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童話

流星群(童話)

作者: ねこ子

「海のエジプト展」を観に行って思いついた話。

昔某掲示板に投稿したことがある。

おや、君は僕らと話が出来る人間なんだね?

へーめずらしいな。

うん。こんにちは。


僕の話を聞きたいって?

なぜ僕なんだい?

ここにはたくさんの興味深いモノ達がいるだろう?

よりによって僕みたいな小さなかけらに何の用があるんだい?


え?僕が異質だから、だって?


そうか。君にはそんなことも分かるんだね。

そう。僕はここにいる彼らの仲間ではない。

見つけた人間が、間違えちゃったんだよ。

僕が彼らの一部だってね。

まぁその頃には、彼らとも仲良くなっていたから別にかまわないけどね。


僕は昔・・・すごく昔だよ、たくさんの仲間と空を飛んでいたんだ。

雲よりもずっと上。

君たちが宇宙と呼んでいるところだよ。

そう。流星群と呼ばれているね。

「流星群」なんて言葉よく知っているね。

へぇ・・・最近見たって?

いいや違うよ。僕はその時君が見た星じゃない。

僕が来たのはもっとずっと昔のことだよ。

ごめんよ。がっかりしたのかい?

でも君が見た星の中にもそのうち、僕みたいに展示されるやつが出てくるかもしれないね。


僕たちはもともと地球と同じような、結構大きな星だったんだよ。

でも何かにぶつかって、細かい石の集団になっちゃったんだ。

自分のことにいい加減だって?

もうずいぶん昔のことで記憶があいまいなんだよ。

で、最初はひとつだったから、僕らはたくさんでひとつの意識を共有していたんだ。

でもそのうち、ばらばらになっている時間が長すぎて

僕らは小さな一つ一つに分かれた。

そして今まで一人だったがたくさんの仲間になったんだ。

僕らは小さなたくさんになっても、ひとつの星だった時と同じように

太陽の周りをくるくる回っていた。

たまに他の星にぶつかって、何人かはその星に降りてゆくんだ。

それが流星群ってやつだよ。

僕は地球の海の中に落ちた。


地球に入る時僕らは、燃える。

それが流れ星の光だよ。

燃えながら僕はどんどん落ちてゆく。


熱くなかったかって?

僕らと人間はちょっと感覚が違うから大丈夫だったよ。

火傷なんかしないんだよ。

ありがとう。


僕はじゅうじゅう音を立てながら海に落ちた。

真夏に水の中に飛び込むような気持ちよさだよ。

僕は真夏に水に飛び込んだことはないけどね。

僕が落ちた海は、たくさんの変わった格好の石があった。

君たちが遺跡と呼び、今ここに展示されている物たちだよ。

不思議で綺麗な風景だったよ。

君にも見せてあげたいなぁ。


ん?むこうで映像を流しているって?

そんなの駄目だよ。

全然違うんだ。


熱くなった体を冷やしながら、僕はどんどん海の深いところへ潜っていった。

周りにはたくさんの遺跡。

魚も泳いでいたよ。

あの水の感触。

あの気持ちよさは映像なんかじゃ分からないよ。


僕は適当なところに落ち着くと、その石ひとつと話した。

彼らは昔、地上にいて人間が形作ったんだってこと

彼らを作った人たちのこと、色々聞いたよ。


ある日僕らは地上に引き上げられた。

そしてパズルのように組み立てられて、展示されている。

僕は長い間、彼らと一緒にいて、彼らの話を聞いていたので

彼らのなくなった一部と同じような格好になってしまっていた。

だから、本当は彼らの一部じゃないのに、こうやって一緒に展示されているんだ。


展示会場は海に比べたら、楽しくもないし美しくもないけど

君のような子供がいるなら、なかなか悪くないね。


さぁ、むこうで呼んでいるのは君のパパじゃないかい?

早くお戻り。

僕の話もこれでおしまい。

海に行きたいです。

ぼんやり海を眺めたいです。

ありきたりですがきれいな海がいいです。

暖かいとなおよいです。

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