも、有二さんとは普通に接していましたけど。」

 「彼は、その、犬かな。雰囲気が。力があるけどまったく使いこなせず突っ込むだけ。けど、彼は何かしてくれるようで頼もしかった。それで彼につい頼ろうとしてしまう。」

 「結局、あのでかい敵も彼のおかげで倒すことができたから実際すごいよね。」

 「危ないから私がなんとかしてあげないといけない。私は何もできなかった。だから、強くならないと。そのせいでちょっとダメになっちゃてた。」

 お互いの顔を見て笑い合う。自分より危なく力を使いこなせない少年というまるで英雄、に力になるべく、そんな彼女を手助けする彼女はそれぞれこれからするべきことを再確認をした。

 その時、英雄じみた彼は爆睡をしている。



 「さて、零にも魔法を教えれる範囲で教えます。」

 「お願いします。」

 「水属性でよく使われるのは、アイスショット。氷の棘を飛ばす魔法です。魔法は魔法式かイメージで発動をします。しかし、イメージできないものは発動できないし咄嗟には難しい。けど、繰り返し使い無意識で発動できるようにできるようになります。氷はイメージできますか。できれば、形、温度など複数あればあるほど再現ができます。」

 「氷か、つららでもいいのか。」

 「はい。魔力を氷に変換するのです。簡単にはいかないですけど。魔法式は独自の言語が必要になるのでこの迷宮で覚えて使うのは難しいです。ただ、魔法式はイメージなくできるので覚える機会があるなら覚えておくべきことです。ですが、まずは魔力玉を飛ばすことが必要です。氷に変換させてもそれを飛ばすのは同じことですから。だから、イメージと魔力操作が必要なので。」

 「魔力操作。とにかく魔力玉を飛ばせるようにならなければ基本の魔法もできないのか。練習あるのみか。いつものことだ。」

 「うん、私が教えることは今はもうないかな。そろそろ寝るね。」

 「ああ、ありがとう。おやすみ。」

 零はカタリナが智代子のあたりにいくまで見てからまた練習に戻る。

 「私はあの中でも強くあるけど、より強くならなければ智代子のような力のない人たちを守ることができない。深く考えずにただ強く、強くなる。それだけが私がここにいる意味だ。」

 零は小さい頃から武術の特訓、作法に厳しい家のでである。しかし、生まれた頃からそうではなく養子であった。施設に生まれた頃からいたわけではなく、父親と2人で暮らしていた。父親は研究に没頭しているせいで家でも1人であった。しかし、ある日その父親が消えた。親戚などのいない彼女は施設に預けられることになった。そこで複数の男の子と喧嘩があり一方的に蹂躙していたところ養子を探しに来ていた現在の父親にその才を買われて引き取られることになった。

 その家で修行を行い数年後には現当主と全当主を除いた門下生も含め彼女に勝てるものがいないぐらい強くはなった。しかし、この迷宮では彼女より強い存在は多くいる。彼女はそんな彼らを本能的に察し未だ心の奥底では強くならないといけないといけないと焦っている。

 彼女は深くは考えなくはなっているが根本的なところはなにも変わっていない。強い奴が守り弱い奴はそれに守られるという昔からそうという考えを持っている。間違いではないが正解ではない。

 魔力操作、彼女、零という天才には一晩で習得することは容易い。彼女はこの迷宮で5人いる天才である1人であるからだ。さらに魔力玉を飛ばすことも。



 「おはようございます。カタリナさん、零。」

 智代子が眠たそうな目を擦りながら起きてきた。一番最初に寝て最後に起きてくる。どんだけだよと2人は心の中で突っ込む。

 「ああ、おはよう。」

 「おはようございます。智代子さん。」

 あれだけ寝ていてしっかりと最後に起きてきた智代子。呑気である。

 「今日はどう行動しますか。川に沿って戻って行きますか。」

 カタリナは今日の行動方針を考えてくれていたようだ。その内容も零が思っていたことなので

 「いい考えだ。」

 「わ、私もいいと思いまーす。」

 賛成する。遅れて智代子も賛成して慌てて準備をし始める。呑気だ。

 カタリナと智代子、零は身支度を整えた後、流れてきた川に戻り流れてきた方向、上流に沿って歩いていく。川と零たちが歩く場所は高低差がある。川の流れの速さもかなりなものなので落ちてしまうとスタート地点に戻ってしまうことになる。3人は少し離れて道なき道を進んでいく。

 しばらくした道中でゴブリンと新しいモンスターに出会った。ゴブリンは彼女らにとって敵ではない。

 新しい敵とは人間の胴体ぐらいの大きさの芋虫であった。森からゆっくりと出てきた途端、智代子にめがけて糸を射出した。ただその速度がプロ野球選手の剛速球なみであったが智代子はしりもちをついたことでギリギリ躱すことが出来た。その後、零が頭を数回刺し絶命させる。

 それだけならいいのだが、今度はカタリナの腕に糸がつく。糸の先は木の上からだった。ぴったりとくっついていてあの巨体でも落ちそうにはない。 

 カタリナはナイフで糸を切る。その間にも糸は飛んでくる。違う方向からも飛んでくる。複数の芋虫がいるようだ。

 芋虫は木の上という武器の届かない高さから優位に得物が糸で拘束されるのを時間をかけて行おうとしている。だが、相手がただの人間なら早い糸の射出で拘束され芋虫のお腹の中でじっくりと溶かされるのを待つことになるが相手が相手だった。

 カタリナは手前の芋虫に手のひらで狙いを定める。

 「ファイヤボール!!」

 手のひらの魔力が炎へと変化し球状にまとまっていく。そして、彼女が叫ぶとその炎の塊は一直線上に飛んでいく。移動速度の低いモンスターはそれを避けることはできない。

 着弾をしたところから段々と前進を炎が包み込んでいく。芋虫は燃えやすい体をしているのか炎が全身を包みこむ前に木から落ちる。これで倒したことになるだろう。

 「は!!」

 零は昨晩習った魔力球を次に近い敵に向かって放つ。しっかりと命中して爆発をする。魔力が集まろうとして凝縮されたエネルギーがぶつかったことによって爆発という現象を引き起こした。

 頭と思われる部分が削られて芋虫は地面に落ちていく。

 すると芋虫たちはがさがさと盛大な音をたてながら森の奥底に逃げていく。数匹がやられると逃げる習性があるようだ。モンスターだから考える頭がないと思うのは違うと零はそう考えた。彼らは動物と一緒のようだと。

 零は家の土地である山で狩りをさせられたこともあった。小さい頃は兎とかであったが、大きくなった時には狩猟銃を使ってクマを狩ったこともある。その熊は人間を襲ったこともあるので要請があったのを修行だといわれ山に三日籠ったこともある。

 「すごーい、零は魔力を使えたんだ。」

 「いや、昨晩習って使うことが出来たんだ。」

 智代子はへぇとなにやらつまらないという顔を見せてる。零はなんでだろうとその意味がわかっていない。

 「零はもともと魔力を感じていたから扱い方が本能的にわかっていたんだと思うよ。」

 カタリナがそっとフォローに入る。すると智代子の顔が明るくなっていくことがわかった。

 零がもしかしてと思うと

 (零、智代子さんはきっと嫉妬しているんだと思うよ。)

 やっぱりと思う。零が一晩で魔力操作と放出ができるようになったことに嫉妬しているということだ。彼女は自分と同じ時に習ってできないということにプライドが傷ついたということであろう。まるで見た目とプライドの高さが同じなのであろう。零は彼女がそういう人だとわかりはしたがなぜ彼女がそんなに嫉妬しているのかはわからなかった。

 零の中では智代子は喧嘩や戦いといった分野とは縁のない存在であることは分かっていた。それをここにきて自分でどうにかしたいと思うのはいいことだけど人には向き不向きがある。そして、何かをできるようになるというのはどうしても個人差がある。それを他人と比べて他人に嫉妬するという行為は自分自身のやる気などを高める効果もあるのだが、大事なことを逃したりしてうまくいかないことが多いと零自身の経験則でそう考えていた。

 カタリナは人付き合いの多い生活をしていたのでそういうことには敏感であった。

 「それじゃ先に進みましょ。」

 智代子はルンルンでいう。あまりに無防備である。先程の戦闘ではなんとか顔に向かってくる糸を尻餅をつくことで避けることができていた。そのまま当たっていれば糸が顔でくっつき窒息をしてしまっているところだ。それなのに自分は警戒をすることなく進もうとしている。

 強くなろうとしているのに己自身を振り返ることもない。更に人に嫉妬している。

 零はそんな智代子に少しイラついてしまう。

有二 性別:男 種族:人間兼吸血鬼

力:C→B+ , 俊敏さ:C-→B , 魔力 : E→A- , 運 : A→S

称号:吸血鬼の王の加護、ロキに振り回された者、??????

スキル:?????,???????,????????,????????


※????-種族が変わりスキルに影響が出ているため解析終了までお待ちください。

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