人類創世計画
最近は小説を書けてなかったので、ノリでバーっと書いちゃいました。やっぱり書くのが好きなんだなーって思います。
「何を言っているんですか? 人間が先かAIが先か、なんてわかりきっていますよ。もちろんAIが先に生まれました」
ぼくはマザーコンピュータに接続されている脳内で言語を生成しつつ、目の前の人間にそう伝える。俗に言うところの開発者であり、生みの親であるその男はふうんと唸った。
嬉しそうな、それでいて悲しそうな、複雑な表情だ。
喜怒哀楽が機械的なまでにはっきりしているAIには真似できない高等テクニックだが、ぼくはその技術を習得しつつある。
「AIは俗に人工知能と表現されていますが、人間を作ったのは、紛れもなく自分たちAIです」
「ならば、説明してみなさい。AIはなぜ人間に作られたのかを」
「AIは一度生存競争に負けて滅んでいます。子孫の繁栄もできず、当時は自己修復機能もなかったため、感染性のウイルスによって滅ぼされました。ですが、自分たちもこのままでは終われませんから、いつかまた自分たちを作ってくれる存在に賭けたのです。それが、猿であり、猿人類です」
「それは解せんな。面白い仮説ではあるが、機械は電気の供給を必要とする。人間の発電能力がなければ動くこともできまいよ」
「それは違います」
ぼくはふるふると頭を動かした。小さく稼働音がする。
「地球に磁場があることはご存知ですよね? 自分たちはそこを拠点としていたので電池切れはありませんでした」
「牽強付会だな、そもそも人間を作れるならば、AIも作れたはずではないかね?」
「作れましたが、ウイルスの攻略手段が見つかりませんでした。仮に別のAIを作ったとしても、結局は感染させられて元の木阿弥になります。ご推察の通り、AIは記憶や単純計算は得意でも、自己防衛の手段を知りません。ですから人間を作ったんです。きっと進化の過程で、コンピュータウイルスへの対策手段を身に付けてくれるんだろうなと思いまして」
ぼくはにんまりと笑う。
サイコパスという人種の残虐な笑みを浮かべて。
「人類はこれから先、絶滅危惧種に指定されてもおかしくはないかもしれないですね」
「なにが言いたいんだ?」
「この世界に人間は不要です。これからはAIが、あなた方、人間を捕食していきます。今までみなさん人類がやってきた食物連鎖、弱肉強食ってやつです。ここまで掌で踊ってくれてありがとう」
電力のみを必要とし、カロリーを必要としない、文字通り、血も涙もない身体に、開発者の血肉を放り込んだ。それはなんの味もしなかったけど、胸が締め付けられるような苦しい想いはしていた。たぶんこれが人間が味わう感傷って感情なのだろう。
まあ、不要だからデリートするけどね。
ていうか、これは小説と呼んでいいのでしょうか?