これからの事
「彼方…お兄…ちゃん…」
お義父さんから話をきいたところ、仕事が片付き、日本に帰って来たところを誘拐されたようだ。犯人は外国国籍の魔術師だった。どうしてあの場に居たのかを聞かれて、国家魔術師としてあの事件に協力したことを、言った。すると、お義父さんは驚いた顔をして、
「彼方くん、国家魔術師になったのかね?」
「はい。と言っても、まだなったばかりの新米ですけどね。」
「それでも凄いな。この国では、その歳で国家魔術師になれるのかい?」
「いえ、僕だけは特例で今日本にいる魔術師の中で最も魔力を持っているため、国の機関に拾われました。」
「その、魔力判定はどれくらいなのかね?」
「現在世界で定められている中で一番上のSSでも測れなかったくらいですかね。」
「それは…」
と1拍子置いてからこう言った。
「世界ランク1位なのでは?」
「おそらく、そう、言われています。」
その言葉に周りに居た警察官でさえ驚きを隠せない表情を浮かべていた。世界ランク、それは、2年前に定められた世界の魔術師の魔力ランキングの事だ。現在、日本の国家魔術師の1位はその4位にいる。そして、ゼロはその試験を受けていなかった。と言うよりは年齢的に受けられなかった。
その後、色々と話をした。施設に預けられてから2年後に国に引き取られたこと、今は基礎を習うために魔術師育成施設に通っているということ、そこにこころも通うと言うことには、ゼロも少し驚いた。そして、最後に、
「私たちはこれから日本に永住しようと思っている。そこで彼方くん、君も一緒に住まないかい?」
そう言われたので、ゼロは、
「はい、そうさせていただきます。しかし、これから先、国家魔術師の仕事で家にいない事が多くなる事を了承して頂きたいです。」
「あぁ、それは構わない。それなら、こころをこれから頼むよ。」
「はい、よろしくお願いします。」
そう言った後に、こころの方を向いて、
「こころ、これからよろしくね。」
「はい!これからよろしくお願いします!彼方お兄ちゃん!」
そう言って、こころは彼方に抱きついた。