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始まり

01


あなたはこんな都市伝説を聞いたことがあるだろうか?


某有名局で放送されているクレヨンし◯ちゃんにまつわる話。


主人公の野原◯んのすけは実は交通事故で亡くなっていて、それが受け入れられない母親のミ◯エがクレヨンで描いている、もしもし◯んのすけが生きていたらという仮定の物語である、そんな都市伝説。


原作者は山で遭難して既に亡くなっているからそれらの結末は一切語られず、都市伝説として最終回まで行くのだろう。


ただ、これは本当にテレビアニメの中だけの話なのだろうか?


この都市伝説が本当のことだと裏付けるような出来事がつい先日、僕の目の前で起こり、それは今もなお僕の頭を悩ませている。


それは僕が小学一年生の時から約10年間、ずっと片思いを続けていた女の子【時波優華ときなみゆうか】に体育館裏に呼び出された時が発端なのかもしれない。


そう、まだあれから一週間しか経っていないのか。


「お待たせしてすみません!!と、ととと・・・・時波さん!!ぼ、僕なんかに何か用ですか???」


体育館裏に呼び出された僕、【香月渚こおづきなぎさ】のルックスは黒髪短髪、といってもそんなに短くもない。


身長は165センチあるか無いか。


細身でも無ければポッチャリというわけでもない。


顔面の偏差値でいえば自称中の中。

そして童顔なことがややコンプレックスである。


また勉学の偏差値は中の中から中の上をウロウロする程度。


高校では友達も少なく昼休みは一人で弁当や学食を食べることもある。


そんないわゆる「普通&校内カースト最底辺」な僕が呼び出された時波優華はといえば、アメリカ人の祖父を持つクォーターで銀色に輝く髪を持つ。


細身でスタイリッシュ、そしてそれに見合った制服でもできるようなオシャレを毎日してくるような流行トレンドを抑えている「ザ・トレンダーnot トレンディスト」だ。


もちろん顔の方も素晴らしく整っていて、目はぱっちりしていてやや童顔、それなのに少し背伸びした大人な色気も兼ね備えているアイドルのような顔立ち。


中学では3年間生徒会に在籍し、三年生の時には生徒会長、そしてこの【県立北高校】に入ってすぐに書記として生徒会入りしている。


言うまでもなく成績は常に上位で学年で三位より下は見たことがない。


そんな彼女はもちろん学校中の人気者で、女子からは羨望の眼差しで、男子は鼻の下を伸ばしたエロい目で、もとい淡い恋心を抱いたような目で見られている。


そんな「校内カースト最上位」の彼女に【恋愛成就の体育館裏】にこの僕が呼び出された理由が全く理解できなかった。


いや、正確にいえば少し期待はしていたが僕に限ってそんなことはないとかぶりをふって、ヤンキー男子たちのイタズラなのではないかと恐れながらも、一応は彼女の「香月くん、放課後体育館裏に来て」という直接の誘いだったのでなんとか歯を食いしばってここまで来た。


僕が着いた時に既に時波優華はそこにいた。


「えっと、その前に・・・渚大丈夫?すごい汗だけど。」


「は、はい!全然大丈夫です!」


緊張やら冷や汗やらで目が回りそうだが、時波優華の前でみっともないところを見せまいと必死に耐えているが、最早彼女は全てお見通しのようだ。


「ならいいんだけど・・・。渚とはもう10年の付き合いになるんだし、そんな態度取られると幼馴染としてはちょっとショックかな。」


苦笑いを作ってみせる彼女はどこか喜んでいるようにも見えた。


そんな表情を見ていると少しずつ緊張がほぐれてきて、一つ深呼吸をした。


「ふぅ。ごめんなさい。僕、かなりの上がり症で。」


「知ってる。」


とろんとした眼差しで僕を見る彼女・・・・ヤバい。これはヤバい。というかマズい。大事なところが元気になりそうだ。


「え、えーっとそれで本題は何かな?時波さんのことだし、冷やかしとかじゃないよね。」


「うん。えっと・・・・えっとね。渚に・・・お願いがあって・・・・。」


「う、うん。」


ドクン・・・・・ドクン・・・・・。


心臓の鼓動がいつもより大きく聞こえる。


まさか本当に告白なのか??


いや・・・・まさかな・・・・。


「あのね・・・・私と・・・・。」


ドクンドクンドクンドクンドクンドクン・・・・。


まさか!?まさか・・・・!!!?


ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン・・・・・・。


「私と除霊修行に付き合って欲しいの!!」


「はい!!喜んで!!!!・・・・・・・え?」


「ほんと!?ありがとう!さすが渚!!」


「あ、うん。」


「とても困ったことになってて、こんなこと頼めるのって渚ぐらいしかいないからさ。」


「あ、はい。」


「じゃあ早速なんだけど明日って暇かな?」


「あ、はい。」


「そっか。じゃあ、朝10時に本扇寺の境内集合ね。ほんとありがと!じゃ、また明日ね!」


「あ、はい。」


後ろ髪をなびかせて手を振りながら駆けていく彼女。


魂の抜けた僕は今どんな心境かって?


「くっそ可愛いかったーー!!!明日はお寺デートだ!!!ヤッホー!!!」


これはとんだ能天気カースト最底辺野郎と、この時までの彼女からは予想も付かない行動に出るトンデモ美少女が織りなすドタバタラブコメディ。


いや、ラブはあればいいなと思う。

ほんと。



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